Written By: sax on 6月 6, 2018 No Comment

どんなケースにおいても、「慣れ」が「油断」を生み、結果を悪い方向に導いてしまう場合があります。サックスという楽器の演奏においても、「慣れ」への注意が必要です。演奏技術における「慣れ」は、演奏そのものに余裕を生み出してくれるはずですが、正しくない奏法に慣れてしまうと、思わぬ失敗や、不要な苦労をしなければならないかもしれません。サックス演奏技術の誤解や悪い癖について考えてみることで、悪い「慣れ」から抜け出しましょう。

 管楽器を演奏するひとが必ず教えられるのが、「息をいっぱいに吸いましょう」ということです。この「いっぱい」って、いったいどのくらいなのでしょうか。これ以上吸えないというくらい肺を息で満たすのでしょうか?うーん、通常の演奏では息継ぎ箇所も多いので、そんなに息を吸っても無駄になりそうです。そのような「現実」から、サックス奏者は「吸気」を怠けがちになります。長いテヌート等の息が大量に必要なフレーズでは、譜面に「Big Breath」と書き込んだり、パートのメンバーで息継ぎ場所の「談合」をしたりして、息の量の帳尻を合わせるのが通常ですが、これによって「少ない吸気」の癖がついてしまいます。その結果、やたら息継ぎが頻繁になったり、アドリブのフレーズがブツブツに途切れたりする結果を生み出すことがあります。「吸気」は、自分が自然にできる範囲で、「いっぱい」するのがベストです。自分なりの適正な「いっぱいの息」を練習の中で見つけ出し、それに慣れるようにしましょう。少ない吸気に慣れてしまっていないかどうか、時々チェックするのも良いでしょう。

 バンドやアンサンブルで、他人の音を聴かないのも、有りがちな良くない癖でしょう。自分の演奏の音だけに集中してしまい、周りの音を聴かないと、音程や発音のタイミングのずれが放置されたり、バンドの音量バランスの崩れの原因となります。楽器初心者の時期は、自分の音に神経を集中させ、いわゆる「いっぱいいっぱい」の状態だと思いますが、楽器に慣れるにしたがって、周りを聴く余裕を作る必要があります。周りの音を聴かない奏者のいるバンドは、いくら練習してもサウンドがまとまりません。合奏をするのなら、ひとの音に自分の音を合わせることに慣れましょう。

 首の角度も、サックス奏者の悪い癖になりがちです。左右、上下の首の角度は、そんなに厳密に決めなくてもサックスは音が出ます。しかしその影響は、少しずつ色々なところに出ています。あごの上下は息のリードへの当たり具合を変化させます。リードが最適に振動せず、音が曇ったりもします。下を向き過ぎて、喉が閉まってしまう場合もあります。首の角度は結果的にサックスの位置にも影響します。指が一番軽やかに動く、サックスの位置で構える必要があります。首の角度で運指の自由さを損なっているかもしれません。譜面を見ながら演奏をするビッグバンドのサックス奏者は、首をかしげて譜面にネックが重なるのを防ぐことがあります。そんな場合は、ちゃんとマウスピースを捻って、口に水平に当たるようにしなくてはなりません。悪い首の角度に、慣れないでくださいね。

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Written By: sax on 5月 30, 2018 No Comment

楽器の演奏は、少し前なら(今でも?)「習い事」の範疇でした。ピアノのお稽古、バイオリンのレッスン、三味線のお師匠さん、など等は、これらが習い事であるがゆえの呼び方です。サックスがいくら比較的簡単に音が出せる楽器だとしても、まったくの独学で超絶技術や豊かな音楽性にたどり着く人は少ないでしょう。ほとんどのサックス奏者は、専門の先生や先輩など、誰かしらにサックスを習った事があると思います。習う、教わるにしても、教えられる側の姿勢次第で、その効果は格段に変わります。演奏技術の向上、練習のヒント等については何度か紹介していますが、今日は「上手な習い方」についてお話しします。

 表題の「何故何故くん(なぜなぜくん)」というのは、何でも質問してくる生真面目な生徒の事です。「タンギングはトゥトゥトゥトウという発音で舌を動かして!」、「何故トゥトゥトウトウなんですか?」、「そうすると息を断続的に切ることが出来るからだよ」、「何故息を切るのですか?」、「音を適切な長さで切るためだよ」、「何故…?」、果てしない問答合戦のようですが、レッスンで「何故」はとても重要です。教えられたことの原因、意味を知ることで、その指示の真意が理解でき、練習の方向性や自分に合った修正方法も導き出せます。とは言え、「何故?」が嫌いな先生も少なくありません。「黙って言う通りにやっていれば良いんだ。質問なんて10年早い!」と言われたら…、謝って黙っていましょう(笑)。レッスン後に自分で、そのときの「何故」をゆっくり考えましょう。仲間に聞いても良いでしょう。少なくとも何かを教えられたら、その指示に隠れた「何故」を探し、その「何故」を解決したうえで練習に勤しみましょう。

 何故、何故にこだわるのか。それはあなたが「プレーヤー」だからです。音楽を聴いて感動する「聴衆」の側の人間では無く、音楽を通して感動を届ける、演奏者の側の人間だからです。聴衆に理屈は要りません。何故感動するのか、何故楽しく無いのかも、その理由を考える必要はありません。しかし演奏者は、何故聴衆が感動するのか、どうしたらどう感じるのか、どんな音がどんな感情を何故引き出すのかを考える必要があります。演奏者は常に「何故」を考える必要があるのです。もちろんあなたのサックス人生で解決した数えきれない数の「何故」は、いずれあなたの身体の中に溶け込んでしまい、意識からは消えてしまうでしょう。でもしっかり身体は記憶し続けます。

 ステージ上で客席に向かい、美しい旋律があなたのサックスから放たれます。あるときは艶やかな音で、またあるときは透明感あふれる繊細な音で旋律を歌い上げます。そのステージが聴衆を感動させているのは、あなたのその音が、あなたの中に積み重ねられた無数の「何故」から導き出された音だから、だと思いませんか?いやあ、説教臭くてすみません。

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Written By: sax on 5月 23, 2018 No Comment

サックス奏者が絶対に起こってほしくない事故は、「自分のサックスが車に轢かれてペシャンコになる」でしょうか(?)。その次位のレベル(?)のアクシデントが、「サックスの盗難」でしょう。決して遭遇したくない、このアクシデントについて考えましょう。

冒頭から怖いことを話すようで恐縮ですが、皆さんはリハーサルスタジオやカラオケ店で個人練習をするとき、自分のサックスやその周りの物の「盗難」に注意を払っていますか?さすがにサックス本体の「置き引き」の話しはあまり聞きませんが、マウスピースやメトロノーム、チューナーや録音機の盗難は、決して珍しい話ではありません。一般的にスタジオやカラオケ店の個室には鍵は着いていません。あなたがトイレに行った時、一服しに喫煙室に行ってる間、ロビーでコーヒー休憩しながらスマホでメールを打っているとき、あなたのサックスもマウスピースも、すべての持ち物は「無防備」なのです。部屋がいくつもある大きなスタジオやカラオケ店では、あなたの「留守」を見計らって、不届き者がこっそり部屋に入っても、誰にも見とがめられない確率は高いでしょう。昔は「スタジオ荒らし」は決して珍しくなく、利用者は細心の注意を払っていました。監視カメラが発達した現代でも、その手の悪行は無くなりはしないようですし、たとえ犯人を特定できる手段があっても、そこまでお店側か対応してくれるかの問題もあります。練習個室を離れるときは、大事なものは身に着けて出て行くか、分かり難いようにケースや大きなカバンの中に仕舞っておくのが得策です。

 

 サックスを電車の網棚に置き忘れて、後で気が付いたが出てこなかった。駐車場で車上荒らしにあい、トランクに入れておいたサックスが盗られた。野外ライブに出演し、バンド用の楽器置き場に置いておいた楽器が、いつの間にか無くなった。など等。みんな、「有り得る」悲しい話です。楽器が盗難にあったら、当然警察に盗難届を出します。楽器のシリアル番号は重要な情報です。写真や形状の特徴、モデル名、ケースのメーカー等も役に立ちます。とはいえ警察もあなたのサックスの為だけに仕事をしてくれるわけではありません。近隣の質屋さんや中古楽器買取りの店に情報を提供し、その楽器が持ち込まれたら連絡を欲しい旨お願いをしておくのも良いでしょう。SNSで情報を拡散するのも最近の常とう手段です。楽器保険も各損保保険会社が扱っていますが、保険料が出てもあなたのサックスは戻りません。ましてやヴィンテージサックスの場合は、保険会社からお金をもらっても、もうどうにもなるものではありません。保険金で同等品は買えても、あなたが吹いていたあの楽器ではないのですから。

所有する楽器が盗難にあえば、それは身を切られるほどの辛さでしょう。まずは絶対に目を離さない。目を離すときには絶対に取られない、チェーンロックやアラーム等の工夫をする。シリアル番号の控えや写真など、盗難届の際の資料の準備をしておく。今日の話しを聞いて、少しでも注意していただければ幸いです。

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Written By: sax on 5月 16, 2018 No Comment

サックスを吹いていると、避けることが出来ない…が、避けられるモノなら避けたいし、挑戦してもなかなか思うようにならない、ある技術の問題にぶち当たります。ビブラートです。ビブラートの有る無し、上手い下手でその音楽の表情は格段と変化します。ビブラートのかかった美しいサックスの音色は、聞いているものを恍惚とさせ、音楽の作った世界に引き込むほどの魅力を持ちます。ビブラートの練習に近道はありません。ひたすら練習を繰り返してください。

 ビブラートには音量型と音程型があります。前者は音量が小刻みに震え、後者は基準音を中心に音程が高低に揺れる音です。サックスのビブラートの基本は後者の音程型です。下あごを小刻みに前後させることでアンブシャの締まり具合を変化させ、音のピッチを変化させます。この顎の動きから「縦ビブラート」と呼ばれる場合もあります。音量型のビブラートはフルートなどの楽器で多用されますが、サックスの演奏で使う場合もあります。柔らかな音質で、ゆったりとした音量型のビブラートをかけると、風のうねりや小川のせせらぎをイメージするような優しいサウンドになります。基本、音量型のビブラートは腹筋で息の圧力をコントロールすることでおこないますが、同時に口腔内の形を変える事でより繊細に音量型のビブラートを生み出すことが出来ます。頬を動かす感じになるので、先の「縦ビブラート」に対して、「横ビブラート」と呼ばれたりもします。

 ビブラートは1拍に4回が基本、と言われますが、これは音程型のビブラートの場合です。往年のスイングビッグバンドのビブラートがこれに当たります。しかし正直なところ、1拍に4回、つまり16分音符の長さでぴったりビブラートをかけられたら奇跡です。重要なのは「合わせる」事です。ビブラートのタイミングがサックスセクション全体で合っていないと、それはまあ「ぐしゃぐしゃ」な音になります。揺れのタイミングも深さも、ぴったりと合うよう練習しましょう。音量型のビブラートは、アンサンブルよりもソロの演奏に使いたい「感情表現」のひとつです。長い音から次の音への変化の前に、助走として音量型のビブラートを付けると、よりフレーズに感情がこもります。パターンの定石はありませんので、名人たちの録音を聴き込んで真似ることで練習してください。

 ビブラートは、「オウオウオウオウ」やら「アウアウアウアウ」などの発音で練習するよう解説されている場合が多いようですが、自分に向いたやりかたは人それぞれです。手段を考えるより、自分のやりたい結果をイメージしての練習が重要です。ロングトーンでゆっくりとピッチを上げ下げし、その上げ下げのスピードを上げていきます。このとき「これ以上上げられない」と感じたら、きっと上げ下げの方法が間違っています。音量型ビブラートの練習でも同じです。求める結果は同じでも、それを実現する方法は人それぞれです。だからビブラートは難しいんです!

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Written By: sax on 5月 9, 2018 No Comment

サックス奏者の中には、サックス好きが高じて、サックスの調整や修理、改造に手を出す方々が少なくありません。そんなサックス奏者のサックスケースの中には、「何故?」と言いたくなるような工具や部品が入っていたりします。いわく、「突然の故障や不具合にも、いつでも対応出来るよう、工具や部品を持ち歩いている。」、とのこと。かなりの大掛かりな調整や修理も、DIY精神を発揮し自分でやってしまうようです。そんなマニアックサックス奏者仲間への「お誘い」として、サックスの調整・修理についてお話しします。

 ぶつけたり、倒したりしてサックス管体に出来た「打痕」、いわゆる凹みは、裏側から押すことで直します。長くて丈夫な「芯金」という金属棒を固定し、その先端に磨き上げた金属球(テントボール)を取り付けます。そしてサックスの管体を手で持って芯金を内側に差し込んでいき、凹んだ部分に芯金の先端の金属球を擦りつけて、内側の凹みを外へ押し出します。感が勝負の難しい作業です。また芯金でなく、「マグネットデントボール」という道具で直す方法もあります。強力な磁石と大きさの違う超硬金属ボールがセットになったもので、管体の外側に磁石、内側には金属ボールを当て、両者がくっ付こうとする力で凹みを潰していきます。サックス管体の金属の凹みを平らにしてしまうほどの強力な磁気ですので、使うときには細心の注意が必要です。最近では人間の手術に使うカテーテルとステントのような凹み修理道具もあるようです。凹みの場所まで管を差し込み、根元の機械のペダルを踏むと管の先端の部分が膨らみ、管体を内側から押し出します。

 テナーサックスの場合、最高音のF♯キーは無くても替え指で対応出来ます。逆にF♯キーが有ることで、楽器が重くなり響きに影響が出るとか、F♯のトーンホールで倍音が少なくなる、等の理由で「F♯キーを取ってしまう」改造が珍しくありません。F♯キーのメカニズムは意外に簡単に取り外せます。難しいのはパッドが無くなって開放になってしまったF♯トーンホールの塞ぎです。トーンホールにピッタリとした円形の銅板をロウ付けして穴をぴったり塞ぎます。銅板は管体内側の表面に凹凸無く付けなければいけませんので、管体の曲面に合った円弧を描いていなければなりません。ちょっと難しいかな?
 サックス奏者の多くの方が「やりたい!」のがパッド(タンポ)交換でしょうか。パッドの交換には、交換するパッド、熱で溶ける接着剤のシェラック、炎るバーナー、パッドを平たく押さえるタンポヘラ、トーンホールとパッドの間の隙間を確認するリークライト、等が必要です。比較的頻繁に交換が必要な高音部のトーンホールのパッドは、多くのキーが独立していますし、パッドもトーンホールも小さいので、交換はそんなに難しくありません。挑戦する価値はあると思います。
 サックスの修理・調整・改造の道具は、ほとんどネットから入手可能です。どうですか?やる気になりました?

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Written By: sax on 5月 2, 2018 No Comment

管楽器が音を発するには空気が必要です。人間の身体から発する空気で管楽器は音を鳴らします。サックスにしろトランペットにしろ、音の根源である息の供給をおこなうための呼吸、そしてそれを楽器に最適化するための呼吸法は、楽器をより良く鳴らすうえで必須の技術です。呼吸法、ブレスについて考えてみましょう。
 息を吐くためにはまず吸わなければなりません。サックスの呼吸法に関する教材では、多くの場合、この「息の吸い方」から学習を始めます。近年のサックス用呼吸法の解説には、 「背筋で腹腔を下側に広げ、肩甲骨を上げながら胸郭を広げて、瞬時に大量の息を吸い込む」、という上下から肺を引っ張って、最大限の空気を体に入れる方法が推奨されているようです。お腹の力だけで息をコントロールせず、身体全体で肺の容量を最大限にするという、「新腹式呼吸」とも言える呼吸法です。人間の身体の動きに関する限り、この方法が最善の方法です。「管楽器は腹で吹く」なんて思っていた方は、ちょっと頭を切り替えて、新しい吸気の理論を研究してください。「空気は肺にしか入らない→ならば肺を最大限に膨らませよう→下から上からそして前から肺を外側に引っ張る!」という概念から出てきた吸気法です。

 解剖学的には理論立った呼吸法でも、サックス奏者の立場で考えるともうひと工夫がなされます。まず呼吸のサイクルを、「吐くと吸う」という2アクションでなく3アクションで考える呼吸法です。アクション1は「息を吸う為に息を吐き切り、かつ身体全体の準備をする。アクション2は「体全体でたっぷりの息を吸い込む」、そしてアクション3は「楽器を鳴らしながら、ゆっくりとコントロールしながら息を吐く」です。アクション1と2は瞬間です。アクション3は出来る限り時間を取る、「サウンド」のためのアクションです。楽器を鳴らしながらの呼吸では、無意識のうちにアクション1を奏者はおこなっています。これをあえて意識することで、スムースにアクション2に移行出来、より良い吸気が出来るようです。
 たっぷりと息を吸うのは、長いフレーズを吹き切るためだけにする訳ではありません。サックスを鳴らしている間、リードの振動は楽器だけでなく、奏者の身体全体に共鳴します。血や肉には振動はあまり伝わりませんが、骨や肺の中の空気は、楽器から出るサウンドに影響を与えるほど振動するようです。なんてことを言っても、科学的な実験で証明されているわけでは無いようです。ただし経験的に、肺が息をたっぷり含んだの時に出すサウンドのほうが、息を排出しきる寸前のサウンドより「良く響く」という事は、サックス奏者の皆さんが実感していることではないでしょうか。限界容量の70%の息より、100%に近い息を吸ったほうが、絶対に良いサックスサウンドが得られます。沢山の空気が身体に力を与えてくれるのかもしれません。ということで、たっぷりと息を吸うのはとても重要です。良いブレスはサウンドにも確実に良い影響を与えます。

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Written By: sax on 4月 25, 2018 No Comment

どうにもこうにも答えられない質問のひとつに、「XXのマウスピースを使っています。このマウスピースに合うリードを教えてください。」、というのがあります。結論から言ってしまうと、マウスピースとリードの相性の良い組み合わせ、…なんてありません。奏者が吹き易く、欲するサウンドが出れば、どんなマウスピースにどんなリードを合わせても構いません。うーん、本当にそうなのでしょうか?
 バンドレン製のリードはバンドレン製のマウスピースでチェックされると思います。多分ね…。マウスピースのチェックという、逆の場合もそうだと思います。リコ社もマウスピースもリードも出していますので、同じかもしれません。しかし沢山のリードタイプのうち、どのタイプをチェックに使うかを類推するのは難しいので、「同じメーカーのリードとマウスピースは相性が良い」とは簡単に言えないかもしれません。ただし想像するに、「良い音」という曖昧なものに対する基準は共通しているのではないかと思います。そういう意味では、同じメーカーのリードとマウスピースは相性が良いのかもしれません。

 ティップオープニング(マウスピース先端の開きの大きさ)が大きいマウスピースには柔らかいリード、狭いティップには硬いリード、というのが一般的な組み合わせです。この常識も経験値でしかありません。狭いティップのマウスピースに柔らかいリードをセットすると、息の力でマウスピース先端にリードがくっ付いてしまい、音が出なくなってしまう場合が少なくありません。逆にティップの広いマウスピースに硬いリードをセットすると、リードを鳴らさずに息がマウスピースの中に入って行ってしまう場合があります。吹いても「スー」、吹いても「スー」です。これらの両極端の例にならないティップオープニングとリードの硬さの組み合わせが、「使えるセッティング」という事になるでしょう。ティップの広いマウスピースは、太くて大きな音が出し易く、ジャズテナー奏者の間では人気があります。狭いティップのマウスピースは、一般的にコントロールし易く、音程のピッチのブレも最小に押さえられます。ソプラノサックス奏者には、狭いマウスピースが好まれるようです。
 マウスピースのバッフル(リードに対面するマウスピース内部のリードとの距離。近いものをハイバッフル、遠いものをローバッフルと言います)の高さやボア(マウスピース内部の形と大きさ)のタイプによってもリードとの相性があります。ハイバッフルには硬いリード、ローバッフルには柔らかいリード、ラージボアには柔らかいリード、スモールボアには硬いリードを組み合わせるサックス奏者が多いようです。リードの振動の根元、「腰」の位置もサウンドや吹奏感に影響します。どれとは名指しは出来ないものの、やっぱりマウスピースとリードの相性って有るのかもしれませんね。ただ、吹くのが人間という個性豊かな存在ですので、きっとドンピシャの正解というのは無いのでしょう。吹いてて気持ち良いセッティング。これが一番です。

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Written By: sax on 4月 18, 2018 No Comment

サックスのサウンドは色々な要素で変化します。変化するし、してしまいます。奏者が望む方向にサウンドが変われば、それは進歩であり上達でしょう。逆ならば改悪、もしくは退化、スランプかもしれません。マウスピースやリードを変えるなどのセッティングの変化だけでなく、アンブシャの形、マウスピースを咥える深さ、息の吐き方など等、サックス奏者は「理想のサウンド」に向けてあらゆる努力をしています。しかし、それはあるときはただの徒労であり、無用な出費、無駄骨であり、あるときは目からうろこの大発見だったりします。いずれにしろ、サックス奏者のサウンド改善に対する苦労は、決して生やさしいものではありません。そんな「真面目な」サックス奏者に贈りたい言葉、それが「記録の重要性」です。

 サックス歴が10年程度あれば、かなりの種類のマウスピースを買ったり、試したりしていると思います。リードもしかりです。アンブシャも色々と試行錯誤してきたと思います。それが20年、30年となれば思い出せないくらいの努力が費やされたはずです。そう、「思い出せない」のです。「ああしたら、こうなった」、「アンブシャをこう直したら、こういうサウンドになった」、「xxのリードをリンクのx番で使っていた」、など等、覚えていられるのは数年が限度です。ですから私は、「記録」を推奨しています。

 自分のサックスのサウンドのチェックには、録音して聞いてみるのが一番効果的だと私は思っています。ですので、セッティングや奏法を変える場合には、是非、「録音して記録する」ことをお勧めします。今はデジタルレコーダーが安価ですし、操作も簡単です。「メイヤー6Mにリコジャズセレクトのミディアム、リガは付属品。ぶりぶり~(サックスの音)。」、というように練習のサックスサウンドの前に、そのときのセッティングを声で録音しておき、その一連の録音をファイルでPCやスマホに保存しておくのです。その録音は、当初はサウンドの比較の為の物でしかありませんが、保存を繰り返すことで溜まってきた音声ファイルは、あなたのサウンドの変遷の歴史的記録になり、セッティング改造の効果のサンプルにもなるのです。この音声ファイルが数年分溜まれば、あなたが今のサウンドや奏法に何かしらの疑問を持った時、その問題を瞬時に解決してくれる資料になるかもしれません。「あ、2年前のあのセッティングのほうが、今の音より良いかも」、なんて事に気づくかもしれません。サウンドファイルの保存が面倒臭い、という方はノートにメモするだけでも良いでしょう。サウンドの振り返りは難しいですが、吹奏感や楽器コントロールの難易度などは、紙へのメモでも十分役に立つでしょう。

 楽器を演奏する、音楽をやる側に立つ、ということは多くの場合、「長い旅」になります。旅の記録は単なる回顧の為だけでなく、次の旅の道筋を示す「道しるべ」にもなると思います。

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Written By: sax on 4月 12, 2018 No Comment

サックスのケースの選び方については、「ええ?また!」と言われるくらい何度もここで紹介してきました。過去の記事はかなり一般常識的なものが多かったので、今回は、「めっちゃ細かいケース選び」にこだわってみましょう。

 サックスケースはあなたのサックスが入ることが最低条件です。ただし、「正しく、適正に入る」必要があります。まずは「必要な隙間があるか」を調べる為にハンカチを使いましょう。パームキー、左手小指キー等、ケースに当たりそうな部分のケース側にハンカチを四つ折りほどにして敷き、サックスを納めます。で、ハンカチを引っ張ります。キーがケース内部に当たっていれば、ハンカチは引っ掛かって出てきません。スルッと出てきたら合格です。「そんな、細かい!」と嘲笑しているあなた、サックスのキーがケース内部に当たっているケース(シャレではありません)は意外に少なくないのです。このチェックをしておかないと、サックスをそのケース入れているだけで、キーバランスが狂ってしまいます。「当たり」のチェックの後は「緩み」のチェックです。くだんのケースにあなたのサックスを収納し、チャックなりバックルなりを閉めてロックします。ケースごと抱きしめて、ケースの一部に耳を付け、身体を左右に傾けます。ケースを逆さに持ったり、横にしたりも試してください。そこで、「ゴトッ」とか「ズズッ」とかの音がしたら、ケースとサックスの間に不要な隙間がある証拠です。疑わしい場所にタオルやクロスを挟んで、隙間がうまく無くなればそれで良し、なかなか治らないようなら、そのケースはあなたのサックスとは相性が悪い、ということで諦めたほうが良いでしょう。

 ここまでの試験に合格したら、次は耐久性です。近年のサックスケース内部は様々な加工でサックス本体への傷を防いでいますが、一番耐久性が弱いのがウレタンへの起毛塗装です。ウレタンに細かい繊維を植え付けて滑らかな素材感にする処理ですが、処理の方法によって剥がれ易くなる場合があります。ケース内部を隅から隅まで舐める様に確認し、少しでも塗装が剥がれているところがあれば、その場所の状態を確認してください。起毛の密度が低ければ、サックスと擦れる部分が早晩剥げてきます。剥げ易そうか、そうでないかを確認してください。舐める様に顔をケース内部に近づけていると、ケースの匂いも分かります。ケース内部には色々な接着剤が使われているので、有機溶剤の匂いがするはずです。気が付くか気が付かないか程度の匂いなら合格、「ツーン」と匂って来たなら同じモデルの別のケースと比べてみましょう。なるべく匂いが少ないほうが良いのですが、ケースを買った後、蓋を開けたまま陰干しすれば取れる場合もあります。ただし、かなり頑固な匂いもたまにあるので要注意です。有機溶剤の匂いでなく、カビ系の匂いがしたら購入は勧めません。

 サックスを収納した状態でのケースのバランスも大事です。太めの紐で吊るのが一番ですが、力に自信があれば指一本でも大丈夫です。色んな形態でのバランスをチェックして、変なバランスにならないかを確認しましょう。バランスの悪いケースは、持っていてとても疲れます。是非こだわってください。

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Written By: sax on 4月 4, 2018 No Comment

今更ながらの発言ですが、サックスはテーパーの付いた(先太り・先細りの)円錐管です。ネックの先端の直径が一番小さく、ベルの端の直径が一番大きくなっている、「徐々に太くなっているパイプ」です。という訳なので、とある部分を除いては、サックスの断面は全部 「斜め」になります。さて、サックスで唯一断面が平行なある部分とは…それはネックコルクです。ネックコルクの外形は基本的に円柱になるように削られています。その理由は、マウスピースを抜き差しして、チューニングするからです。重ねた紙コップを思い浮かべてください。円錐が円錐にはまると身動き出来なくなります。ですからマウスピースのシャンク(ネックを差す部分)も円柱の穴です。という訳で今回は「ネックコルク」の話しです。

 先にお話ししたように円柱のネックコルクに対し、円柱の穴のシャンクを持ったマウスピースを差せば、スムースに出し入れが出来、チューニングの際に不要な力を使う事はありません。ところがぎっちょん(?)、最近はシャンクの穴にテーパーが付いているマウスピースが少なくおりません。この構造だと、あるところで「行き止まり」ができ、それ以上マウスピースを深くさせない場所が出来てしまいます。それどころか、ちょっと抜いたら、マウスピースがグラグラする、ということにもなります。それを考慮して、ネックコルクにテーパーを付けるリペアマンさんもいます。これも実は考え物です。抜き差しの許容度は上がっても、マウスピースの位置でコルクの圧縮率が変わり、マウスピースからネックに伝達される振動が、マウスピースの位置によって変化してしまいます。深く差せばコルクは硬く絞まり、より直接的にマウスピースの振動をネックに伝えますが、浅く差せばコルクは膨らみ、振動を吸収するようになってしまいます。これを防ぐには、テーパーの付いたマウスピースのシャンクを円柱状に「彫り直す」のがベストですが、そのマウスピースに合った専用の工具を必要としますので、多くのリペアマンさんはコルクの削り具合で対応します。その場合、あなたのアンブシャでは、ネックのどのあたりが「マウスピースの標準ポジション」になるかを指定する必要がありますので、楽器を吹きながらコルクを調整してもらうのが良いと思います。

 ネックコルクをネックに接着するには、パッドをカップに接着する「シェラック」を使う場合がほとんどです。シェラックは熱で溶け、冷えるとカチカチになるため、マウスピースの振動をコルク経由でネックに効率的に伝えることが出来ます。サックス奏者の中には、このシェラックの硬さによる振動伝達を嫌い、あえて柔らかいボンド系接着剤を好む方もいらっしゃいます。柔らかい接着剤がクッションとなり、音がまろやかになるそうです。いずれにしろネックコルクとマウスピースのシャンクは、「ぴったり」と結合しなければなりません。ガッチリとマウスピースを掴んでねじることで、初めてマウスピースが動く。そのぐらいがちょうど良いでしょう。

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