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サックス 本体

Written By: sax on 11月 22, 2018 No Comment

ベルギー生まれのアドルフ・サックス。名前でバレバレですね。サックスを発明した、サックスの生みの親です。1840年代に現在のサキソフォンを発明し、ソプラノサックスからバスサックスを開発、販売しました。当初サックスは14種類もあったそうです。アドルフ・サックスは優れた楽器開発の技術者であっただけでなく、さまざまな吹奏楽器の演奏者でもありました。彼は、木管楽器の運指の自由度と金管楽器の明るい音色を合体した楽器が作れないかと考え、サキソフォンを考案したそうです。ほとんどの管楽器はその起源をバロック時代以前にまで遡ることが出来、1820年代には現代のトランペットに酷似した3本ピストンのトランペットが発明されていますから、アドルフ・サックスが一から考え出したサックスという楽器は、「もの凄く新しい管楽器」と言う事が出来るでしょう。それまでの多くの管楽器が、管の太さが均一な「円筒管」であったのに対し、アドルフ・サックスは管の入り口から出口まで、その直径がながらかに広がっていく「円錐管」に着目し、多くの円錐管金管楽器も開発しました。これらの金管楽器は「サクソルン属」と呼ばれ、サクソルン属の楽器には、コルネット、フリューゲルホン、アルトホルン、テナーホルン、バリトンホーン、ユーフォニアム、チューバ、等が含まれますが、これらすべてをアドルフ・サックスが開発したわけではありません。

 アドルフ・サックスは優れた技術者だった故に、その生涯は特許紛争に明け暮れた日々だったようです。まるで「下町なんとか」ですね。Wikipediaによれば、彼のライバルの楽器製作業者たちは、アドルフ・サックスの持つ特許に対して長期にわたる訴訟を仕掛け、それが原因で彼の会社は2度も破産の憂き目に会うことになったとのことです。長きにわたる法廷闘争はアドルフの健康をも損ね、2度にわたって入院を余儀なくされました。1800年代後半からアメリカとヨーロッパは所謂「第二次産業革命」の時代を迎えており、サキソフォンと同時期の発明品には、白熱電球、タイプライター、ミシン、輪転印刷機、発電機などがあります。まさに新時代の幕開けと同時にサキソフォンは誕生したのです。
 アドルフ・サックスは楽器製作に加え、パリ国立高等音楽院のサキソフォン科での音楽教育にも生涯を捧げました。同学のサキソフォン科は1942年に開設され、アドルフ・サックス自身が初代教授を務めました。1870年、財政難により他のいくつかの楽器科と共にサキソフォン科は廃止され、クラスの再開はなんと72年後の1942年まで待たねばなりませんでした。そして、当時すでにサックス奏者としても教育者としても名声の高かったマルセル・ミュールが、アドルフ・サックスの跡を継ぐことになったのです。最後に20世紀ドイツを代表する作曲家、指揮者、そしてヴィオラ、ヴァイオリン、クラリネット、ピアノなど様々な楽器を弾きこなす多才な演奏家であったパウル・ヒンデミットの言葉を引用します。「18世紀末から管弦楽が急速な進歩をとげ、その要求を満たそうと新しい楽器がたくさん現れた。しかしその中で、生き続ける能力と重要さを持っていたのは、サキソフォンだけだった」。やっぱりサックスって凄いですよね。

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Written By: sax on 3月 7, 2018 No Comment

サックスのリペア道具、と聞いて思いつくのがリークライトでしょう。列になった小さな光源をサックス内部に差し入れ、管体内部から光を当ててパッドの密着度を調べる道具です。最近では通販で手軽に入手できるので、購入して自分のサックスの「息漏れ」を確認し、ご自分で調整されている方も多いようです。でも、息漏れの隙間って、状況によってはまったく音に影響しない、ってことご存知でした?実はサックスは「息漏れ」よりも「開いているパッドの角度」のほうが重要な場合が多いんです。

 木管楽器は、「音孔(卜-レホール)」の開閉で共鳴周波数を変化させ、音階を出せるような機構になっています。単純に音孔を順番に開いて、構造的にパイプの共振周波数を上げていくだけでなく、離れた二つ以上の音孔を開けることで、倍音での共鳴をもさせて数オクターブの音域を実現しています。「気柱振動」という高校物理で習う理屈なのですが、難しいことは置いておきましょう。要は、「サックスの音孔(キー)でも、共鳴周波数に積極的に関与してる穴とそうでない穴がある」ということを覚えてください。例えばラの音を出すとき、そのために絶対開いてなければいけないトーンホールと、ぴったりと閉まっていなければならないトーンホールがありますが、「多少開いていてもあまり影響しない」トーンホールもあるのです。ですので、何らかのサックスのトラブルが生じたとき、リーグライトで隙間の空いたトーンホールを見つけ出し、それを完璧に治したとしても、その不具合が治るとは限らないのです。隙間が無いに越したことは無いので、その隙間は他の不具合の原因かもしれません。

 トーンホールは「塞ぐ」ことだけに注意を払いがちですが、実は「開いている状態」もとても重要です。サックスにはかなりの数の音孔(トーンホール)と、それを塞ぐためのパッドがありますが、いくつかのパッドには、その開き角度を調整するための機構が付いています。調整ネジを締めるとパッドが音孔に近づき(角度が急になる)、ネジを緩めると音孔からパッドが離れる(角度が緩くなる)機構です。パッドが音孔に近くなると、その音孔が関与している音のピッチが低めになります。逆に離せば高くなります。リペアマンはサックスのバランス調整で、パッドのリーグ除去と同時に、パッド解放時の開き調整を必ずおこないます。

 リークライトでパッドの隙間を見つけそれを治しても、パッドの開き角度を調整しなければ、正しい音程で音が出るようにはなりません。パッドの調整は「閉め」と「開き」の両方の組み合わせです。あなたがリークライトをお持ちで、ご自分でサックスの調整をしているサックス奏者であれば、是非パッドの閉めの調整だけでなく、開きの調整も出来るよう技術を習得してください。

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Written By: sax on 2月 28, 2018 No Comment

サックスは楽器の一種であると同時に、ひとつの工業製品でもあります。 1840年代にアドルフ・サックスが作り出した「サキソフォン」の構造は、現在のサックスでも基本的なところに変化はありません。しかし、その「作り方」は大きく変化しています。初期のサックスと現代のサックスでは、どう作り方が変わっているか。そんなことを考えてみれば、ヴィンテージサックスの音の秘密解明の糸口になるかもしれません。

 サックスは基本的に金属製ですので、製造技術のほとんどは金属加工技術です。しかしサックスの金属加工技術の歴史を調べる前に、もう一歩踏み込んで、「金属材料」の今昔を考えてみましょう。何故ならば昔の金属と現代の金属が全く違うものだからです。その違いは1950年代に確立された国際工業規格(ISO)に起因します。世界の工業製品の品質の維持と均一化のため、工業製品に関する多くの標準規格が作成され、世界中のメーカーがそれに準拠してモノを製造するようになりました。サックスの材料、真鍮は、銅と亜鉛の合金ですが、現在は金属材料メーカーが規格に準じて生産しているので、均一の品質で希望の性能の 「真鍮」が安定的に入手出来ます。大げさに例えると、サックス初期の一枚の真鍮板は、部分によって合金配合率のムラがありました。セルマーMark Vlの時代の真鍮板は、多少ムラは改善しましたが、今日仕入れた材料と先月仕入れた材料では品質が一致しませんでした。現代はどんな時でも、均一で安定した同じ性能の真鍮板が入手できます。ヴィンテージサックスの豊かな響きは、この「合金のムラ」を含んだ金属材料に起因している、と言うヴィンテージ楽器ファンは少なくありません。

 サックス製造に多く使われる加工技術には溶接とロウ付けがあります。前者は材料部材の接合部を高温で溶かして接合する方法、後者は材料より融点(溶ける温度)の低い金属で接合する方法です(はんだ付けはロウ付けの一種です)。溶接は板材から管体のパイプ形状を作るとき、またロウ付けはキーポストを管体に立てるときや、シャフトにキーパッドを付けるとき等に使用します。これらの技術は1900年代に飛躍的に向上しており、加工のスピード、強度、安定度は、サックス誕生時の技術とは比べものになりません。溶接の温度も違えば、ロウ付けの金属の成分も、また使用する機具も違います。技術の進歩はサックスを組み立てるスピードを10倍以上にし、その結果の精度も飛躍的に向上させました。しかし「速くてちゃんとしてる」だけがどうも楽器の製造の理想ではないようです。ヴィンテージサックスの細部を見ると、微妙な「いい加減さ」がありますが、近代楽器にはありません。これも音の違いの原因でしょうか?

 材料のプレス、研磨、穴開け、塗装等の技術も進歩しています。多くのサックスメーカーが自社の製造工程をYouTubeや自社のサイトで紹介していますので、是非見てみてください。そして、「170年前にはどうやっていたのか」を想像してみてください。音の違いの理由がなんとなく分かるかもしれません。

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Written By: sax on 11月 22, 2017 No Comment

今日はサックスの彫刻の話しをしましょう。どうやって彫るか、何故彫るか、彫るとどうなるのか、など等、意外と知られていないようです。サックスの「刺青」とも言われる管体彫刻の「へえ~!」なネタです。
 管楽器の彫刻は何故するのか。簡単です、「綺麗だから」です。どんな楽器も美しい音を奏でるというその特質から、楽器そのもの自体も美しくあることを望まれました。近代の我々は電子・電気楽器の台頭で、楽器自身の美しさについて無頓着になってしまっている感は否めませんが、かつて楽器は高度な工芸品であり、絶対的な美しさが求められていました。サックスも彫刻入りは彫刻無しより、価格も高く設定されています。また「ピカピカ・ツルツル」な表面を多く持つ管楽器では、傷や汚れ、サビなどの表面劣化を目立たなくするという意味心有るようです。しかし良く言われる、「楽器管体の振動特性を変化させ、音色を変える」というような効果は、科学的には「?」なようです。

 管楽器彫刻の方法には、職人による手彫りとレーザー彫刻の二種類があります。レーザー彫刻はその名の通り、コンピュータ制御されたレーザー照射機が、管体に微細な傷を焼き付けておこないます。プログラムされたパターンが寸分の狂いもなく刻印されますが、主流はいまだに、職人の味が出る「手彫り彫刻」です。手彫り彫刻の道具は幅1~2ミリの彫刻平刀(ひらとう)です。この刃物を左右に細かく捻っていき、管体の上を「右、左、右、左…」と刃の左右を交互に進めながらジグザグの線を描いて行きます。サックスの彫刻を良く見ると、どんな細かい線も一本の直線・曲線ではなく、「W」が縦に連続したギザギザ線によって模様が描かれています。彫刻刀は非常に細く浅く、塗装面のみに傷を付けていきますが、それをジグザグの線にすることで、「模様を構成する目立つ線」になります。ジグザグ線の太さは彫刻刀の幅を変えて表現します。線の濃さはジグザグ線の波の密度で調整されます。このように管楽器の彫刻には高度な技術と芸術的センスが必要とされるため、一流と呼ばれる彫刻職人の数は決して多くないようです。真偽は定かではありませんが、数十年前に米国セルマー社のサックス彫刻の専属の職人さんが亡くなり、ある期間「彫刻なしモデル」しか生産されなかった、という逸話もあります。

 サックスの彫刻には花やツタ等の植物系やリボン等の柔らかいカーブの図柄が多いようですが、変わり種としては、ヴィンテージコーンの「Naked Lady(裸の女性)」や、建物や船などもあるようです。ヅインテージのアメセルとフラセルの見分け方のひとつで、フレンチセルマーは花のつぽみで、同時代のアメリカンセルマーは花が咲いている図案、というのも有名な話ですね。ほとんどのサックスの彫刻はベル部のみですが、ネックやキーカップにまで彫刻を施した、「特殊彫刻モデル」も数多く存在します。一部のサックスプレーヤーはこのようなモデルを「バリ刻」と呼んだりしています。「バリバリに彫刻したモデル」という意味なんでしょうか?
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Written By: sax on 9月 27, 2017 No Comment

サックスのような操作方法でシンセサイザーの電子音を出す楽器、いわゆる電子サックスには、サックス奏者である皆さんは、一度は興味を持ったことがあると思います。て言うか、かなりの方がもうすでに所有されているかもしれません。出る音が電子音ですので、深夜でもイヤホンで聞けば、誰に遠慮する事無く演奏する事が出来ますし、音程も取り易い、キーの変更(移調)もボタン一つです。今日はこんな夢の楽器、電子サックスの歴史をお話しします。
 最近では電子サックスなどという泥臭い名前ではなく、ウインドシンセサイザーという呼び名が一般的になっていますが、その「始祖」は1974年にコンピュトーン社が発売した「リリコン(Lyricon)」です。ストレートソプラノサックスのようなりードのついた機械、「スティック」でシンセサイザーをコントロールするシステムです。マウスピース部分にはリードを咥える力を感知するセンサーや、吹き込んだ息の量やスピードを検知するセンサーが付いており、キーボードよりも細かいニュアンスでのシンセサイザーのコントロールが可能でした。キーがメカニカルタイプだったのでサックス奏者に親和性が高く、トム・スコット、デビッド・サンボーン、伊藤たけし等、多くのサックス奏者がステージで使用しました。同じころ、トランペット奏者のナイル・スタイナーがトランペット型のウインドシンセサイザー、「EVI」を世に出します。そしてそれは改良され、サックス型の「EWI」となり、両者は「スタイナーホーン」と呼ばれました。ほぼ手作りだったリリコンもスタイナーホーンも、革命的な電子楽器でしたがビジネスとしては成功とは言えませんでした。 リリコンの特許はYAMAHAに譲渡され、ヤマハWX-7を生み出し、またスタイナーホーンはAKAIがライセンスを買い取り、EWI1000として製品化します。 AKAIのEWIシリーズはステージ楽器としても成功し、マイケル・ブレッカー、伊藤たけし等、多くのミュージシャンがステージや録音でこのシリーズを使用しています。リリコン系のYAMAHA WXシリーズがメカキーであるのに対し、スタイナー系のAKAI EWIは静電式タッチキーを採用しており、サックスのように「押さないときもキーの上に指を置いておく」ことが出来ませんが、それによって特殊な奏法が可能にもなっています。
 ヤマハは管楽器の発音特性をシミュレーションした物理モデル音源VL-70mとスティックコントローラーWX- 11 やWX-5を組み合わせてシステムを展開していましたが、今では生産を終了しています。 AKAI のEWIは、赤井電機(2000年経営破たん)からAKAI ProfessionalMI(2005年倒産)、そして現在はアメリカのDJ機器メーカーinMusic Brand社と製造元は移り変わりましたが、EWI4000S音源内蔵タイプ、EWI5000ワイヤレストランスミッター内臓と進化しており、現在でも多くのミュージシャンに支持されています。
 これらの「2強」に埋もれている感はありますが、カシオ計算機が1988年~90年代初期に製造・販売した、音源、スピーカー内蔵のウインドシンセサイザー、デジタルホーン(Digital Horn)」もありました。またローランドが2016年に発売した、「AE-10エアロフォン」はサックスの小指キーやサイドキーまでも備えたコントローラーで、今までのどのサックスシンセサイザーよりも「サックスらしい」とプレーヤー達に注目されています。
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Written By: sax on 8月 30, 2017 No Comment

サックスに限らず、管楽器奏者には多くの都市伝説や迷信とも言うべき「言い伝え」が存在します。それだけサウンド作りが微妙であり、かつ奏者たちの注意、愛情が多く注がれている事の結果だと思います。それらのいくつかの迷信を考えてみましょう。
 最近よく耳にするサックスの表面処理についての解説で、「ノーラッカーのサックスは渋い音がする」という意見があります。本当でしょうか?渋い音ってなんでしょう?サックスの場合、スモーキーで枯れた音というのが、ヴィンテージサックスの音に似ているとして高い評価を得る場合があります。音質を倍音成分について考えると、枯れた音は広範囲に倍音成分が分布しているもので、倍音が少なく、楽器のセンタートーンに音の成分が集中しているのが、いわゆる「ストレートな音」です。ノーラッカーのサックスの場合、ラッカーによる表面塗装によって失われる振動成分が生きている、つまり倍音成分がラッカー塗装の場合に比べて多い、そしてそれが広く分布していると言って良いでしょう。ですので、多くの意見で、「ノーラッカーは良く鳴る、渋い音がする」と言われるのだと思います。ただし、「渋い」に関しては、ノーラッカー故の表面の腐食系変化が視覚的に影響していると思います。そしてサックスの表面のラッカーは決して倍音を殺す悪役ではなく、サックス表面を腐食変化から守る、という役割もありますので、ノーラッカーのサックスは、「どうサウンドが育つか分からない」という部分もあります。
 リードは硬いほうが良い、というサックス奏者少なからずいます。リードは「Hardを使ってます」、「4番です」なんてサックス奏者を、「凄いなあ!」なんて感心する風潮もあります。これ、完全に無意味です。リードの一枚一枚の振動性能(鳴り)とマウスピースとの相性、そして奏者の吹き方でサックスのサウンドが決まります。固いリードが柔らかいリードより良い音が出るという根拠はありません。ただし柔らかいリードより硬いリードの方が鳴らせ難いという傾向はあながち間違いではありません。そして奏法として、柔らかいリードの「暴れる振動を抑え込んで吹く」のと、硬いリードの「振動し難いものを息でどう振動させるか」という相異する奏法のどちらが効果的でやり易いかは奏者によって異なるようです。
 ストラップによってサックスの音色が変わる、というのはサックス奏者の知識として常識になりつつあります。本当でしょうか?ストラップ側のフックとサックス側のストラップリングとの接点はせいぜい2、3平方mmです。プラ製フックは弾力が有るので接触面積が大きいです。金属製フックは硬いので、ストラップリングとの接触面積は少なくなります。この面積でサックスの響きにどれだけの影響が出せるのでしょうか。ストラップがサックスのサウンドに影響が無いとは言いませんが、フックやスリングの材質をあれこれ考えるより、楽な演奏姿勢を考えたほうが、効果的に良い音が出せるのではないかと考えるのは、私だけでしょうか?
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Written By: sax on 8月 16, 2017 No Comment

良いサックスとはどんな楽器か、またどんなサックスが良いと言えるのかは、ネットや書籍、雑誌等、多くの場所で語られています。逆に良いサックスでも、その残念な部分も話題になります。多くのヴィンテージサックスの名器はその秀逸な音質の魅力に対し、音程や操作性に難があることが多いようです。サックスに関して「良い」だ「悪い」だを我々サック奏者は毎日のように話題にしていますが、サックスの、「良い子、悪い子、普通の子」とは何なんでしょう。
 「良いサックス」の定義は意外と簡単です。演奏者に愛されているサックスであれば、それは良いサックスでしょう。楽器という音を出す機械の性能としての、音程、音質、操作性、耐久性、反応速度等、色々な「尺度」はありますが、奏者が気に入って吹いているのなら、多少の不具合は気にならないでしょう。しかし奏者の技術の上達や嗜好の変化によって、「良いサックス」でも、あっという間に「今いちなサックス」になってしまうことは言うまでもありません。サックスに限らず、楽器の「良さ」は、その奏者の求めるものとのバランスの結果であるとも言えるかもしれません。ある著名なプロサックス奏者は、「音程を捨てても音質やサウンドを取る、というサックス奏者は居るし、間違いではない。自分のやりたい音楽がそれで出来るのなら。しかしビッグバンドのサックスセクションがそれを言うのはダメだと思う。」と言っていました。プレーヤーのそれぞれの立ち位置で、サックスの「良し悪し」も変わるという事ですね。
 「悪いサックス」はもちろん「良くないサックス」です。サックスとしての性能、音程や音質、操作性、耐久性等々の要素が、必要なレベルに達していないサックスが「悪いサックス」と言えるでしょう。でも市場にあるサックスで、少なくとも商品として新品、もしくは中古商品としてショップで売っているサックスには、本当の意味での「悪いサックス」は無いのではないかと思います。ある程度の機能満足度の違いはあっても、その店やメーカーが商品として堂々と市場に出しているものですので、それなりの楽器だと思います。ならば100万円のサックスと3万円のサックスの違いは何なのでしょう。その違いは、機械としてそのサックスを作るためのコストの差によるものです。上質な素材を使い、高度な生産技術で作り上げ、入念に検品や調整をしたサックスは、やはり高額にならざるを得ません。それらのどこかに目をつぶれば、かなり安価にサックスを製造できます。しかしコストの削減は、多くの場合耐久性に現れます。安価なサックスは、買った当初は「普通のサックス」でも、数か月で「悪いサックス」に近づきます。調整で復活する場合もあれば、調整すら無理なサックスもあるようです。頻繁な調整を必要とすれば、調整にかかる費用が最初の価格を上回る場合もあるでしょう。あるベテランリペアマンが言っていました。「良いサックス?修理し易いサックスかな。」、だそうです。「良い子悪い子普通の子」、難しいですね。
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Written By: sax on 6月 28, 2017 No Comment

サックスを初めてうん十年になりますが、「サックス奏者候補生」の方々に必ずと言って良いほど訊かれるのが、「自分に合うサックスを見つけるには、どうしたらよいのですか?」という難問です。この問いに対する答えは有るようで無い、無いようで有る、といった禅問答のようなものです。
 初めてのマイサックスを購入するときは、サックス奏者の先輩として信頼できる技術と経験を持ち、かつ自分の好みを理解している方に付き添ってもらう、というのが「優等生的答え」に他なりません。とはいえ、そんな理想的な環境にいるサックス志望者はそういらっしゃらないと思います。高い確率のストーリーは、「何も分からず吹奏楽部に入部→サックスをやれと言われる→学校の楽器で練習→後輩が入ってきたので、先輩にマイサックスを選んでもらう」、という「吹奏楽コース」か、「楽器店のサックス教室に入会→お店の推薦のサックスを購入(またはレンタル)→より良い楽器が欲しくなったので、先生に選定してもらう」、という「音楽教室コース」でしょう。どちらにしろ、誰かが傍にいてくれています。自分にサックスという楽器の良し悪しを見分ける力がないのなら、他人に頼るしかありません。売り手と買い手の微妙な関係であっても、楽器屋さんのスタッフに意見を求めるのは良い手段だと思います。
 こんな回答はネットを検索すれば、千件はヒットしそうなコメントです。信じるか信じないか、実行するかしないかは別として、誰も勧めない、「自分に合うサックスを見つける方法」をご紹介しましょう。
 楽器屋さんでもネットでも、自分の想定予算に合った、見た目の気に入った、「俺(私)がこれを吹いている姿は、良いかも」というサックスをとりあえず買いましょう。個体の差?性能?そんな難しい事分からないでしょう?唯一意味のある努力は、値引き交渉位です。サックスの始め方は何でも良いでしょう。独学、音楽教室、プロ奏者の個人レッスン、知り合いの「上手い人」の指導、など等、サックスを上達する道は無限にあります。そしてある程度サックスが吹けるようになったら、楽器屋さんで色々なサックスを試奏するなり、友人のサックスを吹かせてもらうなりして、自分のサックス以外のサックスはどういうものかを知ることに励みましょう。それと同時に貯金を始めます。サックス買い替え貯金です。自分の懐具合と、「サックス買い替えたい欲求」のバランスが取れたら、躊躇なくサックスを買い替えましょう。ちなみに下取り価格はあまり期待しないほうが良いでしょう。この買い替えを自分の音楽に対する価値観の範囲で、出来る限り繰り返しましょう。多分10年もすれば「自分に合うサックス」に出会えるはずです(気の長い話ですみません)。この方法を多くの識者が推奨しないのは、そのひとの所有する楽器に対する愛晴、愛着を考えてしまうことと、コストパフォーマンスがとても悪いからです。多くのプロサックス奏者が、「サックスはただの道具。そこから出てくるのが自分の音楽。楽器に愛着なんて全くない。」と断言します。楽器を必要以上に愛さないのが、自分に合ったサックスに出会うためのコツではないでしょうか。

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Written By: sax on 4月 12, 2017 No Comment

春となり、温かくなってくると外に出たくなります。サックス奏者の皆さんも、公園や空き地、河原などでの「外練」をしたくなる、おあつらえ向きの天気になってきます。サックスだけでなく、管楽器は総じて大きな音が出るため、家での練習にはいきおい制限がかかります。外で伸び伸びと大きな音が出せるこの季節、「外練」でのいくつかの注意を紹介しましょう。
 「外練」の基本は、なにはともあれ「自分」を大事にすることです。寒さや雨などの天候で「外錬」を強行すれば、あなたが風邪をひいてしまいます。サックスの練習で風邪をひいたなんて、誰も同情してくれません。まずは自分の体を第一にいたわってください。体の次にいたわるのが楽器です。サックスは木管楽器と言っても、ほとんどの部品は金属製なので、かなり丈夫な部類の管楽器です。クラリネットなど自然木材で出来た楽器は、室内と屋外との湿度や温度の差で木材が膨張してしまい、ひどい場合には主管の割れ(クラック)も引き起こしてしまいます。湿度はともかく、サックスも大きな温度差は決して良い条件ではありませんので、室温と外気の温度差には注意を払ってください。また、「外錬」での直射日光にも注意が必要です。サックスの表面処理にはラッカー等の塗料が使用されていますが、これらの塗料は概ね太陽光に含まれる紫外線の影響を受けます。強い紫外線下に長時間サックスをさらすことで、塗料の色が変色する「焼け」や、塗装面にしわがよる「ちじれ」等の影響が出る場合がありますので、夏の直射日光などには十分注意してください。
 「外錬」では風にも注意してください。ま、風が当たるくらいではサックスは壊れませんが、警戒ポイントは風が飛ばしてくる「砂ぼこり」です。外気には風に運ばれた細かい砂や埃が含まれ、空気中を舞っています。これらの砂や埃がサックスのシャフトの軸受けや、回転部に付着すると、機械油の中に留まって、可動部を擦る「やすり」のように機能してしまいます。目に見えないような砂埃でも、長い間にサックスの可動部をすり減らします。気が付いたら、「シャフトがガクガク」なんてことにもなり兼ねません。風邪で埃が舞っているような日に、外で練習するようなことは避けるのが賢明でしょう。
 「外錬」では、サックスの故障などの楽器への配慮に加え、練習の方法そのものにも注意が必要です。広い屋外では、自分のサックスの音を反射する壁等は無いことがほとんどですので、自分の耳を使った音量のコントロールが難しくなります。ついつい無理して大きな音を出してしまう傾向が出てきますので、それがもとで喉にダメージを与える場合もあります。また小さな音が聞こえ難いので、サックスのコントロールが雑になりがちです。しかし、広い場所で、自分の音を「遠くに飛ばす」のはとても気持ちが良く、かつ重要な練習です。気持ちの良い「外錬」をしてください。

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Written By: sax on 3月 22, 2017 No Comment

管楽器は空気を振動させて音を出す道具です。その楽器の長さ、もしくは共振する波長によって、その楽器から出る音の高さが決まります。普通の気温の変化程度では、楽器素材の熱膨張は無視できるほどの些細なものです。すると、気温が上がると空気の波長が変わり、その長さの楽器で出る音の振動数が大きくなる、つまり音が高くなってしまいます。楽器がいつもより冷えているとき、いつも吹き方では楽器から出る音は低くなります。そして楽器を吹くにしたがって暖かい息が楽器の中を温めていき、音がだんだん高くなります。今日は温度とピッチのコントロールについてお話しします。
 真冬のアンサンブル練習。みんなが楽器を準備したら、各々が自分の楽器をチューニングします。練習が進むにつれて、楽器達のハーモニーが崩れていきます。みんなの楽器のピッチがめちゃくちゃ高くなっています。真夏の野外コンサート。控室でチューニングしたはずなのに、楽器のピッチがどんどん高くなっていきます。自分の音を聞きながら、マウスピースを抜いてピッチを合わせていますが、もうこれ以上抜けません。楽器はもの凄く熱くなっています。皆さんにもこんな経験はありませんか?サックスでもトランペットでも、管楽器は冷えていれば音のピッチが低くなり、熱くなれば高くなります。奏者の息の温度は36度前後で均一ですので、外気の寒さやエアコンで冷えた楽器を吹いていれば、だんだん温まりピッチが高くなります。真夏の日差しで高温になった管楽器は、息を通したくらいでは温度は下がってくれません。アッチッチでピッチの恐ろしく高い楽器になります。
 サックスに限らず、管楽器奏者はこの「楽器の温度と気温」に注意して演奏しなければなりません。「ウォーミングアップ」とは、演奏前の肩慣らしだけでなく、文字通り「楽器を温める」ことが必要です。あなたの楽器が冷たいと感じたら、全トーンホールを塞ぎ、温かい息を大量にサックスに入れましょう。マウスピースやネックを手で温めるのも効果的です。ベルに軽くタオルを詰め、低い「ド」の運指で息を入れると、息が楽器を効率的に温めてくれます。温まった楽器は決して寒い場所には持って行かないように。すぐに冷たくなってしまいます。ステージ本番前などで楽器を温める時間が無い場合は、楽器が吹いていると温まり、ピッチが上がることを想定してチューニングをします。あらかじめ低めにチューニングする、ということです。もしくはアンブシャを強めに、口をきつく締めた状態でチューニングをし、演奏中に普通に戻していく、という難度の高いやり方もあります。
 炎天下の直射日光で熱くなった楽器は…。霧吹きをして楽器を冷やすトロンボーン奏者を見たことかおりますが、効果はどうなのでしょう。日陰に入るのが一番。日向に出ない、楽器を日向に置かないのが基本です。

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