最近SNSの各所で、「私のアンブシュア、正しいですか?」という動画を数多く見受けます。決してサックス初心者風で無い方もいらっしゃいます。皆さんアンブシュアには、とても悩んでいらっしゃるのですね。アンブシュア問題に迫ってみましょう。
「私のアンブシュア、正しいですか?」という質問には、答えは二つだけです。「音が出てるんだから、正しいんじゃないですか」と、「正しいかどうか質問するということは、なにか不具合があるのだから、多分正しくないのでしょう」、です。「高音が詰まる」、「イントネーションが安定しない」、「音が細い」とかの問題を、「アンブシュアで治せますか?」という質問になら、色々とアドバイスが考えられますが、「アンブシュアの正しさ」に正解なんてないので、「正しいか?」と訊かれても、どんなサックス熟練者も困ってしまうでしょう。奏者のひとりひとりが、マウスピースに接触する上前歯の形も違えば、下唇の皮膚の厚さ、固さも違います。口輪筋が力を出せる位置も違うし、息をコントロールする舌の大きさも違います。アンブシュアを構成する要素が違うのですから、アンブシュア自身も必然的に異なると考えるのが妥当です。そして出したいサウンドの志向が違えば、必要なアンブシュアだって異なります。「口笛を吹く時の口の形を作る→上の歯マウスピースに当てる→下唇を軽く前歯に巻く→この時に顎に梅干しのようなシワが出来ないようにする。」とか、「シンリップはクラッシック向け、ファットリップはジャズ向け」、などの「アンブシュアの定番解説」は、あくまで自分に向いたアンブシュアにたどり着くまでの、近道への標識にすぎません。アンブシュアはサックスから音を出し、その音を意のままにコントロールするための「手段」であって、サックス奏者の「目標」ではありません。昨年惜しくも亡くなってしまった、フュージョン・アルトサックス界の巨匠、デイヴィッド・サンボーンのアンブシュアは非常に独特で、決して初心者に真似をしろとは言えないものです。彼は幼少期に小児麻痺を罹患し、医師の勧めでリハビリを兼ねてサックスを始めました。そして彼独自の工夫と努力であのアンブシュアに辿り着き、彼の個性的なサウンドと演奏を実現していたのです。サックス奏者が千人いたら、千種類あるのがアンブシュアと言って良いと思います。
日本のジャズアルトサックス界の重鎮、近藤和彦の甥っ子で、新進サックス奏者のJuny-a (ジュニア)は自身のサイトでユニークなファットリップのアンブシュアの作り方を紹介しています。「マウスピースに上の歯を当てて、リラックスして「あ」の口を作る→「あ」の口を作ったら、ゆっくり「え」の口になるように下顎を引き上げていく→「え」で上の歯、上唇、下唇を締めたら、「お」の口で唇の左右から締めます。この「あ・え・お」で作ったアンブシュアで音が鳴ります(解説は短く略しています)」。なにか、感覚的に分かり易いですね。でも本当に音が出るかは、試す人の「微調整」次第です。「こう言われたからこうやった、そうなのに音が出ない」と言われたら、「そうですか」と答えるしかありません。それが楽器を演奏するということです。アンブシュアは、自分で作り、育て、成長させていくことで、自分のサックスのサウンドを確立することが出来ます。動画を撮って人に訊く前に、じっくり自分で試行錯誤するのが得策だと思います。
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