Written By: sax on 12月 13, 2017 No Comment

 「音楽は瞬間の芸術だ!」、とよく言われます。私たちが奏でる音楽は、音になった瞬間から消え失せ、新しい音へ役割を渡していきます。何かあっても常に進み続ける、非情な「時間軸」が音楽の性であり、それ故に失敗が誤魔化せたりします(えへ)。音楽は時間にどの程度縛られているのでしょうか。

 音楽作成ソフトは通常1ms(ミリ秒=1/1000秒)でのタイミングの制御が可能です。音のタイミングや延ばしの長さ、アタックカーブの立ち上がりの勾配等を、この1ミリ秒の精度で指定します。ということは、「人間は音楽の中で1/1000秒を感じることが出来る」ということです。もちろん出音のタイミングが1ミリ秒変わっても、ほとんどの人は差を感じないでしょう。ただこの一桁上、10ミリ秒はほとんどのひとが差を認識します。1/100秒あなたのサックスの音が皆より遅れたら、誰にでも分かる「遅れ」として聞こえます。例えば1分間に120の4分音符が入る(120BPM)アレグロのテンポでは、1拍は0.5秒。そこに入る16分音符の長さは0.125秒です。32分音符なら0.0625秒という「瞬間」です。陸上のトラック競技を見ていれば、この1/10秒がどんなに短い差であるかは感じられますよね。そんな、「シビアなタイミング」のなかで、我々は音楽をしているのです。

 1/100秒のシビアなタイミングを感じることは出来ても、自分で意のままに操作できる事とは違います。我々、楽器奏者の時間のコントロールは基本的に「分数」です。先ほどのアレグロのテンポでは1拍の1/4の16分音符が0.125秒です。「クタクタ、クタクタ」で0.125秒をコントロールしています。ジャズのアップテンポなナンバーだったら200BPMは珍しくありません。そんな曲では0.15秒の8分音符を我々は吹いている訳です。また遅い曲、べったべたのバラードでもタイミングの取り方は同じです。60BPMなら1拍は1秒、8分音符は0.5秒となりますが、この遅い時間世界にも難しさがあるのが音楽の厳しさです。 1/100秒の揺れがあればそれがバレてしまうのですから、スローな曲ほどタイミングがシビアになります。バラードソロを採譜した楽譜には、32分音符やら7連譜などの見たこともない音符表現が出てきます。これはオリジナルのプレーヤーが、「そう吹こうと思って吹いた」のではなく、「プレーヤーのニュアンスを採譜したらそうなった」ということです。その楽譜通りに吹いても、オリジナルの演奏の雰囲気は多分でないでしょう。

 ジャズのフレーズのタイミングには特徴的なお約束があります。スイングです。楽譜に8分音符で、「タ、タ、タ、タ」と書いてあってもそう吹いてはいけません。「たつた、たった」という感じの、「8分音符+8分音符=付点8分音符+16分音符」に近い雰囲気のタイミングで演奏します。しかしこれは「近い」だけであって、そのものではありません。ジャズのスイングのタイミングは多くのプレーヤーが解説していますが、最後は「ジャズらしくスイングしたフレーズ」というあいまいな言葉で終わってしまいます。しかしそこには1/1000秒のコントロールが存在します。微妙なタイミングのスイングも、フレーズごとにぶれてしまえば音楽になりません。いやあ、音楽って難しいですね。

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Written By: sax on 12月 6, 2017 No Comment

楽器を演奏する人間にとって、楽譜は切っても切れない必須の「道具」でしょう。モダンジャズのプレーヤーの中には、「楽譜も読めないし、コードの知識もない!」と言い張って、素晴らしい演奏をしてしまう「希少生物」もたまにいるようですが、やはり凡人プレーヤーには楽譜は重要な相棒です。そんな重要な「楽譜」ですが、その秘めたる能力が意外と見過ごされています。

 楽譜は「良い楽譜」と「悪い楽譜」に分けられると思います(独断です!)。良い楽譜は読み易く、演奏し易く、導く音楽に生き生きとした力を与えます。悪い楽譜は読み難く、楽器の指が動き難く、なんか気持ち悪い楽譜です。細かく指摘しましょう。1小節の中に、「8分音符、4分音符、4分音符、4分音符、8分音符」(略して、8+4+4+4+8と書きましょう)があります。「タタ、ンタ、ンタ、ンタ」というジャズ特有の裏打ちフレーズです。この譜割は、「8+8+8休符+8+8休符+8+8休符+8」と記譜することも出来ます。この記譜のほうが、「表を休んで裏打ちを繰り返す」というフレーズの特徴がより分かり易くなります。そう、「より分かり易い」のです。プレーヤーによって、楽譜の記載への「分かり易さ」は異なります。主にジャズを演奏するか、吹奏楽を演奏するかでも違うでしょう。ビッグバンドかブラスバンドか…。トロンボーン奏者かサックス奏者か…。プレーヤーの演奏する音楽やスタイル、楽器によって慣れ親しんだフレーズも違うのですから、書いてある楽譜の「特徴」や「読み易さ」も異なります。ですから、楽譜は自分で書き換えましょう。手書きでもコンピュータの記譜ソフトでも良いので、自分に合わせて楽譜を書き換えることをお勧めします。手元の楽譜に何の問題もない場合は書き換えの必要はありませんが、少しでも「吹き辛い」と感じたら、楽譜を自分なりに書き直してみてはいかがでしょうか。

 書き直しにはいくつかのコツがあります。付点4分音符と8分音符が並んでいたら、付点4分の領域の余白を、8分音符のそれの3倍取りましょう。1小節の中の音符の場所で、音符の長さやタイミングをイメージできるようにしておくと、とても演奏し易いです。逆に付点4分音符、8分音符、2分音符等の異なる長さの音符のスペースが同じにしてある譜面だったら、読んでいて凄く気持ち悪い楽譜になると思います。B(♯が5個)やD♭(♭が5個)なんて楽譜は、楽譜中の音符に臨時記号として♯や♭を書いてしまうのも良いでしょう。忘れないようにメモする感覚です。ジャズやポップスの楽譜なら、1行は4小節(か、その倍数)で記譜するのが妥当です。コード進行やフレーズの区切りが4小節や8小節になっているので、楽譜を追うのが超楽です。1行に5小節や7小節かおる譜面は、とても読み難いです。

 優れた写譜職人が書いた楽譜はとても読み易く、楽譜から美しい音楽が聞こえてくるような感じすらします。大昔の写譜ペンによる手書きの譜面と違い、現在はほとんどがコンピュータソフトによる楽譜ですが、それでも写譜職人のセンスによって楽譜の良し悪しが存在します。難しい楽譜が配られたら、まず自分で書き直してみませんか。どんなハードな練習よりも、効果的な上達の早道になるかもしれません。

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Written By: sax on 11月 29, 2017 No Comment

サックスを吹いた後は、必ずスワブを管体に通して水分を除去してください。サックスのお手入れの基本中の基本です。英語の「swab」は床を拭くモップとか綿棒の意味ですが、細くて覗くこともままならない、サックスの細いパイプの内部をしっかりと拭いてくれているのだろうか、とか、中で詰まってしまわないだろうか、とかスワブヘの「不安」は結構ありますよね。
 サックス用スワブクリーナーは、その形状から数パターンに分類出来ます。ハンカチ形状の布に紐をつけた「普及型」、何らかの形状保持構造を伴って管体内部を円形になぞるように作られた「パイプ内密着型」、布そのものの形状や構造で管体内部への接触率を上げようとした「もしゃもしゃ型(?)」等色々あります。近年の流行としてほとんどのスワブに、管体内にスワブが詰まってしまった場合に引き戻す、「詰まり防止戻し紐」が付いています。サックス管体の上部にはオクターブパイプと呼ばれる突起が出ているため、それがスワブを詰まらせてしまう場合が少なくありません。この戻し紐でベル側に引き戻せば、かなりの確率で詰まりを治すことが出来ます。ちなみにスワブ詰りがどうしようもなくなったときには、迷わずリペアスタッフに頼みましょう。素人技で何とかしようとすると、このオクターブパイプを破損したり、管体内部を傷つけたりしてしまいます。

 どんな形状のスワブでも、水分の吸収性能はかつての物から飛躍的に向上しているようです。かつてのスワブは木綿や合成シルクが吸水布の材質でしたが、いまではマイクロファイバー素材等の特殊な繊維で、ちょっとした水分も根こそぎ吸い取ってくれるようになっています。しかしポイントはここです。スワブは基本的に水分吸収のためのものです。管体内部を雑巾がけのように「擦って綺麗にする」訳ではありません。長期に渡ってお手入れをサボり、管体内部にホコリ等が溜まってしまった場合には、スワブによる掃除では効果がない場合があります。手入れをサボる→残った水分にホコリが付着する→管体内部にホコリが残る→ホコリにホコリが蓄積する、という最悪の展開は避けてください。「パイプ内密着型スワブ」や「もしゃもしゃ型スワブ」で何とかなる場合もありますが、最悪の場合、悪臭を放って来て、分解掃除という可能性も無い訳ではありません。

 スワブの正しい通し方、って有るんでしょうか。お勧めの作法はあります。基本、椅子に座ってやりましょう。膝の上にサックスを立てて、ベル側からスワブの「先紐(戻し紐ではないほう)」を入れ、管体を逆さにしてその先端をネック側から出します。そこからサックスを膝の上にサックスの上を右側にして置き(右利きの場合)、ゆっくりと先紐を引いていきます。そのときベルに吸い込まれていくスワブ本体が丸まったり、絡んだりしていないかを確認してください。スワブ本体が管体の中程あたりに達したら、左手で押さえるキーを左手で塞いで先紐を引いていきます。こうすると、パッドの裏側に付着した水分も吸収することが出来ます。スポン、とスワブがサックス上部から抜けたら大成功。これを数回繰り返して掃除はOKです。あ、ネックとマウスピースの掃除も忘れないでください。
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Written By: sax on 11月 22, 2017 No Comment

今日はサックスの彫刻の話しをしましょう。どうやって彫るか、何故彫るか、彫るとどうなるのか、など等、意外と知られていないようです。サックスの「刺青」とも言われる管体彫刻の「へえ~!」なネタです。
 管楽器の彫刻は何故するのか。簡単です、「綺麗だから」です。どんな楽器も美しい音を奏でるというその特質から、楽器そのもの自体も美しくあることを望まれました。近代の我々は電子・電気楽器の台頭で、楽器自身の美しさについて無頓着になってしまっている感は否めませんが、かつて楽器は高度な工芸品であり、絶対的な美しさが求められていました。サックスも彫刻入りは彫刻無しより、価格も高く設定されています。また「ピカピカ・ツルツル」な表面を多く持つ管楽器では、傷や汚れ、サビなどの表面劣化を目立たなくするという意味心有るようです。しかし良く言われる、「楽器管体の振動特性を変化させ、音色を変える」というような効果は、科学的には「?」なようです。

 管楽器彫刻の方法には、職人による手彫りとレーザー彫刻の二種類があります。レーザー彫刻はその名の通り、コンピュータ制御されたレーザー照射機が、管体に微細な傷を焼き付けておこないます。プログラムされたパターンが寸分の狂いもなく刻印されますが、主流はいまだに、職人の味が出る「手彫り彫刻」です。手彫り彫刻の道具は幅1~2ミリの彫刻平刀(ひらとう)です。この刃物を左右に細かく捻っていき、管体の上を「右、左、右、左…」と刃の左右を交互に進めながらジグザグの線を描いて行きます。サックスの彫刻を良く見ると、どんな細かい線も一本の直線・曲線ではなく、「W」が縦に連続したギザギザ線によって模様が描かれています。彫刻刀は非常に細く浅く、塗装面のみに傷を付けていきますが、それをジグザグの線にすることで、「模様を構成する目立つ線」になります。ジグザグ線の太さは彫刻刀の幅を変えて表現します。線の濃さはジグザグ線の波の密度で調整されます。このように管楽器の彫刻には高度な技術と芸術的センスが必要とされるため、一流と呼ばれる彫刻職人の数は決して多くないようです。真偽は定かではありませんが、数十年前に米国セルマー社のサックス彫刻の専属の職人さんが亡くなり、ある期間「彫刻なしモデル」しか生産されなかった、という逸話もあります。

 サックスの彫刻には花やツタ等の植物系やリボン等の柔らかいカーブの図柄が多いようですが、変わり種としては、ヴィンテージコーンの「Naked Lady(裸の女性)」や、建物や船などもあるようです。ヅインテージのアメセルとフラセルの見分け方のひとつで、フレンチセルマーは花のつぽみで、同時代のアメリカンセルマーは花が咲いている図案、というのも有名な話ですね。ほとんどのサックスの彫刻はベル部のみですが、ネックやキーカップにまで彫刻を施した、「特殊彫刻モデル」も数多く存在します。一部のサックスプレーヤーはこのようなモデルを「バリ刻」と呼んだりしています。「バリバリに彫刻したモデル」という意味なんでしょうか?
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Written By: sax on 11月 15, 2017 No Comment

テレビの通販番組等で、「目からうろこの新製品!」を良く見かけます。台所周りのキッチングッズに多いですよね。ネットのショッピングサイトでも、ついつい「おお、これは便利!欲しい。」と思って「ポチッ」と購入してしまうものが少なくおりません。しかし、それらの多くは、最初は夢中になりますが、だんだん使わなくなってくることが多いようです。「あれ、どこに仕舞ったかな?」、ってやつです。サックス関連のグッズの中でもそんなものが結構ありますよね。

 猟奇的とも言われるサックスの「音質改善グッズマニア」向けの製品は、古代(?)より綿々と現れては消え、消えては現れを続けています。「あれって、今もあるのかな?」と調べると、多くの場合「現役」だったりします。元々が母数の少ないサックス奏者のみが相手ですので、流行しても廃れても、そんなに浮き沈みは無いのではないでしょうか。

 私が近年最も感動したのは、サックスのネジやネックの接合部など、金属の接触面に塗る「振動改善オイル」です。オイルに特殊なものが配合されており、それを隙間に塗ることで、金属同士の振動の伝導率を向上させるというもので、いくつかのメーカーが似たようなものを出していたような気がします。最初は音質の激変がうれしくて、そこらじゅうに塗りまくった記憶がありますが、今は…塗ってませんね。そういえば、大昔にネックに取り付ける「パワーウェイト」とかいうものを使っていました。ネックのコルクのすぐ下にネジで取り付ける細長い流線型の重りです。息の通りが良くなって、サウンドがパワフルに…なった気がしました。これも今では使ってませんね。どこにやったかな?ネックの重りはある時期のサックス奏者の流行になりました。釣り用の鉛の重りをネックに巻き付けたり、硬貨をテープでネックに張り付けているサックス奏者もいました。なかなか見た目はグロテスクでしたね。(笑)

 リードに針で小さな穴をおける道具もありました。「プチン」と穴をおけると、そのリードが新品のように蘇った…ような気がしていました。何故か今は使っていません。専用の器具でなくても、細いキリやドリルで穴を開けることを推奨しているリード楽器プレーヤーもいらっしゃるようです。リードの振動の特性を変化させるようですが、上手くいけばOKですが、失敗も無い訳ではないようです。

 チタンや銀などの特殊金属のネックスクリューは定番商品になりつつあります。金属や木製のサムレストとサムフックも色々なメーカーから定番グッズとして出ています。これらも出たばかりの時は斬新でした。装着して試奏して、めちゃくちゃ感動した覚えがあります。パッドレゾネーター(パッドの中心の反射板)を特別な素材や形状のものにするのが流行った時代もあります。こういうのって、良いも悪いもないですよね。楽しいのが一番。サックス奏者で良かったぁ!
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Written By: sax on 11月 8, 2017 No Comment

サックス本体の次に大事な存在、マウスピース。いや、マウスピースが無ければサックスは音が出ませんから、実はサックス本体よりも重要かもしれません。あなたのサックスのサウンドの特徴も、フレーズのコントロールも、また楽器の吹き易さもマウスピース次第です。マウスピースに関する「細かい注意点」についてお話しします。

 ポップス系、ジャズ系のサックス奏者の中には、マウスピースの「状態」に関して無頓着な方が少なくないような気がします。演奏した後は、サックス本体にスワブを通して水分を取り、マウスピースの中にも小型のスワブを通して、「お手入れおしまい!」、ってパターンです。このパターンのサックス奏者は多いですよね。それどころか、「何にもしないでケースに収納!」、なんて超ズボラサックスプレーヤーだって少なくありません。このような演奏後のお手入れでは、マウスピースの周りに唾液のタンパク成分がこびり付き、それが積層していき、和菓子の「きんつば(あんこの周りを小麦粉の衣を塗って焼いたもの。分かるかなあ?)」のようになってしまっています。「いやあ、自分以外吹かないし、音にも関係しないから良いでしょ。」、という言い分が多いようですが、マウスピースの汚れは、実はサウンドの質に対して決して無関係ではありません。

 ちょっと話を別の視に移しましょう。マウスピースパッチです。マウスピースに歯形が着くのを防いだり、前歯に伝わる振動を抑えるために、マウスピースの歯が当たる部分に貼るシールです。クッション性や歯の滑り具合などから、厚いもの薄いもの、硬いものソフトなものと、数多くの種類が出回っており、奏者によって好みが分かれるようです。このマウスピースパッチによって、吹くときの奏者の感覚だけでなく、サックスから出てくるサウンドも変わることをご存知でしょうか?厚手で面積の広いマウスピースパッチを貼った場合のサックスのサウンドと、マウスピースに何も貼らない場合とを較べると、パッチを貼った音はわずかに「輪郭の甘い音」に感じると思います。その理由は、マウスピースパッチがマウスピースの振動を吸収する、「吸音材」になってしまっているからです。サックスのサウンドの源泉の振動を作り出すマウスピースですので、ちょっとした事でもサックスのサウンドに影響が出てしまう訳です。

 話をマウスピースの汚れに戻しましょう。もうお分かりですね。こびり付いたタンパク汚れやメタルマウスピースの「サビ」は、マウスピースにパッチをべたべたと貼りまくっているのと同じことです。この汚れによって、サウンドが「眠く」なります。また経年変化で素材が劣化したもの、落として内部に見えない傷があるもの、などなどマウスピースの振動を本来のものから変化させてしまいます。高品質なエボナイト(ハードラバー)は経年変化が少ないようですが、安価なもの、アクリル系樹脂等は数年で「寿命が来る」とも言われています。マウスピースは大切に扱ってくださいね。
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Written By: sax on 11月 1, 2017 No Comment

まだちょっと早い気もしますがもうじきクリスマスです(か?)。クリスマスにはクリスマスツリーが付き物ですが、このツリーを見るといつも、遠い昔に尊敬するリペアマンさんに言われたことを思い出します。「木管楽器はこのクリスマスツリーなんだ。だから上下に揺らしたらいけないんだよ!「は?なんのこっちや。」の話しです。

 サックスの構造を極限まで簡略化すると、パイプの周りに何本かのバーが平行に沿って配置され、そのバーから垂直に生えた枝の先にトーンホールを塞ぐキーカップが付いている、なんて構造になります。フルートもクラリネットも、ほとんどの木管楽器がこの構造です。で、クリスマスツリーです。真ん中の太い幹から沢山の枝が生えています。枝の先にはサンタやら銀のボールやら、トナカイなどの「飾り」がぶら下がっています。このクリスマスツリーの幹を持って、上下に揺すったらどうなるでしょう。中心の幹の上下動が些細なものでも、枝の先は大きく揺れます。ぶわんぶわんと揺れ続けます。これが、「幹と枝とおもりの原則」です。この原則をサックスに当てはめて考える訳です。

 あなたは自分のサックスをケースに入れて運んでいます。今流行のリュック型パックケースで、中のサックスは縦になっています。あなたが歩けばケースも揺れる、そして中のサックスも上下に揺れます。その揺れはシャフトから伸びたアームとその先のキーカップを揺らします。キーカップはトーンホールを塞ぐために、ある程度の大きさの金属のお皿とパッドです。

この先端のおもりの重さは、アームの長さが長い程テコの原理で増幅されます。サックスが少し上下に揺れただけでも、極端に考えればキーカップの先端は「ゆっさゆっさ」と上下に揺れ、それを支えるアームはグイグイとしなっているのです。そんな揺れが続けば、トーンホールをぴったりと塞ぐように調整されたパッドの位置は、ずれてしまうのが当たり前です。このクリスマスツリーの法則(?)に則って、「フルートを縦にして運ぶな」という指導者やリペアマン、専門家は少なくありません。

しかし現実問題、サックス族のアームは強靭ですので、「サックスを縦にして揺らすな」というひとはあまりいませんが、こんな話を聞いた皆さんはもう心配になっていますよね。(笑)
 そんな心配を一掃するのがキークランプです。サックスのキーを全部塞いだ状態に固定する、「移動時のサックスダメージ回避用品」です。サックスを持って移動する際、特に揺れが続くときには、サックスのキーをキークランプで固定しておくのが安心です。クランプが無くても、2cmほどのコルクの切れ端が7、8個あれば、サックスの解放キーをすべて塞ぐことが出来ます。

工場出荷時のサックスは、クサビ形のコルクのチップですべてのキーを塞いで固定しています。特にキーアームが長く、カップが大きいバリトンサックスには効果大です。「心配し過ぎだよ!」という前に是非お試しを。調整に出す頻度が少なくなること間違いなしです。
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Written By: sax on 10月 25, 2017 No Comment

サックス奏者ばかりでなく、管楽器奏者にとって「呼吸法」は非常に基本的な課題です。基本的であるにもかかわらずその奥は深く、プレーヤー人生において常に向き合っていなければならない「永遠の課題」でもあります。普段我々の誰しもが、「人間として生きるためにしている呼吸」をしている訳ですが、楽器を吹くための呼吸はそれとは全く違い、「管楽器を鳴らすための呼吸」をしなくてはなりません。今日は管楽器奏者の呼吸の話しです。
 普段私たちがしている呼吸は、息を吸うときも吐くときも、特別な意識はしていません。しかしサックス演奏のための呼吸は、最短時間で最大の空気を吸い込み、かつ完全なコントロールをしたうえでそれを吐き出す、という「サックスを鳴らすための息の出し入れ」になります。そう、「呼吸」ではなく、「空気の出し入れ」です。このとき奏者の身体の呼吸器系は楽器に対して、「能率の良いポンプ」でなければなりません。この「ポンプ」と楽器の相性によって、楽器の鳴り得る最大限の良い音が出る場合もあれば、楽器の性能を生かし切れない、残念なサウンドにもなってしまう訳です。息の吸い方、吐き方の詳細に関しては多くの「セオリー」が書籍や先生から伝えられていると思いますので、ここでは特に触れません。注目していただきたいポイントは、「息の見つけ方」です。
 「自分はポンプ」と考えても、身体の機能は奏者の体格や性別、身体能力によって千差万別です。目的とする「息の吸い方と吐き方」が同じだとしても、その「方法」は人それぞれのはずです。これゆえに、「息を見つける」という練習が必要になります。最短時間で大量の空気を体内に取り込むためには、自分はどこに力を入れ、どこを緩める必要があるか、またその方法に無理はないか…。息のエネルギーすべてをサックスのサウンドに変換するために、自分の喉はどんな角度で、どんな太さで息を出せば良いのか。またその息のスピードと当てる場所、舌や口腔内での空気の流れのコントロールはどのようにすれば良いか…。これらの要素の「出すべき結果」はある程度見えています。しかし、「方法」は自分で探るしかありません。あなたのサックスレッスンの先生も、出てくるサウンドは聞いて判断できますが、あなたの口の中の舌の形を見ることは出来ませんし、そのときのあなたの身体全体の筋肉の緊張度を見極めることは不可能です。ですので、自分で「見つける」しか無いのです。
 息を見つける方法は奏者によって色々ですが、重要な基本は「注意深く自分とサックスと出てくる音を観察する」ことです。左右の背筋、おへその下、肩甲骨等、色々なところに神経を集中して息を吸ってみて、どの方法が一番自然に大量の空気を吸えるかを「探って」みましょう。お腹や喉のどこに力を入れ、どんな舌の形で、どんな角度で息を吹けば、リードが「自然に鳴ってくれる」のかを観察しましょう。色々なことを試し、色々なことを確認し、色々な結果を導き出して、「自分の息を見つける」努力を継続しましょう。その努力によって、あなたとあなたのサックスとの良い関係が築かれ、最高のサウンドで音楽を演奏出来る状態に近づくと思います。
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Written By: sax on 10月 18, 2017 No Comment

前回はリガチャーの一般的な特性についてお話ししましたので、今回は実際にリガチャーを 「選ぶ」際の注意点についてお話しします。
 新しいリガチャーを選ぼうとしているということは、今使っているリガチャーヘの不満があるという事です。はっきりした不満は感じていなくても、「何か音がぼやけている気がする」、「マウスピースの性能が十分出ていない気がする」等の、もやっとしたものかもしれません。少なくとも今使っているリガチャーがマウスピースに付属の物だったり、出所不明の雑な造作の物だったりする場合は、市販の個別売りのリガチャーに交換すれば、たとえそれが高価なものでなくても、ほぼ確実にサウンドは改善すると思います。良いリガチャーはサウンドばかりでなく、吹奏感も改善します。息が通り易く感じたり、少ない息で十分な音量を出せたり、音の強弱のコントロールがし易くなったりします。しかしここで、「わー、最高!このリガチャーにしよう。」、と決めてしまうのは考え物です。何故なら、普通のリガチャーを使えばみんなそうなるからです。要は今まで使っていたリガチャーが「ちゃんとしていなかった」だけなのです。リガチャー選別において、多くのサックス奏者がこのギャップに魅せられて、必要な検討にまで至らずに新リガチャー購入を決めてしまう傾向にあります。そしてそのリガチャーを使っているうちに、また新たな不満に気づき違うリガチャーを検討する、というリガチャー探しの無限ループに入り込んでしまいます。もちろん、息が通り難い、息のパワーを取られる、音の強弱のコントロールがし難い、なんて感じるリガチャーは論外ですが、その上にある「サウンドの改善」という目標を忘れないでください。もちろん、その目標があるならばですが…。吹奏感の改善目的でリガチャーを新調するのを否定するわけではありませんが、せっかくの高額な買い物ですので、サウンドの改善を目論まない手は無いと思います。現状のサウンドへの不満を思い返し、それを改善するリガチャーを、試奏を録音するなどして慎重に選んでください。
 リガチャーの交換で期待できるサウンドへの変化はいくつかありますが、そのひとつに 「音の濁りを取る」があります。なにかもっさりと濁っているサウンドが、適切なリガチャーを選ぶとすっきりとクリアな音になります。メタルマウスピースであれば、「共鳴する」リガチャーを使うことでサウンドの輪郭を増強することが出来ます。ラバーマウスピースであればベルト系のリガチャーで「倍音を整理」してサウンドを整えるのも良いでしょう。リガチャーで「音を明るく」することも出来ます。クリアと明るいは同一線上ですが別問題です。倍音豊かに響くリガチャーを探す訳ですが、この倍音構成(サウンドカラー)は奏者の好みです。リガチャー特有の個性を較べながら探してください。「音を締める」ことにもリガチャーが貢献できます。マウスピースを均一に振動させることでこの効果が出ますので、あまり共鳴しないリガチャーが良いでしょう。マウスピースが明る過ぎるサウンドなら、リガチャーで高音域の倍音を抑え込んで、「ダーク」にすることも可能です。このような、「方法」と「結果」を考えながら、リガチャーの選択をすることをお勧めします。
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Written By: sax on 10月 11, 2017 No Comment

サックス奏者の特徴というか、宿命(?)が「セッティングの試行錯誤」です。マウスピースやネック等の部分の交換。サムレストやサムフック、ネックスクリュー等の部品の交換…。ストラップやクリーニングスワブ、リードケース等の周辺小物の検討…。お金と根性の続く限り、サックス奏者の「果てしのない旅」は続きます。その中でも一番「病気にかかり易い」のが「リガチャー」ではないでしょうか。千円前後の超安価なものから、数万円の「猛者」までバリエーションが多数あり、かつ見た目のアピール度も千差万別。はたまたサウンドへの影響も多大と来たら「病気」にならない訳がありません。そんな病気にお役にたてるかどうかは分かりませんが、リガチャーを理解するための、その仕組みについてお話しします。
 リガチャーの基本機能は単純です。リードをマウスピースに固定して、リードが安定的に振動して音を出せる環境を作るのがリガチャーの仕事です。リガチャーの原点は、「紐でぐるぐる巻きにして縛る」でした。それが「輪っか」型の金属ベルトをネジで締める形に変化し、ネジを上側にした「逆締め」が登場、またオットーリンクのリガチャーのようなネジでリードプレートを押し付けるタイプなども出てきました。リガチャーの構造による機能性は各々特徴がありますが、重要なのは「リードを均一な力でマウスピースに押し付けて固定する」ことです。どんな優秀な機構のリガチャーでも、無造作にセットすれば均一性や安定性が得られません。順締めリガチャーならギャップはリードの真ん中にしましょう。逆締めリガチャーは、左右からのベルトの力が均一になるよう、指でリードとリガチャーベルト部をしっかり押さえながら締めましょう。リードプレート型リガチャーでは、締めネジの中心がリードの中心とマウスピースの芯を貫くようにセットします。リガチャーがリードを最適に固定できるかできないかは、あなたの注意深さ次第です。ちゃんとセットすると、安価なリガチャーでも予想以上のサウンドが得られる場合もあります。
 リガチャーはリードを固定する以外に、「マウスピースの振動の手助け」という機能も持っています。マウスピースはリードの振動に共鳴し、サックスのサウンドの源流を生み出しますが、その源流の音の生成に参加しています。色々な形がある金属製リガチャーのほとんどは「共鳴子」として振動を増幅します。増幅する振動の周波数特性が「そのリガチャーのサウンド傾向」です。逆に厚い樹脂ベルト式のリガチャーは振動を吸収します。振動の吸収は決して「音を無くす」ことではなく、特定の倍音を制御することでもあり、マウスピースの不要な周波数を抑え込んでサウンドを改良します。糸系、紐系、針金系のリガチャーはあくまでも「振動しない」ことに重点が置かれていることが多いようです。マウスピースのサウンドに対して余計な足し算も引き算もしない、奥ゆかしいリガチャーです。
 以上のリガチャーの特性はあくまで一般論です。リガチャーによってサックスのサウンドは激変しますので、お財布と相談しながらリガチャー選択を楽しんでください。
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