サックスのマウスピース・デザイナーとして、また最近では年に数回来日し、マウスピースのリフェースサービスをおこなうマウスピース・リフェーサーとして、サックス・マウスピース業界で名前が知られている、セオ・ワニ氏。今日はセオ・ワニ氏のキャリアに迫ってみましょう。
近年、独特のデザインの高級マウスピースが、多くのサックス奏者の注目を集めている「Theo Wanne(セオ・ワニ)」ブランド。このブランドの創始者であり、同ブランドのすべてのマウスピースのデザインを手掛けるのがセオ・ワニ氏です。セオ・ワニは1967年、米国カリフォルニア州に生まれました。13歳から職人見習いとして、プロ用自転車のフレームの設計・製作に携わり、素材の成形、ろう付け、治具製作などを習得しました。20歳になるとミネソタ州セントポールにあるマカレスター大学に入学し、1年間作曲を学びます。その後彼はアジアに渡り、仏教の僧院に滞在したり、インドで瞑想を学んだりします。セオ・ワニのマウスピースの名前に、ヒンドゥー教やインド文化に関するものが多いのは、このあたりの経験からと言われています。帰国後はウェスタン・ワシントン大学、カリフォルニア芸術大学等でサックスのジャズ研究に励みます。この1987年から1997年までの間、セオは学費を賄うために、ビンテージ・マウスピースやヴィンテージ楽器を売買していました。彼のマウスピースに関する深い知識は、この頃に築かれていきました。
1997年、30歳でコロラド州ナロパ・インスティテュートを卒業し、即興演奏の学士号を取得。1998年、ペンシルベニア州フィラデルフィアに移住し、グスタフソン・ミュージックで楽器の調整や修理を始めます。同時に、セオは自己のインターネットストア、「Saxophone Mouthpiece Heaven(サックス・マウスピース・ヘヴン)」で、彼自身の手によるカスタムマウスピースの売買を始めます。同サイトはサックス・マウスピースのデザインと歴史に関する情報を提供する、世界で最も包括的な資料と評判を呼び、同時にセオのマウスピースも世界中で高く評価されるようになりました。同サイトは閉鎖されましたが、ヴィンテージ・マウスピースに関する資料はセオ・ワニのブランドサイトに移行され、現在もアクセスできるようになっています。
2007年、彼は兄のトム・ワニとともに、オリジナルのマウスピースの製造を開始し、「Wanne、Inc.」としてオリジナルマウスピースの設計・製造・販売事業をおこなっています。航空宇宙用CADシステムとCAM(全自動電子制御加工装置)技術を使用した、フルマシニングマ・ウスピースをリリースするなど、先端の技術を使ってマウスピースを製造することに積極的です。また初期のオットーリンク等に使われていた、マウスピースにスリットを彫り込み、そこにリガチャーをセットする形式のリガチャーを取り入れたりと、ヴィンテージ・マウスピース回帰のアイデアも豊富に取り入れています。セオ・ワニ自身が優れたリフェーサーであることから、手作業による仕上げにもこだわった製品がほとんどですが、近年の同ブランドのマウスピースの中には、「絶対に手作業では作れない、特殊3次元データからCAMで作っている」、とセオ自身が述べているマウスピースも製造しています。
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