サックスに関する質問の中でとても多いのが、「音が出ない。どうしたら良いか」、という質問です。この質問は実は奥が深く、とても回答するのが難しい質問です。サックスを初めて手に取った、超初心者の「音が出ない」と、ある程度の経験を積んだ奏者の「音が出ない」はもちろん意味が違います。また経験を積んだプロ級のサックス奏者でも、「音が出ない」と愚痴ります。「音が出ない問題」を深掘りしてみましょう。
初めてサックスを吹くひとの「音が出ない」は、本当に楽器から音が出ないという悩みです。その回答はそんなに難しくありません。楽器は正しく組み立てられていますか?リードはちゃんとセットされていますか?マウスピースを深く咥え過ぎていませんか?口の周りから息が漏れていませんか?などのアドバイスで、だいたい「ブオー!」という音はサックスから出てきます。しかし「ブオー」はただの「音」です。他人に言わせれば、うるさい「雑音」でしょう。サックスの音はキレイに立ち上がり、美しい音質で延ばされ、ビブラートし、正しく止まり、音階が表現されて初めて「音楽のための音」になります。「音楽の音」を出せるまでには、それなりの練習と努力が必要です。そして、自分が考えるサックスの音のイメージに近づいたとき、そこで初めて「音が出た」と言えるのかもしれません。最初の「ブオー」が出たときの感動に比べ、「音楽の音」にたどり着いた時の達成感と到達感は、さほどのものでは無いかもしれませんが、サックスを始めたばかりの目標は、この「音楽の音」を出す、というところにしたいです。
中級者の「音が出ない」はもちろん「思ったような音が出ない」、というかなり高度なところです。そしてここで注目すべきは、あくまで「音が“出ない”」と感じており、「音が“出せない”」と感じていないことです。無意識だとは思いますが、自分のせいで「出せない」のではなく、楽器やセッティングの状態で「出ない」と、自分以外の原因を暗にイメージしてしまっています。リードの当たり外れ、番手の選択、マウスピースのブランド、楽器の調整等、「道具」の吟味のループに陥ってしまうときの考え方です。もちろんその試行錯誤が、正しい解決方法となる場合もありますが、往々にして楽器奏者が定期的にかかってしまう「病気」である場合がほとんどです。気に入ったマウスピースに出会った、どんぴしゃのリードに巡り合った、調整で楽器が生き返った、等のところから、「望む音に近づいた」という結果に至る例も多いですが、ついつい「お金で音質を買う」という発想になりがちな悩みかたです。こんなときはいったん冷静になり、どんな音、吹奏感が自分の望むものなのか、そこに影響する要素は何なのか、自分の技量はどこにあるのか等、自分の周辺状況を分析することも有効だと思います。
第一線で活躍するプロサックス奏者でさえも、「音が出ない」と愚痴ることがあります。しかし良く話を聞くと、イメージした音を得るために、非常に細かいことを研究、試行錯誤しており、なかなかその効果が出てこない、という前向きな挑戦から出てくる、「音が出ない」である場合がほとんどです。そんなプロのほとんどが、練習も大事だけど、研究も大事だよ、とおっしゃります。さすがプロですね。
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