Written By: sax on 11月 14, 2018 No Comment

ネットのQ&Aサイトでサックス関連質問を検索すると、かなりの頻度で出てくる質問に、 「音が出ない!どうして」があります。サックスを吹いていると多分何度かは、「あれ?音が出ない。何故?」、という場面に出くわすのではないでしょうか。そんなときのヒントをご紹介します。
 サックスから全く音が出ない場合、真っ先に疑うのはリードです。というか、リードが振動していないので音が出ないのです。リードが振動しないのには、いくつかの原因が考えられます。一番多いのはリードがマウスピースに正しくセットされておらず、リードが振動することが出来ないケースです。リードとリガチャーの装着状態を確認しましょう。次に疑うのは、「振動できるリードかどうか」です。リードが折れていたり、波打っていたり、ねじれていたりして、まったくリードが音を出せない場合です。ま、この場合はリード交換です。マウスピースの先端に対し、リードの先端が遠すぎる(ディップが広過ぎるかずれている)場合や、リードが柔らかすぎてマウスピースの先端にくっ付いて蓋をしてしまう事も考えられます。この場合は、マウスピースを啼える深さを変える事で、音が出てくる場合があります。咥え方を深くしたり、浅くしたりして様子を見ましょう。このケースはアンブシャの唇の締め具合が大きく影響しますので、テナーサックスからソプラノへ持ち替えたり、アルトサックスを吹いた直後にバリトンを吹くなど、マウスピースの大きさの差に起因することも少なくありません。唇の地下鉄力加減と、マウスピースの咥える深さに対する感覚が、実際の状態と自分の思っている状態とで、かい離を起こしている場合が多いようです。

 いちお音は出るが、何か芯の無いスカスカの音で、全部の息が音に変わっていない感じ。これは息漏れと考えて良いでしょう。サックスは多くの「隙間」を持っています。マウスピースとネックコルクの間、ネックと本体のネックレシーバー、オクターブキーが不適切に開いていたらこれも隙間です。各トーンホールのパッドのズレによる隙間、解放パッドの開き加減も「隙間」として影響する場合もあります。これらの場合は完全に「故障」ですので、自分で原因の究明と解決が出来なければ、早々にリペアマンのお世話になるのが得策でしょう。
 一番やっかいなのが、物理的に音は出るが、サックスとしてまともな音が出ない、という場合です。サックスという楽器としての能力が出ず、「ちゃんと、音が出ない」というケースです。これはもう、原因は千差万別です。バッドの張り付き、ズレはもちろん、メカニズムの故障や管体の曲がり等、考え出したらキリがありません。基本的にリペアマンに助けを求めるのが最善だと思います。ここでちょっとしたアドバイスをひとつ。Fの音が出ないからといって、Fのトーンホールだけを気にするのは間違いです。とんでもない場所のパッドのズレでFの音がおかしくなるケースもあります。サックスって複雑な楽器なんです。

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Written By: sax on 11月 7, 2018 No Comment

フランス、ノルマンディー地方に生まれたマルセル・ミュール(以下ミュール)。多分、人類史上最高のサックス奏者のひとりと言っても誰も文句を言わないでしょう。彼のために多くのサックス曲が作られ、彼によって演奏されました。それらの曲は今でもクラシックサックスの名曲として引き継がれ、多くのサックス奏者によって演奏されています。その偉業ゆえに、まるでミュールがサックスを普及したかのような誤解をしている人が少なくありませんが、サックスは1840年代に発明されており、セルマー社も1885年にサックスの製造を開始しています。ミュールは1901年生まれ(没は2001年。 21世紀まで生きました!)ですので、ミュールがサックスを手に取ったときには、すでにサックスは楽器としてそれなりの存在になっており、多くの歴史に残るサックス奏者がすでに登場していました。ですので、ミュールがサックスを普及させたという訳ではないようです。

 1942年、ミュールは当時休止状態にあったパリ音楽院のサキソフォン科を復活させ、そこで多くのサックス奏者や教育者を育てたとのことです。名門音楽学校でサックスの専門科が休止してたということは、当時あまりサックス奏者を目指す音楽家がいなかったということでしょうか。他の楽器に比べてサックスはマイナーな楽器だったわけです。それが天才サックス奏者ミュールの登場によって、サックスの素晴らしい音色や演奏のテクニック、楽器としての成熟度が多くの音楽ファンに紹介され、「サックスって凄いじゃん!」となり、「俺もやりたい!でもパリ音楽院、サックス科無いじゃん」、「パリ音楽院:ミュールさんに教えてもらうしかないでしょ」、となったのではないかと思います。となると、やっぱりミュールは、「サックスを世にアピールし、定着させたひと」なのでしょう。
 この名門「パリ音楽院サキソフォン科」での教育者としての活動ばかりでなく、ミュールは自身の演奏活動も精力的におこないました。アルトサックスを吹いてのソロ活動に加え、当時の最高のメンバーで構成された「パリ・サクソフォン四重奏団」を結成し、自らもそこでソプラノ・サックスを演奏しました。ミュールの時代の音楽は、78回転のSPレコードでの録音・流通が主流でした。そのためこの時代の音楽家の多くは限られた数の録音しか残していませんが、幸いミュールは多くの録音を残しています。ミュールの演奏は多くのSPレコードから復刻されCD化されており、当時の艶やかなミュールの音色と驚異的な演奏テクニックを今でも感じる事が可能です。ミュールはサックスにビブラート奏法を導入したことで有名ですが、音の立ち上がりやタンギング、サウンドの作り方など、現代サックス奏法の原点と思われる技術を随所に聞くことが出来ます。私見ですが、初めてミュールの演奏を聴いたとき、「え?マーシャル・ロイヤル?」つて思いました。歴史的ビッグバンド、カウント・ペイシー楽団の名リードアルト、マーシャル・ロイヤルのサウンドとミュールのサウンドは劇似です(と、思います)。ミュールの「Lonely Street」、聞いてみたかった!

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Written By: sax on 10月 31, 2018 No Comment

女性のサックス奏者も沢山いらっしゃいますので、「サックスにもおしゃれを!」という声は少なくないと思います。自分の愛する楽器を少しでも「自分風」にアレンジして、サックスへの愛の表現と、自分のおしゃれセンスのアピールをしたいですよね。
 サックスケースへのおしゃれは古くから一般的だったと思います。ファイバーケースの表面にステッカーを貼ったり、ストラップマスコットをぶら下げたりは初心者。こだわる方はケース全面に好みのイラストやパターンを、オリジナル塗装で書き込んだりしています。ストラップのおしゃれも流行っていますね。ネックベルトを独自のデザインのものに変えたり、ストラップストリングを派手な柄物にしたりはシンプルなほうです。ビーズでの装飾やクジャクの羽のようなデザインを施したストラップもたまに見かけます。使うサックスそのものをおしゃれにするサックス奏者も沢山います。少し前に流行したA〇freeのサックスは、花柄シリーズがかなり人気だったようです。赤や青のカラーサックスも一時期流行しましたね。

 サックス本体へ手を加えてのおしゃれも多種多様です。1970年代、セルマーサックスの 「アメセル」と「フラセル」のすぐ分かる違いは、ネックのエンブレム部に青いペイントが入っている(フラセル)か入っていない(アメセル)かでした。プチ見栄貼りのフラセルオーナーは、ネックのエンブレムの塗料を削り、「なんちゃってアメセル」にして喜んでいました。ほんと、結構沢山いたんです。これも、ちょっとしたおしゃれと言えるでしょうか?サウンドへの影響が一番繊細なネックへのおしゃれ改造はあまり勧められないのですが、ネックそのものでなく、ネックのオクターブキーであればサウンドへの影響は軽微です。ですのでエンブレムの塗装を剥がしたり、目立つところに宝石類を貼って「なんちゃってキャ〇ンボール」にしたり、キラキラのラインストーンを散りばめる、なんていうのも個陛的なおしゃれだと思います。
 ラインストーンはサックスのおしゃれに良く利用されます。ステージのライトを受けてピカピカ光るとカッコ良いですよね。両面テープやホットメルト等の剥がし易い接着剤を使えば、気に入らなくなったらすぐに元に戻せます。ただラインストーンを散りばめる場所は選んでください。本体管体表面やシャフト周りへの装飾はお勧めしません。サウンドへの影響や、メカニズム動作への悪影響が心配です。気にせずに装飾できる部分は、パッドの付いた 「カップ」や「キーガード」です。
 素人では手は出ませんが、サックスの彫刻も究極のおしゃれですね。一般的にはベル周りのみの彫刻ですが、「バリ刻」と呼ばれる「全面彫刻モデル」では、ペルの朝顔の内側外周、カップ、二番管管体、U字管、ネックにも彫刻が彫られています。彫刻は「後彫り」も可能です。海外では管楽器彫刻専門の技術者も少なくありません。日本にも後彫り彫刻を請け負ってくれる工房がありますので、人より目立ちたい衝動が抑えられない方は調べてみてください。

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Written By: sax on 10月 24, 2018 No Comment

携帯やスマホの撮影機能が充実し、日常の「写真」や「映像」が気軽に撮れるようになった今、サックス奏者の皆さんも、自分の愛サックスの写真を撮る機会が増えたと思います。がしかし、サックスの撮影は思いの他難しいです。サックス撮影時のテクニックを紹介しましょう。
 サックスを被写体にする撮影は何故難しいか、それはサックスが「ピカピカ」だからです。鏡のように周りを映し込んでしまうサックスの表面は、最も撮影の難しいもののひとつでしょう。サックス撮影のコツは、この「映り込み」をどう処理するかにかかっています。普通の部屋でサックスをスマホで撮影しようとしたら、部屋の照明や窓からの外の明かり、もしくは「何か明るい周りのモノ」が皆サックスのあらゆる部分に映り込みます。そんなときは、映り込むものをすべて無くした状態から撮影を始めます。もちろん、明かりが無ければ被写体のサックスは真っ黒ですので、まずはスマホのLEDライトで照らしましょう。サックスの表面は平らな部分が少ないので、LEDライトの映り込みは意外とカメラ側に跳ね返りません。ただし一灯のLED照明だけだと、かなり固い質感になってしまうので、もっと全体に柔らかい光も欲しくなります。柔らかい光は壁や天井を利用します。ただし広い面積で全面フラットな壁や天井でなければなりません。なぜならば、その壁や天井の面をサックス全体に映り込ませ、「全体に映り込んでいるのだけど、何も映り込んでいない感じ」を出すための面光源だからです。何も飾りのない、全面薄いグレーやベージュの「壁」のようなものが最適です。そのそばにサックスを置き、角度を考えながらカメラ(スマホ)を構えれば、良いアングルが見つかると思います。

 映り込みを避けるのが基本中の基本ですが、映り込みを積極的に利用する撮影方法もあります。点光源となる電球や丸いライトはさほど映り込みが気になりませんが、線となって長さを持つ「蛍光灯」の映り込みは、サックスの写真のノイズになり、せっかくの美しさを阻害します。そんなときは、サックスの位置を調整し、蛍光灯の映り込みが管体の長さ方向に平行になるようにしましょう。蛍光灯の線が映り込みではなく、管体の曲面のハイライト(光の集まる箇所)に見えればOKです。サックスの写真は、とにかく映り込みをどう綺麗に誤魔化すか、が勝負です。
 サックスの美しい角度もあります。サックスのキーが集まった「右側」からの写真が、サックスの美人アングルです。逆にするとサックスがすごくつまらない物体になりますのでご注意を。またサックスを吹いている奏者ごと撮影する場合は、やや下からあおるようなアングルが良いでしょう。遠近感がサックスや奏者の存在感を強調し、ステージ上の演奏を低い位置の客席から見上げる感じとなり、写真にダイナミック感が出ます。さあ、あなたの待ち受け画面も、自分のサックスの写真にしちゃいましょう。

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Written By: sax on 10月 17, 2018 No Comment

かつてはデカくて重い箱ケースだけだったサックスも、今ではすばらしいケースが星の数ほど出回っています。極限まで小さくなったパックケース、軽くて丈夫な新素材を使ったウルトラライトケース、また収納力たっぷりな箱ケースでも、リュック/手提げ/ショルダーのスリーウェイになっているものなど、魅力的な高機能ケースが沢山あります。そんな「究極」と思えるケース達だって、まだまだ「パーソナライズ」の余地はあります。改造マニア、集合!
 サブウェイ・ハンドルという名前をご存知でしょうか。どのケースメーカーが初めに使ったのかは定かではありませんが、今ではケースの「機能」のうちの重要なひとつになっています。サブウェイ・ハンドルとは「縦にケースを床置きしたとき、ケースが倒れないように上から引っ張るハンドル」です。ケースを縦型に持ち歩くための取っ手とは違います。混雑した電車などでは、サックスを横に置いたり、持ったりするのは困難です。背負ったりしたら迷惑千万でしょう。細長いケースを縦に床に置くのが一番邪魔にならない持ち方ですが、サックスケースの「頭」を支えていないとケースは倒れてしまいます。自分の手を下に下げた状態で、サックスケースを支えられる取っ手やひもがあれば便利です。それがサブウェイ・ハンドルです。ケースと楽器の重量全体を支える必要はありません。「倒れないように支える」だけで良いのです。手作りカバンの材料ショップでリング状の「取っ手」を買って来て、自分のサックスケースのどこかに取り付け、自分の身長にピッタリなサブウェイ・ハンドルを付けましょう。カラビナや長さ調整可能なベルトも使うと便利です。取っ手はペットショップでも手に入ります。犬用のリードの取っ手が使い勝手が良いようです。サブウェイ・八ンドル、あるとかなり便利です。

 長年使って、ハゲハゲになったケースの内側が気になっている方も多いようです。ほとんどのサックスケースの緩衝材(サックス本体を受け止めるケース内側)はウレタンかスポンジです。長年使用することでその被服の布が擦れて破けたり、サックスの錆が付着して汚れて来てしまいます。たっぷりとした大きさの合成シルク布などをケース内部に敷き詰め、端をケースシェルと緩衝材の隙間に詰め込んでしまいます。結構きれいに蘇ります。内装を上手く改造できなければ、「サックス袋」を作る、という手もあります。大きなバスタオルや、大きなポリッシングクロスでサックスを包み込む袋を作り、それに入れた状態でケースに収納します。袋にしなくても風呂敷のように包むのも有りですね。クッション性も向上し、湿気も防ぎ、楽器の傷も防げます。
 カッコ良い改造でなくても、「こうなったら良いな」を実現すると、抜群に使い易くなったりします。特にケースはね…。

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Written By: sax on 10月 10, 2018 No Comment

音楽をするものには必須の「譜面」。今日はその「めくり」に特化してみたいと思います。クラッシックのピアノ奏者には、「譜面めくり係」が付き演奏中譜面をめくってくれます。ピアニストの傍らに立ち、演奏の進捗を確認し、演奏者が望むようなタイミングで楽譜のページをめくってくれます。こんな親切な制度があるのはピアニストだけで、我々サックス奏者には望むべくもありません。いや、ピアニストが天国の例だとしたら、地獄の例はベーシストかもしれません。曲の初めから終わりまで、ほとんど両手を休める事のないパートなのに、譜面は数ページにわたる勧進帳(長い譜面をこう呼びます。歌舞伎の演目で弁慶が長い手紙を朗々と読むところからきています)の譜面です。譜面台を何本も横に並べて、何ページも広げられるようにするのは一般的ですが、ほんの瞬間の休みを使って(無理に休んでしまい)、競技百人一首のような手さばきで譜面をめくるベーシストも少なくありません。
 我々サックス奏者の譜面めくりは、曲のアレンジによって運・不運が決まります。フレーズが長く、譜面めくりのタイミングが無い場合、いくつかの方法で窮地を回避します。その第一が「書き換え」です。譜面全体や一部を書き換えて、長休符のときに譜面をめくれるようなページ構成に書き換える訳です。書き換えまではしなくとも、同じページを2枚作り、長いフレーズが始める前に譜面をめくり、長いフレーズを最後まで左右見開きの中に収めることが出来る場合もあります。大胆な性格の奏者の場合、譜面のページを「切り張り」してしまうこともあるようです。各ページの高さが違う譜面を、平然と吹く姿には頭が下がります(笑)。

 譜面の各ページをテープでつなぎ、蛇腹状の一冊に綴るのが一般的な長尺譜面の姿ですが、今ではクリアフォルダーという便利なものも使えます。透明なフォルダが本のように綴られているので、譜面の各ページをフォルダに入れるだけでテープ留めの必要はありません。フォルダの上から紙を挿入するのが一般的ですが、楽譜の収納には「綴じ代方向から入れるタイプ」が便利です。これはフォルダを開いた状態で、左右ページの真ん中から紙を入れるようになっているクリアフォルダーです。 A4サイズレイアウトが2ページ見開きでA3用紙に印刷されている譜面がほとんどなので、このタイプのクリアフォルダーなら、譜面を切らずにそのままフォルダにセットすることが出来ます。
 どんな工夫をやるかに関わらず、「譜面めくり」には「リハーサル」と「検討」が重要です。譜面を頭から追って行き、「ここは休めないから、この前でページをめくっておく」とか、「2ページにまたがるフレーズは見開きにしておく」とかの作戦を完成させてから譜面を改造しましょう。譜面めくりをないがしろにしていると、ある場所でバンドの音がスカスカになる、なんて事になりますのでご注意を。

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Written By: sax on 10月 3, 2018 No Comment

サックスのキーのローラーを意識したことはありますか?左右の小指の動きを滑らかにするためのローラーで、キーの乗り換えをスムーズにし、早いフレーズを補助します。ローラーの付いたキーはフルートやファゴットにもありますが、サックスのキーローラーには他の楽器に無い特徴があります。
 サックスのローラー付きキーは、低音域の大きなパッドを押さえるためのキーです。力を加えたいキーなので、小指の力が効率良くキーに伝わるように、独自の工夫がなされています。それは、キーのブロックがお椀の底のようなアーチを描いている、ということです。フルートやファゴットのローラー付きキーにはあまりこのような工夫はされていないようですので、ひょっとしたらアドルフサックスさんがサックスの構造とともに登録したの特許のひとつなのかもしれません。右手小指キーのローラーは単純です。小指をドとミ♭のキーとの間を滑らかに移動させるためのものです。左手小指のローラーは、ド#、シ、シ♭の三つをつなぎます。さて、これらのローラーと運指の動きをじっくりと見ていきましょう。

 小指を素早く動かすためには、キーの押さえ方は場合によって変わります。具体的に言うなら、ある程度ゆっくりした指の動きの場合、押す力を最大限にするために、小指の先端に対する直線的な力でキーを押さえます。そのときにはローラーもあまり活躍しないでしょう。しかし「ド・ミ♭・ド・ミ♭・ド・ミ♭・ド・ミ♭」のような右手小指の速い動きにはローラーは活躍しますが、あれ、指の動きが違います。ミbを押していた小指は、倒れ込むようにしてドを押さえていませんか。小指の先端ではなく、小指の右腹あたりでキーを押していませんか。もちろんこういった指の動きは奏者によって千差万別です。奏者の癖や指のコントロールの力の入れ方などによって、右手小指の動きと押さえ方は異なります。このような理由から、ド側のローラーを「回らなくする」プレーヤーもいるようです。いわく、「倒れ込む指を早くキーが受け止めるためには、ド側のローラーは動かないほうが良い」、とのことです。
 サックスの左手小指の動きには、また別のお作法があります。まずド#とシのトリルは物理的にほとんど不可能です。でも諦めの悪い奏者はここのローラーを大きく滑らかにし、かつキーの角度を調整して、少しでも素早い運指の転換を可能にしています。シ♭を出す場合には、小指の先端はほとんど動かさず、左手小指の左の腹でシ♭キーを押す方が多いようです。これが一番力が入る指の置き方です。セルマー・マークVII以降、「大きいことは良い事だ」傾向のシ♭キーですが、素早く閉めるために、「ぼくは左手小指の付け根で押してるよ」という方も少なくありません。ローラー絡みのキーの使い方は、ほんと、結果オンリーだと思います。

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Written By: sax on 9月 26, 2018 No Comment

楽器って、思わぬミスで故障させてしまう場合が少なくありません。サックスもそのメカの複雑さゆえに、「やっちまった!」というケースが多々見られます。サックス奏者が練習や本番で遭遇しがちな小さな故障と、その対処法や簡易修理道具についてお話しします。
 冬場にセーターなどを着こんで、モコモコの状態でサックスを吹いていると、ちょっとした動作で服にサックスの針バネが引っかかってしまい、バネの外れを起こしたり、ひどい場合にはバネがあらぬ方向に曲がってしまう場合があります。針バネの修理には普通「バネ掛け工具」を使用します。バネ掛け工具はバネを引っ掛ける「カギ」と、バネを押す「Y字溝」を有する棒状の工具で、ネット等で入手することが出来ます。とはいえ私たちは専門のリペアマンではないので、立派な工具は宝の持ち腐れになるでしょう。バネ掛け工具の代替えとして、100均で入手できる「編み物用のかぎ針」が使えます。かぎ針には「バネを押すY字溝」はありませんが、バネを押すのは指でも鉛筆でも可能です。狭いところから針バネの先端を引っ掛け、バネ受けの溝にはめるのは、指等では難しい作業ですが、編み物用のかぎ針で充分専用工具の代用が可能です。バネの外れの場合だけでなく、パッドの閉まりが弱いとか、クローズキーの開きのスピードが遅いとか、バネの強さを調整したい場合にもかぎ針は役に立ちます。かぎ針の先端で該当箇所のバネを外し、バネをしごいて曲がり具合を調整し、かぎ針でモノの位置に戻す。こんな調整もかぎ針があれば簡単です。

 バネが折れたりバネ受けが欠けるという、致命的な故障が突如演奏中に発生する場合もあります。バネが無いので、故障個所はブラブラとなります。こんなときに活躍するのは「ゴム」。輪ゴムよりも女性が髪の毛に使用する「ヘアゴム」が使い勝手が良いでしょう。使い方は故障個所によってそれぞれですが、壊れたバネの替わりの「張力」が再現できるように、ゴムをパッドのアームに引っ掛けて、ぐるりと回してどこかに止めたり(パッドを開ける場合)、逆にパッドを押し付けるように、ゴムを管体に巻きつけたり(パッドを閉める場合)、とゴムは大活躍です。ちょっとメカニズムに関するセンスが必要ですが、上手くゴムで修理できれば、サックスは演奏可能な状態になります。基本は「引っ掛けて」、「巻きつける」ですが、余計な部分を「避ける」のもコツのひとつです。
 パッドを押さえるコルクやフェルトの調整が狂う故障もあります。これらは調整ネジの締め具合で高さ調整をします。右手人差し指キーとBisパッドの連携の調整コルクには小さめのマイナス時計ドライバー、ペル部のパッドの「開き具合」を決めるフェルトの高さ調整には大きめのマイナスドライバーかコインがあると便利です。このへんになると、故障個所を見つけるのにちょっとノウハウが必要かもしれません。

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Written By: sax on 9月 19, 2018 No Comment

サックススタンドは、かつては持ち替えの多い、ビッグバンドサックス奏者の専用の道具のような位置づけでしたが、今では多くのサックス奏者がスタンドを使っています。「サックスの置き方」としては最良と思われるサックススタンドですが、使用上の悩みも少なくありません。
 サックススタンドに関連した、一番多い事故は、「ずるっ、コテン」の落下事故です。スタンドへのサックスの収まりが悪く、重心が安定していないと、まずサックスがスタンドの上で「ずるっ」と回転します。U字型のベルレシーバーの中でサックスが回ると、ネックが下がり管体全体が傾きます。そしてスタンドから外れてサックスが床に落下したり、スタンドごと床に倒れます。通常右側に倒れるので、ネックジョイント近くの右側の一番背の高いポストが床に打ち付けられ、最悪の場合管体は凹み、ポストが歪んでシャフトが上手く動かなくなります。恐ろしい「ずるっ、コテン」です。これを防ぐには、U字型のベルレシーバーがしっかりとベルおよびサックス全体を支えるようにすることです。金属製のベルレシーバーなら、力づくでU字の開き具合を広げたり閉じたりすれば、ペルが安定する「開き」に調整することが出来ます。もしくはサックスのベルとの接触部に布やテープを巻くのも良いでしょう。布は柔らかく、適度な弾力が得られるので、サックスのスタンドへの着脱が無理なくおこなえます。テープ等のビニール系の加工は、ペルとレシーバーの間の滑りを無くし、しっかりと支えるようになりますが、サックスをスタンドから外すときに、スタンドから「外れ難い」場合がありますので注意が必要です。

 サックススタンドはベルレシーバーでベルの左右2か所、U字管近くのサックスの下部の1か所の、計3か所を支えることでサックスを安定して収納しますので、この3点を安定させるためにベルレシーバーを「調整」することは「得策」ではあります。が、しかし、サックスはキーメカニズムの構造により、重量バランスが管体中心に対し左右対称ではないので、垂直なスタンドではどうしても安定させられない場合があります。ですので、スタンドの構造上可能であれば、U字ベルレシーバーの「左右の腕を上下にねじる」のが最善の場合があります。サックススタンドがサックスを斜めにして収納するのが、実は一番安定したりするわけです。ただしこの加減はサックスの機種によっても、また取り付けたアクセサリー等によっても変わりますので、どうするのがベスト、というポイントは簡単に見つけられません。劇的な効果が得られる場合のある、裏ワザがひとつあるので紹介します。サックススタンドは多くの場合3本足ですが、そのうちの一本、右の足の下に厚さ1センチほどの雑誌を敷いて、サックススタンドをやや左に傾けます。すると、あら不思議。収まりの悪かったサックスがストンとスタンドの上に安定しています。ま、本当かうそか、自己責任でトライしてみてください。サックスを傷つけぬよう、実験はあくまでも慎重におこなってくださいね。

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Written By: sax on 9月 12, 2018 No Comment

サックスの運指の練習に「クロスフィンガリング」という課題があります。ファと右手中指ファ#、左手のシとド等の指の動きで、指が「順番」に開いて行ったり、閉じて行ったりするサックスの基本的な運指に対し、「指が交差する」という意味でクロスフィンガリングと呼ばれています。ま、普通よりちょっと難しい指の動きです。
 「クロスフィンガリングが滑らかにできません!」というお悩みに対しては、「練習あるのみ!」としか答えようがないのですが、「シ・ド・シ・ド・シ・ド・シ・ド」や「ファ・ファ#・ファ・ファ#・ファ・ファ#・ファ・ファ#」などと「単独クロス往復運指」の練習を繰り返す方が多いようです。この練習は「特殊な動きを指に覚え込ませる」という意味では間違いではないのですが、滑らかなフレーズを目指すには、前後の音を含めた「スケール上下の運指練習」をお勧めします。例えば下のラから真ん中のミまで半音のスケールで上下しましょう。シ♭を右手人差し指でやるかパームキーでやるかは自由ですが、このスケールは結構難しい指使いが出てきます。ミ♭→ミ→ミ♭なんて運指はなかなか手強いです。ラ・シ♭・シ・ド・ド#・レ・ミ♭・ミの8音を上がったり下がったり、均一なタイミングと音の長さで連続演奏するのは、とても良い練習になります。クロスフィンガリングの練習は、その運指を含めたブロックスケールで練習すると、より早く曲への応用が出来ると思います。

 「レ→ミ♭→ミ」や「ソ→ソ#→ラ」もクロスフィンガリングです。通常の生活では、小指はそんなに動かすことはありません。それゆえ、小指の絡んだフィンガリングは結構な難関となります。「小指」は意志によるコントロールの精度が他の指より劣りますので、小指がからんだクロスフィンガリングのスケール練習と合わせて、小指単独コントロールの練習をするのもお勧めです。手のひらを軽く開き、机の上に五本の指の先端を軽く接触させます。その状態で小指だけを左右に動かします。机に触ったまま左右に「スライド」させるのではなく、一旦浮かせて動かします。浮かす・右・浮かす・左・浮かす・右、という動きです。初めはゆっくりから、次第にテンポを上げていき、250くらいのテンポまでは楽々クリアできるようになりたいですね。
 サックスを演奏するための指の動きは、決して日常的な指の動きではありません。なので、少しでも長い時間サックスに触れ、サックスの運指を自分の身体に「日常」として覚え込ませることが重要です。またサックスの運指には多くの「替え指」がありますので、実際のフレーズの演奏を「どの運指でおこなうか」を検討することが出来ます。ちょっと考えただけで、劇的にフレーズの運指が楽になったりもします。また「奏者の意識」と「指」は密接に関係していますので、「難しくても苦手ではない運指」のようなものが人によってあるようです。死ぬほど練習したうえで、ちょっと考える。これがスムースな運指を実現する秘訣です。

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