サックス 本体

ルブラン物語

ルブラン(Leblanc)は、CONN Selmer社傘下の木管楽器ブランドです。そう、クラリネットで有名なあの「ルブラン」ですが、実はサックスの製造・販売もおこなっており、サックスの歴史にも大きく影響を与えているブランドです。ルブランの歴史に迫ってみましょう。

ルブランの楽器製造の源流は、1750年設立のノブレ社(Noblet)から始まります。ノブレ社はフランスで設立され、当初はルイ15世のためにも楽器を製造し、フランスが木管楽器製造の中心地となるのに貢献しましたが、1904年、ノブレ社は同社の楽器開発を主導していた技術者、ジョルジュ・ルブラン(Georges Leblanc)によって買い取られました。ルブランは当時から、開発に先端の音響工学を活用しており、高性能なクラリネットの設計・製造を実現していました。1946年、ジョルジュの息子、レオン・ルブランと、グレン・ミラー楽団のリペアマン、ヴィトー・パスクッチは、フランスのG.ルブラン社が製造した木管楽器を輸入するために、米国ウィスコンシン州ケノーシャにルブランUSAを設立、1951年からは学生向けのヴィトー(Vito)ブランドのクラリネットやサックスを導入しました。1989年、アメリカのルブランは、親会社であるフランスのG.ルブラン社の大半の株式を取得し、経営権を引き継ぎます。2004年にスタインウェイ・ミュージカル・インスツルメンツ社に買収され、現在は同社の傘下のコーン・セルマー社の一部門となり、米国ウィスコンシン州の3拠点に約300人の従業員と、フランスに約40人の従業員を擁しています。

1926年、レオン・ルブランは「Le Rationnel (ル・ラシオネル:仏語で合理的な、論理的なの意)」という新しいサックスのメカニズムの特許を申請しています。 この特許は、アドルフ・サックスが取得したアルトサックスの特許に類似したものですが、アドルフ・サックス自身はこの特許を実機として実現出来ておらず、ルブランの特許によってサックスに実装されることとなります。サックスのクロマチック演奏に自由度が加わり、音程も音質も向上したこのシステムは、多くのサックス奏者に高評価を受けました。レオン・ルブランはその後10年間に渡り、サックスの設計を継続的に発展・簡素化し、1935年には、より単純なキーメカニズムを持つ「セミ・ラシオネル」を販売しました。1939年のニューヨーク万国博覧会では、ラッカー仕上げのセミ・ラシオネルのアルトサックスが一般公開されました。しかし1936年発売のセルマー・バランスアクションから始まり、1954年発売のマーク VIで完成した現代型のサックスメカニズムによって、ルブランのラシオネルシステムは陳腐化し、忘れられていきました。現在のルブラン・ブランドのサックスには、完全に現代型のメカニズムが搭載されており、ラシオネルの片鱗はありません。しかしルブラン・ブランドが長年に渡って培った、楽器への精度や完成度に対する情熱は継承されており、スチューデントモデルのサックスが同社カタログにはラインナップされていますが、残念ながら日本では流通していないようです。ルブラン♯1、セミ・ラシオネル(1935-1945)、アルトサックス・シリーズII (1955-1960)、同(1961-1975)は、いまだに一部のサックス奏者の評価が高く、ヴィンテージ収集目的ではなく、実戦楽器として使用しているサックス奏者もいるようです。

 

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