サックス 本体

一種類のサックスが吹ければ、他のサックスも吹けますか?


「一種類のサックスが吹ければ、他のサックスも吹けますか?」という質問をよく受けます。
質問される方は、持ち替え用にソプラノサックスを買いたいとか、テナーが重いので(笑)アルトに替えよう、等の方です。
大概は、「はい、サックスはどの種類も同じ指使いで、マウスピースとリードで音を出すという機構は同じなので、問題なく吹けます。」という答えを期待してらっしゃるのですが、真面目な私は、「そう簡単ではないですよ。」、とかなりへそ曲がりな答えをしてしまいます。その理由を今日は説明させてください。
まず皆さんが忘れていることのひとつが、「サックスは種類が変わればマウスピースのサイズも変わる」ことです。ソプラニーノサックスのマウスピースとバリトンサックスのそれを較べたら、まるで親子、まるで相撲の力士と幼稚園児、ナスと落花生(これが一番合ってる例えかな?)てなもんです。
そしてマウスピースのサイズが変われば、アンブシャ(マウスピースの咥え方)も変わります。落花生を唇で締め付けるのと、ナスを口に突っ込んで唇で締め付けるのとは、どう考えても力の入れ具合が変わることは容易に想像できると思います。
ソプラノからバリトンへの移行が簡単とか、いやその逆とかの大小の方向性は無いようです。またもうひとつの要素が、「サックスは高い音域の楽器ほど、音程が不安定になる」、ということです。音程が不安定ということは、アンブシャによって音程を調整する技が必要になります。
唇の締める力を調節して、楽器から正しい音程の音が出るように、吹き方のコントロールを意識する必要性の度合いが、バリトンよりテナー、テナーよりアルト、アルトよりソプラノのほうが高くなります。つまり、短いサックスほど音程のコントロールが難しくなります。テナー奏者やアルト奏者のソプラノサックスへの持ち替えは一般的ですが、プレーヤーはそれなりの苦労をしています。
ここまで言っておいて何なのですが、クラシックの先生にこの話をすると叱られます。クラッシックのサックスでは、「サックスの種類が変わってもアンブシャは変わらない」ようなアンブシャを「正しいアンブシャ」としている方が多いようです。
ま、何が正しいかは、アンブシャではなく、出てくるサウンドで判断するのが一番だと思います。
 
 *写真は全てflickrから掲載しています。
音は低音から高音まで「あの枯れたような何とも言えない理想的な音質」です。感覚が鋭くミスにも反応しますが、技量はまだまだなので練習の励みにもなります。
(AIZEN SO テナーサックスマウスピースご購入 柿崎広志様 のお声)
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