サックスは奏者自身が調整できる部分が、比較的多い楽器です。逆にそれらの部分の調整をないがしろにすると、サックスの性能を上手く引き出せず、楽器と奏者の一体感が構築できません。今更の話もあるかもしれませんが、サックス奏者が自分でする、サックスの調整項目をおさらいしてみましょう。
一番の調整はサックスの先っぽ、リードとマウスピース先端の位置合わせです。一般的にはマウスピースの先端、「ティップライン」から髪の毛一本分リードを「出す」と言われていますが、ピッタリ派もいれば、ちょい引っ込め派もいるようです。この塩梅によって、リードの腰の感覚が大きく変わり、リードの鳴りにも影響を与えます。リガチャーの位置の調整も重要です。マウスピースの先端側にセットすればリードの振動面積が小さくなり、逆に根本側にすれば振動面積は大きくなります。リードコントロールのし易さと背反する調整ですが、ダメリードと思っていたリードが、この位置の調整で使えるリードになったりします。リガチャーネジの締め具合も重要です。リガチャーの締めネジは、リードのマウスピースへの密着度を左右します。一本ネジの場合は締める強さだけの調整ですが、二本ネジの場合は前後のネジの締め具合のバランスで、リードの振動のしかたが大きく変わります。二本ネジ愛好家の間では、奥を強く、手前を緩く、というのが人気の高いセッティングのようです。リガチャーの位置同様、リードの振動のしかたに大きく関係しますので、使用するリードを変える度にセッティングを微調整する奏者も少なくありません。今まで「なんとなく」でセッティングしていた方は、是非一度、腰を据えてこのへんの調整をじっくり見直してみてください。ベストなポジションを探す、と同時に、体調や状況に合わせて調整が出来るようになると、サックスの表現力が格段に上がります。リードセットの調整と同時に、マウスピース周りで重要な調整が「マウスピースの水平度です。マウスピースはチューニングで抜き差ししますが、最後の「角度」をいい加減にすると、マウスピースが水平に口に入らず、ひいてはリードを均等に鳴らすことが出来ていない場合も少なくありません。
サウンド調整のため、ネックスクリューを高価なものに替えるのは、今やサックス奏者の常識になりつつありますが、たまに、「ネックスクリューを緩めに締めると、サウンドがダークになる」などという迷信を信じて実行している方がいます。これはダメです。自分の演奏姿勢にフィットするようネックの角度決めをしたら、ネックスクリューはある程度固く締め、ネックをしっかりと固定してはじめて、サックスは設計通りに鳴ります。もしスクリューを締めてもネックが回る場合は、故障の範疇ですのでリペアマンに相談してください。
サムフックの角度も調整箇所です。年代物のヴィンテージサックスでは、サムフックがロウ付けされたものもありますが、近代サックスのサムフックはすべてネジで留めてあり、その角度を左右に少しづつ調整することが可能です。サムフックの角度調整をすると、フィンガリングの自由度が向上したり、右手親指の痛みが解消したりします。
リペアマンに頼らないサックスの調整は、当たり前だけど効果が高いものばかりです。是非一度、じっくりと時間をかけて自分のサックスと向かい合ってみてください。
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