サックス 演奏

サックス偉人伝: アイク・ケベック

「俺の演奏を聴け」とばかりに、自分の主張を音楽で表現し、ある意味聴き手に押し付けるような傾向の多いジャズサックス奏者において、あくまでライブに集う人々や、録音を聴く人々に、リラックスした楽しい時間を与える音楽を目指しているような、優しいテナーサックスを吹く奏者がいました。
ジャズ界にあって、とりわけ大きく評価はされていませんが、その演奏の洗練されたサウンドは、まさに「聴きたい」テナーサックスの音で、艶やかで優しく、かつ官能的なサウンドは、今でも多くのファンに愛されています。
そんなテナー奏者、アイク・ケベック(Ike Abrams Quebec:アイク・エイブラムス・ケベック)は1918年8月17日、マンハッタンにほど近いニュージャージー州ニューアークに生まれました。若いころからダンサー兼ピアニストとして活動していましたが、20代前半に楽器をテナー・サクソフォンに替え、やがてサクソフォン奏者として将来を嘱望されるようになりました。
カウント・ベイシー(pf, cond)、エラ・フィッツジェラルド(vo)、ベニー・カーター(as)、コールマン・ホーキンス(ts)らと共演し、1944年から1951年までの間は、キャブ・キャロウェイ楽団に断続的に出演しています。

ケベックは40年代にブルーノートで78枚ものアルバムに参加し、またサヴォイ・レーベルでも多くのレコーディングをおこなっています。ブルーノート・レーベルの創設者であり、かつプロデューサーのアルフレッド・ライオンはケベックに、ブルーノートのためにアーティストの発掘/育成と楽曲作成を担当する業務を託し、ケベックは多くの将来性ある才能を発掘/育成しました。
ケベックが発掘した人々の中には、セロニアス・モンク(pf)やバド・パウエル(pf)もいました。ケベックは50年代の終わりごろから、本格的に演奏活動を再開し、ソニー・クラーク(tp)、ジミー・スミス(org)、スタンリー・タレンタイン(ts)らとセッションをおこなっています。
1962年にリリースされたアルバム『Blue and Sentimental(1962)』は、ブルノートお馴染みのグラント・グリーン(g)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)を従えたピアノレスカルテットで録音された、ジャズならではのリラックッス・ムードに浸れる名盤です。真夜中のナイトクラブにでもいるような、雰囲気たっぷりのこのアルバムは大ヒットし、何度となく再販されています。

アイクはCONN 10M、Selmer Mark VI等も使用したようですが、もっとも有名なのビッシャーの Aristocratモデルに、マウスピースはMeyerのメタルマウスピースを使ったセッティングです。このマウスピースはマイヤー社が創立されて初めて作ったマウスピースで、ブランク(原型)はオットーリンクのMASTER LINKと同じものを使っていると言われています。
ケベックの音楽スタイルは、当時先端であったビ・バップではなく、昔のハーレム・ジャズやスィングなどを引き摺ったスタイルで、フレーズのひとつひとつがメロディックで、親しみ易く、野太い音で朗々と吹いています。聴き手がリラックスして、安心して身を委ねることができる彼のサックスサウンドは、すべてのサックス奏者が見習うべき、大切なものを備えているのではと感じます。

 

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