サックス 本体

ビンテージ・サックスは何故あんなに人気があるのですか?


サックスという楽器の市場についてあまり知識の無い方々は、ヴィンテージ・サックスの値段を見て、皆さんこうおっしゃいます。そりゃあそうですよね。モノによっては錆だらけのクズ鉄にしか見えないサックスが、百万円を超える価格で提示されているのですから。ヴィンテージ・サックスはどうしてそこまで人気があるのでしょうか?今日はそのあたりを考えてみましょう。
 もちろん、高価格でも欲しい人がいるからあの値付けな訳です。需要と供給の原理で、ヴィンテージ・サックスは「新しく作れない」ものですから、競りの原理で高騰するのは仕方の無いことです。しかし何故、そんなに出してまで欲しいのか?ということですよね。先日、あるクラッシックサックスの大先生がおっしゃっていた言葉を引用すると、「サックスは進化し過ぎた」そうです。そしてそのサックス本来のDNAが、「便利さ」、「簡単さ」に埋没してしまっているのが、現代のサックスではないかとおっしゃっていました。つまり、ヴィンテージ・サックスには、現代のサックスで薄められてしまっている「何か」があるようです。例えば「音程」。現代のサックスでは、指使いさえ間違えなければ、ほとんど正しい音程が出せるように作られています。しかしヴィンテージと呼ばれるサックス達は、吹き手のコントロールが無ければまともな音程は出ません。
逆に言えば、プレーヤーによって微妙な音程のずれや合わせ方が自由になっています。ご存知のように1オクターブを12個の音に平均して割り付けた「平均律」では、和音を本当に調和させるにはピッチの上下が必須です。こんな演奏にはヴィンテージ・サックスが合っています。また、サウンドもヴィンテージの魅力の要因です。素材金属の経年変化だけではない、現行のサックスでは再現できないヴィンテージ特有の振動によるサウンドが確実にあります。また、古い設計のサックスには、奏者との協和が不可欠です。技術によって解決された「問題」達は、じつは奏者との絆を深めるための要因であったのかもしれません。それゆえに、ヴィンテージ・サックスには「一緒に会話する」魅力があるようです。100万円を出してヴィンテージ・サックスを購入することを勧めはしませんが、機会があったら是非試奏してみてください。ヴィンテージの魅力が垣間見えるかもしれません。
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