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サックス お手入れ

Written By: sax on 9月 26, 2018 No Comment

楽器って、思わぬミスで故障させてしまう場合が少なくありません。サックスもそのメカの複雑さゆえに、「やっちまった!」というケースが多々見られます。サックス奏者が練習や本番で遭遇しがちな小さな故障と、その対処法や簡易修理道具についてお話しします。
 冬場にセーターなどを着こんで、モコモコの状態でサックスを吹いていると、ちょっとした動作で服にサックスの針バネが引っかかってしまい、バネの外れを起こしたり、ひどい場合にはバネがあらぬ方向に曲がってしまう場合があります。針バネの修理には普通「バネ掛け工具」を使用します。バネ掛け工具はバネを引っ掛ける「カギ」と、バネを押す「Y字溝」を有する棒状の工具で、ネット等で入手することが出来ます。とはいえ私たちは専門のリペアマンではないので、立派な工具は宝の持ち腐れになるでしょう。バネ掛け工具の代替えとして、100均で入手できる「編み物用のかぎ針」が使えます。かぎ針には「バネを押すY字溝」はありませんが、バネを押すのは指でも鉛筆でも可能です。狭いところから針バネの先端を引っ掛け、バネ受けの溝にはめるのは、指等では難しい作業ですが、編み物用のかぎ針で充分専用工具の代用が可能です。バネの外れの場合だけでなく、パッドの閉まりが弱いとか、クローズキーの開きのスピードが遅いとか、バネの強さを調整したい場合にもかぎ針は役に立ちます。かぎ針の先端で該当箇所のバネを外し、バネをしごいて曲がり具合を調整し、かぎ針でモノの位置に戻す。こんな調整もかぎ針があれば簡単です。

 バネが折れたりバネ受けが欠けるという、致命的な故障が突如演奏中に発生する場合もあります。バネが無いので、故障個所はブラブラとなります。こんなときに活躍するのは「ゴム」。輪ゴムよりも女性が髪の毛に使用する「ヘアゴム」が使い勝手が良いでしょう。使い方は故障個所によってそれぞれですが、壊れたバネの替わりの「張力」が再現できるように、ゴムをパッドのアームに引っ掛けて、ぐるりと回してどこかに止めたり(パッドを開ける場合)、逆にパッドを押し付けるように、ゴムを管体に巻きつけたり(パッドを閉める場合)、とゴムは大活躍です。ちょっとメカニズムに関するセンスが必要ですが、上手くゴムで修理できれば、サックスは演奏可能な状態になります。基本は「引っ掛けて」、「巻きつける」ですが、余計な部分を「避ける」のもコツのひとつです。
 パッドを押さえるコルクやフェルトの調整が狂う故障もあります。これらは調整ネジの締め具合で高さ調整をします。右手人差し指キーとBisパッドの連携の調整コルクには小さめのマイナス時計ドライバー、ペル部のパッドの「開き具合」を決めるフェルトの高さ調整には大きめのマイナスドライバーかコインがあると便利です。このへんになると、故障個所を見つけるのにちょっとノウハウが必要かもしれません。

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Written By: sax on 7月 25, 2018 No Comment

先日は、「新品のサックスは美しい」というところから、サックスのビジュアルの経年変化についてお話ししましたが、今回は同じ経年変化でも、「成長」や「熟成」等のポジティブな面について考えてみたいと思います。
 ピッカピカの新品のサックス。見た目の美しさも素晴らしいですが、楽器としても、工業製品としても、生まれたての赤ちゃんに他なりません。新品のサックスを購入したあなたは、この子の将来を見据え、適切に育て、長い年月を付き合っていかねばなりません。楽器屋さんから新品のサックスを自宅に持ち帰ったとき、一番に気を付けてあげたいのが環境の変化です。そのサックスが製造された工場とあなたの自宅、また練習するスタジオでは、湿度や空気の環境条件がまるで違います。金属製品を扱う工場では、適温、適湿、清浄な空気で金属材料の劣化を防いでいます。それに比べ、日本の住環境は、過剰な湿度、局所的な高温、排気ガスの混じった空気など、赤ちゃんサックスには大変過酷な環境です。未来永劫とは言いません、せめて「楽器の慣らし期間」の数か月の間だけでも、高温や湿気を避け、排気ガスや硫黄系のガスが空気に混じっていそうな場所に、楽器を長時間さらさないようにしてください。この気遣いによって、サックスの金属表面に正しい「酸化被膜」が形成され、その後の腐食への耐性が作られます。具体的な方策としては、雨の日はなるべく持ち歩かない、とか、高温になる車のトランク内に長時間放置しない、とか、練習の後の水分は管体内部もパッド面もしっかり拭き取る、等々です。

 新品サックスには「慣らし」が必要です。メカニズムの稼働部品の動きをスムースに馴染ませるため、最低音から最高音までの半音階をゆっくりと、力を入れずに繰り返しましょう。音の大きさはメゾフォルテです。管体全体が響くような、艶のある音が出るように吹くのが良いでしょう。新品の楽器は「動く事」、「音が出る事」に慣れていませんので、ゆっくりとこれらを覚え込ませる感覚です。同時にあなたもその楽器の癖や、苦手部分、良い部分などの「楽器の個性」を理解していきましょう。長い付き合いを維持するには、このスタートの時期は大切だと思います。
 慣らし期間は基礎練習だけ、という訳ではありません。楽器が良いほうに成長するための練習を積極的に取り入れましょう、という程度です。慣らし期間は3か月から半年程度で充分です。慣らし期間に避けたいことは、「指に必要以上の力を入れてキーを押さえる」、「ネックや管体内部、パッド上の水分を放置する」、「細かいホコリが飛んでいるような、風のある日の野外練習」、「特定の音域だけを大きな音量で繰り返し演奏する」など等です。そして慣らしが終わったと思ったら、一回リペアマンにバランス調整を頼みましょう。これで新品の赤ちゃんサックスは、あなたの相棒としての「少年」程度に成長しています。もちろん、相棒としての「あなた」も成長しているはずです。

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Written By: sax on 7月 18, 2018 No Comment

サックスはとても「見た目」が良い楽器だと思います。サックス吹きが自ら言うのもなんですが、数ある美しい楽器の中でも、断トツに美しいと思います。「メカメカ」しくて、「ピカピカ」してて、眺めてるだけでうっとりしてしまいますよね。そんな「美しい」サックスだからこそ、容姿の劣化はとても心が痛みます。 しかし金属加工+表面処理の工業製品ですので、経年劣化は必ず現れます。
 一番早くに現れる容姿の劣化は、「光沢面のクモリ」でしょうか。買ったばかりの頃は鏡のように周りを映し込むほどピカピカだったのに、しばらくして気が付くと映り込みが、もやもやと曇っています。これはほとんどの場合、磨き過ぎが原因です。大事にするがあまり、必要以上に表面をクロスやガーゼで擦り過ぎると、表面が早く「曇り」ます。「磨く」は「擦る」と同じです。知らず知らずのうちにサックスの表面を擦ってしまっていませんか?また表面のラッカー自身も徐々に劣化します。傷がラッカーを剥がして、内部の金属を空気に触れさせたり、ラッカー塗布前に洗浄しきれなかった汚れ等から、内部の金属が酸化します。酸化は錆となり、周りに広がっていきます。ラッカーの下の錆は、ラッカーを浮かしたり、変色させ、黒ずんだシミとなります。ラッカーの塗布が均一でない場合も、このようなシミを発生させます。ラッカーは外側からの紫外線や、空気中の硫黄成分や水分などにさらされることでも劣化が進みます。外からの刺激の場合は、比較的広い範囲でのシミになるようです。ラッカー関連の劣化を防ぐには、金メッキや銀メッキの「プレート仕上げ」のサックスを買うしかありません。ゴールドプレートの楽器の表面は、何もしなくてもほとんど劣化しません。

 長い期間使用しているラッカー塗装のサックスは、「焼け」というものが避けられません。局所的なシミではなく、ラッカーそのものの経年変化で色や光沢が変化して来ます。この「ラッカー焼け」は広い範囲で起こるので、「容姿の劣化」とは見なさず、「味が出てきた」と肯定的にとらえるサックス奏者も多いようです。しかしこれはあくまでもジャズ・ポップス系のサック奏者の意見であり、クラシック系のサックス奏者は、「ラッカーの変質でサウンドが変わる」と言って、サックスを買い替えることも多いようです。確かにクラッシックのサックスアンサンブルで、サビだらけの焼けたサックスを吹いている奏者はあまり見ない気がします。ハードラバー(エボナイト)製のマウスピースも、経年変化で白濁するものがあります。このような経年変化もどうしようもないようです。
 サックスは演奏の為にべたべた触りまくりますので、管体表面への手脂の付着はしようがありません。演奏が終わったら、なるべく擦り過ぎず、油分だけを優しく拭き取り、擦らず、ぶっけず、ケースに仕舞いましょう。なんて、私はあまり気にしていません。成るがままにするのも愛ではないだろうか、と言い訳してます。(汗

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Written By: sax on 6月 20, 2018 No Comment

他の楽器にも言える事ですが、サックスを吹くという事は、その道を究める長い旅でしょう。そして、道には必ず経験豊かな「先輩」が先を歩いており、後から来るものに適切なアドバイスをくれます。そんな先輩たちに私たちは憧れます。先輩は、「モノの見分け方」を良く知っています。野草の達人が毒キノコの見分け方を教えてくれるように、「サックス吹きがしてはいけない事」を沢山教えてくれます。私が多くの先輩から教えていただいた、毒キノコの見分け方(?)をほんの少しお伝えします。
 リペアマンの巨匠は、かなり独断型に我々の道具を否定します。私は使っているスワブを3回ほど、色々なリペアマンさんに否定されました。特に製品名を挙げることはしませんが、「毛羽」、「繊維」、「事故対応」に関して、スワブの良し悪しが決まるそうです。「使っていて少しでも毛や繊維がスワブから落ちる物は使っちゃダメ」、また「管体にスワブが詰まった時に、逆に引き出せないスワブは要注意」、だそうです。細かい繊維はトーンホールの縁とパッドの間にくっ付き、空気漏れの原因となるそうです。目に見えない程の細かい繊維が一番厄介で、分解しないと分からない場合もあるそうです。逆引きの紐の無いスワブは管内のオクターブパイプに絡んでしまった場合、スワブを「破壊」しないと取れません。いずれにしろ、悪いスワブは「修理代」を発生させます。

 悪いリードの話しも沢山聞きました。「皮に黒いしみが多いと鳴らない/鳴る」、「黄色より茶色が濃いほうが鳴る/鳴らない」、「光にかざして、透ける光が左右対称なら鳴る」など等。そう、これなら鳴る、が鳴らないと言われる場合も数多く、何か何だか信用できません。真理かなと思ったコメントは、「鳴らないリードは、何をやっても鳴らない」かもしれません。削ったり、形を整えたりしても、「抜群の鳴り」には届かない事がほとんどです。
 楽器本体やケースについても、先輩方の名言は沢山あります。「持って、振って、カチャカチヤ音がするサックスはダメ」とか、「サックスを前倒しの水平にし、下側から覗いて管体が曲がっていたら、そのサックスはダメ」、「各キーの戻る力が極端にばらついているサックスは要注意」、「ネックを手で撫でて、どこか出っ張りを感じたら、そのネックは変形している」などというサックスの見分け方。「蓋を開けて、その蓋が簡単にねじれるサックスケースは強度不足」、「サックスを入れて、振って、力夕力夕と中でサックスが動くようなら、そのケースは買わぬが吉」、「ベルトの金具や開閉金具がツルッツルではなく、ブツブツの表面だったら、強度不足の金属の可能性あり」など等、どれも良く考えれば理に適ったアドバイスです。先輩方の講釈には良く耳を傾け、しっかりと取捨選択して(笑)自分の役に立てましょう。

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Written By: sax on 5月 23, 2018 No Comment

サックス奏者が絶対に起こってほしくない事故は、「自分のサックスが車に轢かれてペシャンコになる」でしょうか(?)。その次位のレベル(?)のアクシデントが、「サックスの盗難」でしょう。決して遭遇したくない、このアクシデントについて考えましょう。

冒頭から怖いことを話すようで恐縮ですが、皆さんはリハーサルスタジオやカラオケ店で個人練習をするとき、自分のサックスやその周りの物の「盗難」に注意を払っていますか?さすがにサックス本体の「置き引き」の話しはあまり聞きませんが、マウスピースやメトロノーム、チューナーや録音機の盗難は、決して珍しい話ではありません。一般的にスタジオやカラオケ店の個室には鍵は着いていません。あなたがトイレに行った時、一服しに喫煙室に行ってる間、ロビーでコーヒー休憩しながらスマホでメールを打っているとき、あなたのサックスもマウスピースも、すべての持ち物は「無防備」なのです。部屋がいくつもある大きなスタジオやカラオケ店では、あなたの「留守」を見計らって、不届き者がこっそり部屋に入っても、誰にも見とがめられない確率は高いでしょう。昔は「スタジオ荒らし」は決して珍しくなく、利用者は細心の注意を払っていました。監視カメラが発達した現代でも、その手の悪行は無くなりはしないようですし、たとえ犯人を特定できる手段があっても、そこまでお店側か対応してくれるかの問題もあります。練習個室を離れるときは、大事なものは身に着けて出て行くか、分かり難いようにケースや大きなカバンの中に仕舞っておくのが得策です。

 

 サックスを電車の網棚に置き忘れて、後で気が付いたが出てこなかった。駐車場で車上荒らしにあい、トランクに入れておいたサックスが盗られた。野外ライブに出演し、バンド用の楽器置き場に置いておいた楽器が、いつの間にか無くなった。など等。みんな、「有り得る」悲しい話です。楽器が盗難にあったら、当然警察に盗難届を出します。楽器のシリアル番号は重要な情報です。写真や形状の特徴、モデル名、ケースのメーカー等も役に立ちます。とはいえ警察もあなたのサックスの為だけに仕事をしてくれるわけではありません。近隣の質屋さんや中古楽器買取りの店に情報を提供し、その楽器が持ち込まれたら連絡を欲しい旨お願いをしておくのも良いでしょう。SNSで情報を拡散するのも最近の常とう手段です。楽器保険も各損保保険会社が扱っていますが、保険料が出てもあなたのサックスは戻りません。ましてやヴィンテージサックスの場合は、保険会社からお金をもらっても、もうどうにもなるものではありません。保険金で同等品は買えても、あなたが吹いていたあの楽器ではないのですから。

所有する楽器が盗難にあえば、それは身を切られるほどの辛さでしょう。まずは絶対に目を離さない。目を離すときには絶対に取られない、チェーンロックやアラーム等の工夫をする。シリアル番号の控えや写真など、盗難届の際の資料の準備をしておく。今日の話しを聞いて、少しでも注意していただければ幸いです。

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Written By: sax on 5月 9, 2018 No Comment

サックス奏者の中には、サックス好きが高じて、サックスの調整や修理、改造に手を出す方々が少なくありません。そんなサックス奏者のサックスケースの中には、「何故?」と言いたくなるような工具や部品が入っていたりします。いわく、「突然の故障や不具合にも、いつでも対応出来るよう、工具や部品を持ち歩いている。」、とのこと。かなりの大掛かりな調整や修理も、DIY精神を発揮し自分でやってしまうようです。そんなマニアックサックス奏者仲間への「お誘い」として、サックスの調整・修理についてお話しします。

 ぶつけたり、倒したりしてサックス管体に出来た「打痕」、いわゆる凹みは、裏側から押すことで直します。長くて丈夫な「芯金」という金属棒を固定し、その先端に磨き上げた金属球(テントボール)を取り付けます。そしてサックスの管体を手で持って芯金を内側に差し込んでいき、凹んだ部分に芯金の先端の金属球を擦りつけて、内側の凹みを外へ押し出します。感が勝負の難しい作業です。また芯金でなく、「マグネットデントボール」という道具で直す方法もあります。強力な磁石と大きさの違う超硬金属ボールがセットになったもので、管体の外側に磁石、内側には金属ボールを当て、両者がくっ付こうとする力で凹みを潰していきます。サックス管体の金属の凹みを平らにしてしまうほどの強力な磁気ですので、使うときには細心の注意が必要です。最近では人間の手術に使うカテーテルとステントのような凹み修理道具もあるようです。凹みの場所まで管を差し込み、根元の機械のペダルを踏むと管の先端の部分が膨らみ、管体を内側から押し出します。

 テナーサックスの場合、最高音のF♯キーは無くても替え指で対応出来ます。逆にF♯キーが有ることで、楽器が重くなり響きに影響が出るとか、F♯のトーンホールで倍音が少なくなる、等の理由で「F♯キーを取ってしまう」改造が珍しくありません。F♯キーのメカニズムは意外に簡単に取り外せます。難しいのはパッドが無くなって開放になってしまったF♯トーンホールの塞ぎです。トーンホールにピッタリとした円形の銅板をロウ付けして穴をぴったり塞ぎます。銅板は管体内側の表面に凹凸無く付けなければいけませんので、管体の曲面に合った円弧を描いていなければなりません。ちょっと難しいかな?
 サックス奏者の多くの方が「やりたい!」のがパッド(タンポ)交換でしょうか。パッドの交換には、交換するパッド、熱で溶ける接着剤のシェラック、炎るバーナー、パッドを平たく押さえるタンポヘラ、トーンホールとパッドの間の隙間を確認するリークライト、等が必要です。比較的頻繁に交換が必要な高音部のトーンホールのパッドは、多くのキーが独立していますし、パッドもトーンホールも小さいので、交換はそんなに難しくありません。挑戦する価値はあると思います。
 サックスの修理・調整・改造の道具は、ほとんどネットから入手可能です。どうですか?やる気になりました?

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Written By: sax on 4月 4, 2018 No Comment

今更ながらの発言ですが、サックスはテーパーの付いた(先太り・先細りの)円錐管です。ネックの先端の直径が一番小さく、ベルの端の直径が一番大きくなっている、「徐々に太くなっているパイプ」です。という訳なので、とある部分を除いては、サックスの断面は全部 「斜め」になります。さて、サックスで唯一断面が平行なある部分とは…それはネックコルクです。ネックコルクの外形は基本的に円柱になるように削られています。その理由は、マウスピースを抜き差しして、チューニングするからです。重ねた紙コップを思い浮かべてください。円錐が円錐にはまると身動き出来なくなります。ですからマウスピースのシャンク(ネックを差す部分)も円柱の穴です。という訳で今回は「ネックコルク」の話しです。

 先にお話ししたように円柱のネックコルクに対し、円柱の穴のシャンクを持ったマウスピースを差せば、スムースに出し入れが出来、チューニングの際に不要な力を使う事はありません。ところがぎっちょん(?)、最近はシャンクの穴にテーパーが付いているマウスピースが少なくおりません。この構造だと、あるところで「行き止まり」ができ、それ以上マウスピースを深くさせない場所が出来てしまいます。それどころか、ちょっと抜いたら、マウスピースがグラグラする、ということにもなります。それを考慮して、ネックコルクにテーパーを付けるリペアマンさんもいます。これも実は考え物です。抜き差しの許容度は上がっても、マウスピースの位置でコルクの圧縮率が変わり、マウスピースからネックに伝達される振動が、マウスピースの位置によって変化してしまいます。深く差せばコルクは硬く絞まり、より直接的にマウスピースの振動をネックに伝えますが、浅く差せばコルクは膨らみ、振動を吸収するようになってしまいます。これを防ぐには、テーパーの付いたマウスピースのシャンクを円柱状に「彫り直す」のがベストですが、そのマウスピースに合った専用の工具を必要としますので、多くのリペアマンさんはコルクの削り具合で対応します。その場合、あなたのアンブシャでは、ネックのどのあたりが「マウスピースの標準ポジション」になるかを指定する必要がありますので、楽器を吹きながらコルクを調整してもらうのが良いと思います。

 ネックコルクをネックに接着するには、パッドをカップに接着する「シェラック」を使う場合がほとんどです。シェラックは熱で溶け、冷えるとカチカチになるため、マウスピースの振動をコルク経由でネックに効率的に伝えることが出来ます。サックス奏者の中には、このシェラックの硬さによる振動伝達を嫌い、あえて柔らかいボンド系接着剤を好む方もいらっしゃいます。柔らかい接着剤がクッションとなり、音がまろやかになるそうです。いずれにしろネックコルクとマウスピースのシャンクは、「ぴったり」と結合しなければなりません。ガッチリとマウスピースを掴んでねじることで、初めてマウスピースが動く。そのぐらいがちょうど良いでしょう。

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Written By: sax on 3月 7, 2018 No Comment

サックスのリペア道具、と聞いて思いつくのがリークライトでしょう。列になった小さな光源をサックス内部に差し入れ、管体内部から光を当ててパッドの密着度を調べる道具です。最近では通販で手軽に入手できるので、購入して自分のサックスの「息漏れ」を確認し、ご自分で調整されている方も多いようです。でも、息漏れの隙間って、状況によってはまったく音に影響しない、ってことご存知でした?実はサックスは「息漏れ」よりも「開いているパッドの角度」のほうが重要な場合が多いんです。

 木管楽器は、「音孔(卜-レホール)」の開閉で共鳴周波数を変化させ、音階を出せるような機構になっています。単純に音孔を順番に開いて、構造的にパイプの共振周波数を上げていくだけでなく、離れた二つ以上の音孔を開けることで、倍音での共鳴をもさせて数オクターブの音域を実現しています。「気柱振動」という高校物理で習う理屈なのですが、難しいことは置いておきましょう。要は、「サックスの音孔(キー)でも、共鳴周波数に積極的に関与してる穴とそうでない穴がある」ということを覚えてください。例えばラの音を出すとき、そのために絶対開いてなければいけないトーンホールと、ぴったりと閉まっていなければならないトーンホールがありますが、「多少開いていてもあまり影響しない」トーンホールもあるのです。ですので、何らかのサックスのトラブルが生じたとき、リーグライトで隙間の空いたトーンホールを見つけ出し、それを完璧に治したとしても、その不具合が治るとは限らないのです。隙間が無いに越したことは無いので、その隙間は他の不具合の原因かもしれません。

 トーンホールは「塞ぐ」ことだけに注意を払いがちですが、実は「開いている状態」もとても重要です。サックスにはかなりの数の音孔(トーンホール)と、それを塞ぐためのパッドがありますが、いくつかのパッドには、その開き角度を調整するための機構が付いています。調整ネジを締めるとパッドが音孔に近づき(角度が急になる)、ネジを緩めると音孔からパッドが離れる(角度が緩くなる)機構です。パッドが音孔に近くなると、その音孔が関与している音のピッチが低めになります。逆に離せば高くなります。リペアマンはサックスのバランス調整で、パッドのリーグ除去と同時に、パッド解放時の開き調整を必ずおこないます。

 リークライトでパッドの隙間を見つけそれを治しても、パッドの開き角度を調整しなければ、正しい音程で音が出るようにはなりません。パッドの調整は「閉め」と「開き」の両方の組み合わせです。あなたがリークライトをお持ちで、ご自分でサックスの調整をしているサックス奏者であれば、是非パッドの閉めの調整だけでなく、開きの調整も出来るよう技術を習得してください。

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Written By: sax on 1月 31, 2018 No Comment

サックスはリードが決して安価でない消耗品であることや、高音部パッドの定期的な交換やメンテナンスが欠かせない事で、楽器の維持にはそれ相応のコストがかかります。安く見積もっても年間、2、3万円は「維持費」として使っているのではないでしょうか?そんなサックス奏者が生きていくため(?)には、近頃流行の「もったいない精神」が必須です。

 さて、どのへんで「もったいない精神」が発揮できるのでしょうか?リードに関してはテナーサックスのリードはバスクラリネットに流用可能です。ソプラノサックスは一般のクラリネットとリードの互換性があります。E♭調アルトクラリネットにはアルトサックスのリードが使えます。まあこれらの楽器を両方持っていなければ、なんの節約にもならない訳ですが…。流用を考え始めると、次に思いつくのが「リガチャー」です。セルマー社のメタルマウスピース「ジャズメタル」に付属のリガチャーは、ソプラノ用はベルグラーセンメタルに、アルト用はデーブガーデラのテナーメタルマウスピースとかで使っている人が多いようです。

テナー用はトサカの部分に当たるところを少し曲げて、オットーリンクメタルテナーに使うのが定番です。近年はリンクメタル付属のリガチャーの品質のばらつきが多いので、かなりのリンク使いがセルマージャズメタルのリガチャーを使っているようです。相性はバッチリで、サウンドも安定します。高価な別売高機能リガチャーよりもかなり安価に入手できるところもうれしいところです。マウスピースはメーカーやモデルによって直径や長さが微妙に異なるので、リガチャーやキャップは沢山持っているに超したことはないでしょう。いつかどこかで役に立つはずです。

 節約精神はストラップにも使えます。アルトサックス用のストラップがテナーサックスには短いので、テナー用ストラップを買う?いやいや、伸ばせば良いでしょう。紐のストラップなら登山靴の靴ひも等が使えます。太さも色々あり、伸縮性も様々なので、自分の好みにピッタリなストラップが出来ると思います。ネックパッドへの連結は、「もやい結び」等のロープワークを参考にして、絶対に外れないようにしてください。

ベルトタイプのストラップでも、同じ幅のナイロンベルトがホームセンターにあると思います。ネックパッドがボロボロになったら、ズボンのベルトやバッグのショルダーベルトが使えます。市販のストラップのフックと長さ調整スライダーだけを使って、オリジナルのスリング(紐)とオリジナルのネックパッドを使って、自分だけの個性的なストラップを作るのも難しい話じゃありません。しかも、とても安価で実現できますよ。

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Written By: sax on 1月 17, 2018 No Comment

サックスは一生ものになり得る楽器です。しかるべき頻度でメンテナンスをしていれば、製造から例え50年、60年以上経ったとしても、ちゃんとした楽器として演奏する事が可能です。自分の身の回りの物で、これほど「使い続けられるモノ」は他にあるでしょうか?そんな寿命の長いサックスですが、それ故に気にしてあげるべき、「長い間のいろいろ」があります。

 ヴィンテージサックスを見定めるときには、その「歴史」が作りだしたダメージを確認する必要があります。確認の第一のポイントはストラップリングです。リングの内側がストラップフックとの長年の接触で削れている場合があります。多少の削れは問題ありませんが、大きな削れはリングの破損の原因になります。演奏中にストラップリングが千切れ、サックスが床にドスン、なんて恐ろしいですよね。テナーサックスなら「ネックのお辞儀」も確認すべきでしょう。テナーサックスのネックは長いので、ほんのちょっとの力でも曲がってしまう場合があります。慎重に扱っていても、長年の本体との「装着・脱着」の繰り返し、また演奏中にネックへ伝わる力で、想像以上に元の状態から上下に変形します。曲がりの程度は他の同型のネックと並べてみればすぐに分かります。ネックの曲がりは音程の取り難さや、息の詰まり具合となって演奏に影響します。

 ベルの周り、またサックスボディ左側の「擦れ傷」もオールドサックスの「あるある」です。ペル周りの傷はスタンドに立て掛けることによる傷、ボディ左側の傷は演奏中に奏者の太ももに擦れることによる傷です。ちょっとやそっとでは傷にはなりませんが、何百回、何十年と擦り続ければ傷となります。細かい傷は塗装面を侵食し、露出された地金(じがね)を錆びさせます。サックス管体内部のサビや汚れも、長年蓄積されれば空気の流れや、サックス全体の振動にも影響を与え、そのサックスのサウンドに悪影響を及ぼします。ひどい汚れは、「悪臭」にさえ発展しますので要注意です。

 あなたの愛機であるマイサックスを、将来まで最高のコンディションで演奏し続けるためには、こんな「長い間のいろいろ」にちょっと配慮すれば良い訳です。まずは定期的なメンテナンスを、必要な頻度でプロのリペアマンにおこなってもらいましょう。部品の摩耗や、パッドなどの消耗品の交換はリペアマンがしっかりとしてくれるはずです。ストラップフックには樹脂のカバーを着ければ、リングとの摩擦が和らげられます。樹脂で振動を殺してしまうのは嫌だ、という方は、ストラップリングのフックと擦れる部分に、ほんの少しオイルを塗るのも良いでしょう。

 摩擦が低減し、擦れのダメージを防げます。スタンドのベルを引っ掛ける部分には、柔らかいクロスやセーム革を挟み、ペルの擦れを防ぎましょう。サックスボディの左側に関しては、なるべくここを擦らない演奏姿勢を心がけましょう。またサックス全体を拭き掃除するときは、擦り過ぎないよう注意しましょう。手脂を拭き取る程度で十分です。サックス内部は頻繁にスワブを通して埃や水分を取り除きましょう。サックス内部を傷つけないよう、柔らかめの布のスワブを選ぶと良いでしょう。これであなたのサックスは、50年経ってもピカピカの現役サックスだと思います。
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