サックス 本体

ボガーニ物語

イタリアのサックスは、完全ハンドメイドによる温かみのある音色と、独自のヴィンテージな響きを持つことで人気です。少量生産を貫く老舗「Rampone&Cazzani(ランポーネ&カッツィーニ)」や、職人技が光る「Borgani(ボガーニ)」、200年近い歴史を持つ「Orsi(オルジー)」が3大イタリアサックスと呼ばれています。今回は「Borgani(ボガーニ)」に焦点を当ててみましょう。

ボガーニ社(ボーガニと呼ばれる場合もありますが、この発音が正しいようです)は1872年、アウグスト・ボガーニ(Augusto Borgani)によって、イタリア中部のマチェラータの町で創業されました。音楽家として培った楽器への理解と起業家精神により、当初から業績は順調でした。加えて、長男アーサー(Arthur)をアメリカのインディアナ州エルクハートに送り、アメリカの楽器メーカーCONNにて、当時最も革新的な生産技術を学ばせ、その技術をボガーニ社の楽器に反映させました。この貴重な経験により、ボガーニ社は当時急速に発展していきます。
1920年にアウグスト・ボガーニが亡くなり、会社の経営は次男でクラリネット奏者であるオルフェオ(Orfeo)が引き継ぎました。オルフェオはその音楽的ノウハウと楽器設計の能力を活かし、現在でも使われている多くの楽器の特許を発明しています。
当初はクラリネットの製造を主としていましたが、1930年代初頭のジャズとスウィングの黄金時代に、当時花形楽器になりつつあった、比較的新しい楽器、「サックス」の可能性に注目し、製造を開始します。1956年のオルフェオ・ボガーニの死後、三男のジュゼッペ(Giuseppe)が後を継ぎ、研究と技術開発に注力し、会社の国際化を最優先事項としました。
数年のうちに、ボガーニ・ブランドは世界中に広まり、国際的なブランドとしての地位を確立します。1983年にジュゼッペ・ボガーニが引退し、彼の息子オルフェオ(Orfeo)がボガーニ社の4代目を引き継ぎました。オルフェオのもと、同社は自らのスキル、経験、研究と技術革新、製造伝統等のすべてを再評価し、同社はプロ向けのハンドメイドサックスに専念するようになりました。

1990年、長年の研究と実験の末、様々な金属を混ぜ合わせた、7種類の音色の異なる真鍮ベースの合金、「ボガーニ・サウンド・アロイズ」を開発し、ボガーニサックス使用するようになりました。この合金素材のラインナップは、現在に至るまでボガーニの生産ラインの中核となっています。
1997年には創立125周年を記念して、革新的なベル交換式のソプラノサックスを発表しました。この方式はボガーニのすべてのソプラノサックスに採用され、演奏者は使用するベルの素材や形状の種類を選び、異なる音色や、より大きな音量を得ることができます。

ボガーニのサックスは古くはジェリー・マリガン、近年ではマイケル・ブレッカー、ボブ・バーグ、ジョー・ロバーノ等が愛用していることで有名です。革新的な合金の個性的な組み合わせと、卓越した技術を持つ熟練の職人によるハンドメイドのサックスは、世界中のサックス奏者に注目されています。
ボガーニのサックスはハンドメイドゆえの高価格と、完全受注生産なので入手までにかなりの期間がかかるので、なかなか手に入れることが難しいブランドですが、そのサウンドは、まさに唯一無二の個性を持っていると評判のハイエンドサックスです。

 

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