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サックス リード

Written By: sax on 6月 20, 2018 No Comment

他の楽器にも言える事ですが、サックスを吹くという事は、その道を究める長い旅でしょう。そして、道には必ず経験豊かな「先輩」が先を歩いており、後から来るものに適切なアドバイスをくれます。そんな先輩たちに私たちは憧れます。先輩は、「モノの見分け方」を良く知っています。野草の達人が毒キノコの見分け方を教えてくれるように、「サックス吹きがしてはいけない事」を沢山教えてくれます。私が多くの先輩から教えていただいた、毒キノコの見分け方(?)をほんの少しお伝えします。
 リペアマンの巨匠は、かなり独断型に我々の道具を否定します。私は使っているスワブを3回ほど、色々なリペアマンさんに否定されました。特に製品名を挙げることはしませんが、「毛羽」、「繊維」、「事故対応」に関して、スワブの良し悪しが決まるそうです。「使っていて少しでも毛や繊維がスワブから落ちる物は使っちゃダメ」、また「管体にスワブが詰まった時に、逆に引き出せないスワブは要注意」、だそうです。細かい繊維はトーンホールの縁とパッドの間にくっ付き、空気漏れの原因となるそうです。目に見えない程の細かい繊維が一番厄介で、分解しないと分からない場合もあるそうです。逆引きの紐の無いスワブは管内のオクターブパイプに絡んでしまった場合、スワブを「破壊」しないと取れません。いずれにしろ、悪いスワブは「修理代」を発生させます。

 悪いリードの話しも沢山聞きました。「皮に黒いしみが多いと鳴らない/鳴る」、「黄色より茶色が濃いほうが鳴る/鳴らない」、「光にかざして、透ける光が左右対称なら鳴る」など等。そう、これなら鳴る、が鳴らないと言われる場合も数多く、何か何だか信用できません。真理かなと思ったコメントは、「鳴らないリードは、何をやっても鳴らない」かもしれません。削ったり、形を整えたりしても、「抜群の鳴り」には届かない事がほとんどです。
 楽器本体やケースについても、先輩方の名言は沢山あります。「持って、振って、カチャカチヤ音がするサックスはダメ」とか、「サックスを前倒しの水平にし、下側から覗いて管体が曲がっていたら、そのサックスはダメ」、「各キーの戻る力が極端にばらついているサックスは要注意」、「ネックを手で撫でて、どこか出っ張りを感じたら、そのネックは変形している」などというサックスの見分け方。「蓋を開けて、その蓋が簡単にねじれるサックスケースは強度不足」、「サックスを入れて、振って、力夕力夕と中でサックスが動くようなら、そのケースは買わぬが吉」、「ベルトの金具や開閉金具がツルッツルではなく、ブツブツの表面だったら、強度不足の金属の可能性あり」など等、どれも良く考えれば理に適ったアドバイスです。先輩方の講釈には良く耳を傾け、しっかりと取捨選択して(笑)自分の役に立てましょう。

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Written By: sax on 4月 25, 2018 No Comment

どうにもこうにも答えられない質問のひとつに、「XXのマウスピースを使っています。このマウスピースに合うリードを教えてください。」、というのがあります。結論から言ってしまうと、マウスピースとリードの相性の良い組み合わせ、…なんてありません。奏者が吹き易く、欲するサウンドが出れば、どんなマウスピースにどんなリードを合わせても構いません。うーん、本当にそうなのでしょうか?
 バンドレン製のリードはバンドレン製のマウスピースでチェックされると思います。多分ね…。マウスピースのチェックという、逆の場合もそうだと思います。リコ社もマウスピースもリードも出していますので、同じかもしれません。しかし沢山のリードタイプのうち、どのタイプをチェックに使うかを類推するのは難しいので、「同じメーカーのリードとマウスピースは相性が良い」とは簡単に言えないかもしれません。ただし想像するに、「良い音」という曖昧なものに対する基準は共通しているのではないかと思います。そういう意味では、同じメーカーのリードとマウスピースは相性が良いのかもしれません。

 ティップオープニング(マウスピース先端の開きの大きさ)が大きいマウスピースには柔らかいリード、狭いティップには硬いリード、というのが一般的な組み合わせです。この常識も経験値でしかありません。狭いティップのマウスピースに柔らかいリードをセットすると、息の力でマウスピース先端にリードがくっ付いてしまい、音が出なくなってしまう場合が少なくありません。逆にティップの広いマウスピースに硬いリードをセットすると、リードを鳴らさずに息がマウスピースの中に入って行ってしまう場合があります。吹いても「スー」、吹いても「スー」です。これらの両極端の例にならないティップオープニングとリードの硬さの組み合わせが、「使えるセッティング」という事になるでしょう。ティップの広いマウスピースは、太くて大きな音が出し易く、ジャズテナー奏者の間では人気があります。狭いティップのマウスピースは、一般的にコントロールし易く、音程のピッチのブレも最小に押さえられます。ソプラノサックス奏者には、狭いマウスピースが好まれるようです。
 マウスピースのバッフル(リードに対面するマウスピース内部のリードとの距離。近いものをハイバッフル、遠いものをローバッフルと言います)の高さやボア(マウスピース内部の形と大きさ)のタイプによってもリードとの相性があります。ハイバッフルには硬いリード、ローバッフルには柔らかいリード、ラージボアには柔らかいリード、スモールボアには硬いリードを組み合わせるサックス奏者が多いようです。リードの振動の根元、「腰」の位置もサウンドや吹奏感に影響します。どれとは名指しは出来ないものの、やっぱりマウスピースとリードの相性って有るのかもしれませんね。ただ、吹くのが人間という個性豊かな存在ですので、きっとドンピシャの正解というのは無いのでしょう。吹いてて気持ち良いセッティング。これが一番です。

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Written By: sax on 3月 14, 2018 No Comment

サック奏者にとって、買ったリードの歩留まり(良いリードの比率)は死活問題です。そしてまた、リードの箱を開封してのリードチェックは、その日の気分を暗くもするし明るくもする、宝くじの当選発表(?)のようなイベントです。良く鳴るリードに100%当たることはまず不可能ですので、サックス奏者はあの手この手で良いリードを入手できるよう考えます。どこのメーカーのどこのブランドは良品率が高いとか、10年以上前のヴィンテージリードは良く鳴るとかの「当選率の向上」に加え、サックス奏者達は独自の「リード改良法」を持っているようです。

 かなり一般的になっているのは、リードの繊維を潰したり、削ったり、切ったりの加工でしょうか。 リードの表側の左右、「サイド」と呼ばれる部分を爪や硬いものでグイグイと押し潰してリードの繊維を固めたり、細かいやすりで削ったりすることで、鳴らなかったリードが鳴るようになる場合があります。左右の鳴りのバランスが悪いリードは、この加工で多少修正できるようです。首を左右に捻ってマウスピースを咥えて吹き、リードの左右どちらかの鳴りが悪い場合に、鳴りの悪いサイドを矯正します。またリード中央の膨らみ(バンプ)の繊維を潰したり、削ったり、またその先端部(ハート)の繊維にカッターで小さく横に切れ目を入れるという加工法もあります。これによってリード全体の腰が柔らかくなります。リードのサイドの鳴りを改良するためには、裏側の平滑度を上げるのも有効です。リードは裏面側に微妙にカールしている場合があるので、平滑度の高い面でやすりを掛け、裏面を平坦にすることでサイドの「丸み」を除去するという理屈です。リード削りには細かいサンドペーパーや「トクサ(茎の表面がヤスリ状になったシダ科の植物)」を使います。またリードの平面出しには、ガラス板やアクリル板に細かいヤスリを貼り付けて使います。

 ヤスリやカッターの他に、小さなキリもリード加工に有効なようです。バンプの中央先端寄りに直径1mm程の穴を開けます。リード全体のしなり強度が変化する加工ですが、「縦に二つ」とか「横に三つ」とか、人によって「秘密の穴のパターン」があるようです。

 リードに手を加える際に大切なことは、リードを加工する前に、「このリードを何故鳴らないと判断したか」をはっきりさせておくことです。左右の鳴りのバランスが悪くて音が曇るとか、腰が部分的に硬いために振動が弱く、音量が出ない、またリードが全体で振動していない等の「類推」をしたうえで、それを改善するための加工をしましょう。どうせ「ダメ」で使わないリードです。どんどん加工して、使えるようになれば「ラッキー」って事ですよ。

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Written By: sax on 12月 20, 2017 No Comment

サックス奏者にとって必要不可欠なリード。これがなければサックスは音が出ません。そして「鳴るリード」を求めるサックス奏者の執着は、並々ならぬものがあります。リードに泣き、リードに笑う。それがサックス奏者の宿命です。で、リードってそもそも何なんでしょ?

 目の前にあるリードは、ケーンというアシの一種の植物の茎を乾燥させ、薄くて長いヘラ状に加工したものです。リードの役割はサックス奏者の息のエネルギーを、楽器の音に変換することです。サックスが「ド」の音を出しているとき、リードは「ド」の音の周波数で振動しています。その振動が空気を震わせて、「ド」という音波になる訳です。サックスと同じように、リードの振動で音を出す楽器にハーモニカがあります。ハーモニカを分解すると小さな長さの違うリードが、ハーモニカの吹き込み口毎にずらりと並んでいます。ハーモニカは異なる音それぞれに、固有の振動数を持ったリードが付いています。

ですからハーモニカには、それが出せる音域の音の数だけのリードが取り付けられています。それに対し、サックスは一枚のリードでサックスの音域すべての音を出しています。この違いは、「共振」という物理現象が関わっています。ビンの口に息を吹き込み、「ボー」という音をさせる「ビン笛遊び」は皆さん経験があると思います。「ビン笛」の音の高低は、ビンの形やビンの中の液体の量で変えることが出来ます。同じビールビンを8本並べ、各々のビンに違う量の水を入れて調整すれば、「ドレミファソラシド」の出せる「ビン笛列」を作ることが可能です。ビン全体の「共振周波数」で音が決まるので、水を入れてビンの共振周波数を変えれば、異なる高さの音がでます。音のエネルギーの源はあなたの息ですが、それがビンの口の端で渦を作り、音の振動を作り出します。これを「エア・リード」と言います。フルートの原理と同じです。このときの振動の周波数が、ビン全体の共振周波数なのです。

 空気はあらゆる周波数で振動することが出来ます。そしてサックスのリードもそのサックスの音域内のあらゆる周波数で振動しなければなりません。そして、リードの「鳴る・鳴らない」はこの「あらゆる振動数」というところに起因します。天然植物の茎から作られたヘラですので、「あらゆる振動数」と言われてもやはり無理があります。サックスの管体が作り出す共鳴の周波数に、どれだけ効率良く応えられるか、がリードの良し悪しです。サックスの全音域で「鳴り難い」リードでも、ちょっと切ったり削ったりすれば劇的な変化をする場合があります。そして慣れてくると、「うん、高音域が鈍いな、ここを削ろう」というようなノウハウの習得も不可能な話ではありません。「リードが鳴らない!」、とリードを恨む前に、「あらゆる周波数で振動しなければならない」というリードの酷な役割に同情してあげてください。

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Written By: sax on 9月 6, 2017 No Comment

もう百回ぐらい言っているかもしれませんが、サックス吹きにとってリードは永遠の悩みの種です。リード選びを原点に帰って、もういちど基本から考えてみましょう。
 リードは振動して音を出します。この音がサックスのサウンドの源流です。リードの良し悪しを言う前に、「振動する環境」を整えましょう。マウスピースには正しくリードをセットすることが必須です。正しいセットとは、左右にずれが無く、先端もマウスピースの先端に揃えましょう。先端の合わせ方は、「髪の毛一本分手前」、「ぴったり」、「リードをマウスピース先端に押し付けてピッタリ」と3種類ありますが、好みと鳴りで選んでください。リガチャーの位置はマウスピースのリガチャーマークに合わせるとか、なるべく下側とか、二本ネジの先端側は少し緩める」とかの諸説ありますが、リードがずれないようにしっかりと留めることが重要です。好みの調整の前に、「しっかりと」だけはちゃんとお願いします。リードが接触する大事なポイントはマウスピースのテーブルだけではありません、その反対側、奏者の下唇も重要な接触ポイントです。下唇を巻き込んで唇越しに下の歯でリードを押さえるシンリップ、下唇を巻き込まないファットリップ、上の前歯もマウスピースに触らないダブルリップ、とアンブシャには色々ありますが、どう下唇がリードに接触するかが大事なポイントです。下唇のリードへの接触によって、リードの振動を妨げないことが重要です。一般的な接触のベストポイントは、唇の柔らかい皮膚とその下側の顔の皮膚との境目です。ここでは「振動を妨げない硬い線」があり、そこでリードを押さえればもっとも振動を吸収しにくい状態となります。唇の厚さの個人差によって、このポイントでリードを支えるために、どのくらい下唇を巻き込むかが異なりますので、鏡を見ながら確認してください。
 リードの形も鳴りに大きな影響が有ります。リードの裏側が凹んで円弧を描いているものはリードの平均的な振動を阻害します。紙やすりやリードリサーフェサーなどでフラットに加工するのが良いでしょう。この場合注意すべきなのは、リード裏面が平滑であることが重要なのではなく、マウスピースに対して左右対称に、ぴったりと接触することが目的です。リードの左右のバランスを崩さないよう注意してください。リード先端のカーブとマウスピース先端のティップカーブがぴったり揃っていないと、リードが鳴らないと思っている方が少なくありませんが、曲線の違いが左右対称であればさほど気にする必要はありません。リード先端のカーブを矯正するために、リードカッターを使用するサックス奏者がいらっしゃいますが、これはマウピピースティップのカーブに合わせるためにカットしているのではなく、リードの先端をほんの少しカットすることでリードの振動の仕方を調整しています。
 「リードは天然の植物だから、鳴りのばらつきはどうしようも無い」と諦めているサックス奏者が少なくありませんが、今日挙げたポイントをチェックしたり、修正するだけで、ダメリードが変身する場合が少なくありません。
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Written By: sax on 5月 17, 2017 No Comment

サックス奏者にとって、リードのコストは頭の痛い出費です。消耗品であるリードは、サックスの音の鳴る原点でもあるため、そう簡単にコストダウンすることは出来ません。じやあ消耗し難いもので、ということで出現した「人工リード」ですが、出始めのころはなんとも言えない品質のものでした。しかし昨今、人工リードの性能の向上は目覚ましいものがあります。吹奏感も音質も、そして耐久性も申し分のないものが、非常にリーズナブルな値段で入手できるようになりました。今日は「人工リード」のお話をば。
 天然の植物、ケーンを乾燥し加工したリードは、自然の物ゆえの寿命があります。リードの振動に必要な硬さと反発力は、使用していくにつれ劣化し、サックスの良好なサウンドを出すための振動が出来なくなります。また、湿度にも敏感で、乾燥保管しておいたリードは、ある程度ウォームアップして、唾液による湿り気を与えないと、本来の振動をする状態に至りません。安くても一枚500円前後のリードの価格も、「リードをなるべく持たせたい!」という気持ちに拍車を掛けます。そんなサックス奏者(リード楽器奏者)の要望に応えて出現したのが人工リードです。合成樹脂で作られた人工リードは、ケーン製のリードをはるかに凌ぐ耐久性・安定性を持ち、湿度に対してのケアの不要な「ウォームアップ要らず」のリードですが、最初のころは、「吹奏感に違和感がある」、「強いブローに反応できない」、また「音のダイナミックス(強弱の表現)が狭い」等の不満も大きく、なかなか一般的になりませんでした。しかし21世紀を迎えて十数年が経った今、人工リードは目覚ましい進化をしています。プラスチック製リードの定番、BARI(バリ)、また人工繊維を利用したFIBRACELL(ファイブラセル)。また新しいところでは、Legere(レジェール)、Hahn(ハーン)、Forestone(フォレストーン)、Bravo(ブラボー)等といったブランドも支持を受けているようです。各種の人工リードはそれぞれの独自の工夫がなされ、良質な天然ケーンに近い性能を再現しています。合成樹脂を使用するだけでなく、各種の「繊維成分との合成」をおこなっているので、近年では「人工リード」に対し、「シンセ・リード(合成リード)」という呼び名のほう市民権を得ているようです。1枚の人工リードはそれなりの価格ですが、長寿命、安定性、当たり外れの無さ、等の高いメリットを考慮すると、天然リードにコスト的に勝ると言えるでしょう。
人工リードは決して永久的に使えるわけではありませんが、天然リードの10倍近くは持つでしょう。また、純粋に工業的に製造されるので、品質のばらつきは皆無です。当たり外れはありません。またマウスピースにセットすれば、即、性能全開で鳴ってくれます。音色や吹奏感の面で天然リードは根強い人気をもっていますが、深く静かに「人工リード派」も増えているようです。あなたも食わず嫌いせずに、試してみたらいかがでしょう。

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Written By: sax on 9月 13, 2016 No Comment


コルクはサックスのあちこちで色々な役割をしています。クッションとしての役割や、弾力を持った連携メカニズム等がありますが、ネックのネックコルクの役割はちょっと特殊です。サックスの音の根源であるマウスピースと、サックス本体を繋ぐという大事な役割をしています。近年、この「ネックコルク」の役割が見直されてきており、様々なあたらしい工夫が考えられています。
 ネックコルクはサックスのネックにマウスピースを差し込む場所の「クッション」です。希望の位置にマウスピースが止まり、ぐらぐらしたり、息漏れしなければ良し、とされてきました。しかし良く考えると、ネックコルクはその弾力のクッション特性で、マウスピースとネックおよびサックス本体を「分離」してしまっています。マウスピースとリードによる振動は、空気を介してサックスに入っていく、という「サックスの音エネルギーの空気伝達」だけを考えるならこれで良いのですが、「せっかくのマウスピース自身の振動を、サックスに伝えないのは如何なものか」という考え方が最近議論されるようになってきました。

 コルクの機能的要素は木材繊維と繊維の中の空気です。押しても潰れたままにならず弾力で戻ります。また遮音材や防振材としても使われる「振動吸収性能」を持っています。ネックコルクにはこういう機能が邪魔ではないのか、このコルクによる振動の吸収さえなければ、マウスピースで作られた振動は、もっと効率良くサックス全体に伝わるのではないか、というのが新しい考え方です。コルクの代わりにネック先端に硬い樹脂を取り付け、マウスピースに差し込むというカスタム仕様のネック加工法があります。樹脂の弾力はありますが、コルクの振動吸収性を改善したもので、「吹奏感が変わる!」、「抜けが良い」、と言う方もいるようです。樹脂以外にも、黒檀などの硬い木材をネックとマウスピースの間に差し込む工夫もあるようです。また、ネックとマウスピースの間に金属の板を渡して、その金属を介して振動を伝達させようという工夫もあります。金属はある程度厚くそれなりの重量で、サックスのネックとマウスピースに効率良く接触する形状に加工されており、それをシリコンゴムのベルトで固定します。サウンドのパワーが増し、細かい強弱が表現できるようになり、何より楽器が抜群に鳴るようになる、と評判です。なんとこの工夫はトランペット等の金管楽器用にも製品が開発されており、吹奏感が向上し、パワーも増すと、かなり人気が出ているようです。

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Written By: sax on 8月 30, 2016 No Comment


突然ですが、ピアノは調律師によって調整されますよね。調律師はピアノの88鍵(または73鍵)の一つ一つの音を確認しながら、一台のピアノの音を作り上げます。それに比べてサックスの「音作り」は雑です。あなたの吹いているサックの音は毎回同じですか?「同じです」と答えられるサックス奏者はほぼ皆無でしょう。サックスの音は吹き方でも、フレーズでも、また吹く環境によっても変化します。その変化や不安定さを、「サックスは人間らしい楽器だよ!」と肯定的にとらえ、不安定な音をサックスらしいと言う人すら少なくありません。それで良いのでしょうか?少なくとも「嫌な音」はしっかりと避けるべきではないでしょうか?今日はサックスの雑音の話しです。
 サックスという楽器の面倒臭いところのひとつに、「出すべき音色」があいまいで、かつ音色の許容度があまりに広いことがあげられます。例えばクラッシックのサックスアンサンブルのテナーサックスの音と、ばりばりの古典派ジャズテナーのサブトーン。多分多くの人がこの二つの音は違う楽器で出されていると考えるはずです。それだけ両者の音質は違います。この違いに私は異存ありません。だって表現するものが違うのですから。しかし両者のサウンドに対する姿勢の差は注目すべきだと思います。サックスアンサンブルのサックス奏者は、メンバー全員の音色をそろえる為に大変な努力をしています。楽器のメーカーや製造ロットをそろえる、なんてことも当たり前です。比べてジャズサックス奏者は…。ま、かなり大まかです。ジャズの場合、音色イコール個性ですから、「その人の音」であれば良いとされています。これも私は否定しません。ジャズらしいと思います。しかし、「音質に対する大きな許容度」に隠れた、「雑音への対処」を忘れてはいないでしょうか?

 リード上の水分で生じる、「チリチリ」というマウスピース内部の音。雑音です。フラジオ運指で出した高域音に混ざる他の周波数の音。雑音です。低い音でサブトーンを出すと出てくる倍音。雑音です。フレーズに馴染まない籠った「レ」の音質。雑音です。サックスが構造上出してしまう雑音はもっとたくさんあります。あなたのサックスが出した、少しでも不本意な音質は、あなたの演奏にとって雑音です。雑音は工夫や努力によって克服することが出来ます。しかし雑音に気が付かなければ対処も出来ません。ピアノの調律師の様に、真剣に自分の音をひとつひとつ確認することもたまには良いのではないでしょうか?雑音を見付けて駆逐してください。そういうジャズサックス奏者が増えれば、「ジャズサックスの音は汚くて嫌い」なんて言われることも無くなるのではないかと思う次第です。

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Written By: sax on 7月 26, 2016 No Comment


サックスに限らず、楽器奏者の最終目的は、立派なステージで大勢の観衆の前で演奏することでしょう。とはいえ、いつもそんな「ハレ」の舞台ばかりではないと思います。忘年会・結婚式の余興や、内輪のパーティーでの演奏、ひどい場合は飲み会の席で突然の指名、なんてことも無い訳ではありません。学校や職場のまわりのひとが、あなたがサックスをやっていると知っていると、こんな厄介なケースが多々起きるものです。ライブやコンサートなどのちゃんとした演奏ではない、「サックス宴会芸」のテクニックについてお話しましょう。
 宴会芸としてのサックス奏者の最重要ポイントは、「素早い立ち上がり」です。お座敷やパーティーではリハーサルもないし、楽器のウォーミングアップの時間もありません。下手をすれば、楽器を組み立てている時間さえ、周りに「ブーブー」言われてしまいます。サックスのクイックセッティングには人工リードが最適です。天然リードと違い、リードを湿らせるというウォーミングアップをまったく必要とせず、マウスピースにセットした瞬間に100%の実力を発揮してくれる、宴会サックスには最高の武器です。マウスピースを仕舞う際に人工リードをセットしておけば、「吹いてよ!」のリクエストに対し、リードセットの時間すらも省けます。宴会サックスではサックスのチューニングも速攻でおこなう必要があります。いつもの適正なチューニングをした際のマウスピースの位置を、ネックのコルクにサインペンで線を引いてメモしておきましょう。マウスピースをその位置に「ズボッ」と差せば、ほぼ完ぺきなチューニング、という位置です。コンサートやライブではありませんから、微妙なピッチの違いはたぶん気付かれません(汗)。そうそう、マウスピースやストラップ、リード等の小物はケースの中か、ケースのポケットに収納しておきましょう。別のかばんの中に仕舞ってあると、これも時間のロスになります。

 宴会サックスのクイックセッティングの次は、宴会サックス奏法です。何も考えずにいつものように演奏するだけでは、宴会でヒンシュクを買うサックスの吹き方があります。それは「でかい音」です。サックスという楽器は、奏者が考えている以上に大きな音がします。ライブ会場やコンサートホールでは、音が散ってさほど気になりませんが、宴会やパーティーの会場のような小さな部屋では、サックスの音は「轟音」です。天井の高い吹き抜けのホールのような場所でもない限り、音量はp(ピアノ)かmp(メソピアノ)で十分です。演奏曲目?それはあなたの腕と趣味にお任せします。楽しい宴会を!

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Written By: sax on 6月 14, 2016 No Comment


サックスではマウスピースの咥え方、いわゆるアンブシャがとても重要です。良い音、安定した音、また音楽性を高めるニュアンスを音に与えるためには、このアンブシャの良し悪しが大きく影響します。サックス奏者にとっては「アンブシャを固める」ことはとても重要な課題であると同時に、必要に応じたアンブシャの修正もまた、サックスによる良い音楽を維持するための課題です。唇の形やマウスピースの咥え方で、「シンリップ」、「ファットリップ」、「ダブルリップ」等、アンブシャは呼称も形も様々です。またサックスの先生や部活の先輩達による、「教え方」も様々です。正直言って、すべてのアンブシャは「あり」です。自分に合った、また、表現する音楽に合っていて、自分の出したいサックスの音が出せるなら、どんなアンブシャでもOKだと思います。しかしアンブシャの基本的な必要条件を思い起こし、自分のアンブシャを点検することも重要です。今日はアンブシャの原点を考えましょう。

 アンブシャとは、ひとことで言うと「息のパッキン」です。パッキンとはビンや水道、ガス関連で使われている、あらゆる液体や気体を「漏れずに閉じ込める」ための、柔らかなゴムやシリコンで出来ている「詰め物」です。サックス奏者は、上下の唇でサックスを鳴らすための息の空気を、マウスピースの周りから洩れてしまう事を防ぎます。これがアンブシャです。サックスのマウスピースの構造を考えると、一番息漏れしそうなのが両サイドです。唇の左右の筋肉でしっかりと息漏れを防ぐことが重要です。アンブシャの上あご側は「パッキンのズレ止め」機能です。前歯をマウスピースに立てて、口とマウスピースの関係が安定するように支えます。ガッツリと噛み込む必要はありません、あくまでも支えです。サックス奏者がマウスピースに接触する唯一の硬いところがこの前歯です。支えの機能が過剰になっていないかどうかチェックしましょう。
 さて残るはアンブシャの下側です。ここからの息漏れを防ぐのはちょっと厄介です。ここにはマウスピースの心臓部として、息を音にする振動を作る「リード」があるからです。むやみに息漏れを防ぐだけでは、リードの振動を邪魔してしまいます。アンブシャの下唇は、息漏れを防ぐと同時に、リードが最大限に振動出来るよう支える必要があります。下唇の柔らかい部分をペッタリとリードに付けてしまえば、リードの振動が吸収されてしまいます。かといって唇を内側に巻き過ぎて、唇の外の硬い皮膚をリードに付けたり、下あごで締め付けすぎてもリードが「押さえつけられて」しまいます。リードに接触するベストな部分は、下唇の下の端、柔らかい唇が硬くなる境界です。唇のこの部分を軽くリードに当てる事で、息漏れを防ぐと同時に、リードの自由な振動を阻害せずに演奏できます。下の歯で下唇を噛む必要はありません。その力はリードの振動を妨げます。どうでしょう?自分のアンブシャは基本に則っていましたか?

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