サックス 本体

サックス完成までの深い過程(その2)

それまで我が世の春を謳歌していたセルマーをはじめとするヨーロッパのサックスメーカーは、世界規模でのジャズの急速な発展で様相が変わります。
それまでサックスは滑らかで艶のあるサウンドの「きらびやかな木管楽器」でよかったものが、「個性的な」、また「人間臭い」楽器の特徴が求められるようになってきたからです。アメリカの楽器メーカーはこぞって「ジャズに特化したサックス」を発表し、多くのプロミュージシャンがそれらを採用していきました。
ビッシャー、コーン、キング、マーチン等がこれら所謂、「アメリカン・サックス」です。ジャズの世界ではかなりの名声を得ましたが、それ以外の音楽分野にはあまり採用されなかったようです。その証拠に、スイング、モダンの「ジャズ全盛期」の終わりとともに、これらアメリカンサックスのメーカーも消えていきました。
フランスのセルマー社もアメリカの工場でジャズ用のモデルを生産していましたが、1980年代初頭には生産を終了しました。これが今、市場で高値を呼んでいる「アメセル」です。
ジャズがもたらしたサックス・ブームが終わった後が、現在まで続いている「サックス混沌時代」です。まず、あらゆるジャンルでサックスの可能性・表現力が認められ、サックスの出番は俄然多くなってきました。また、設計技術・生産技術の発展によって、高性能なサックスが安価で生産できるようになりました。
たとえサウンドに多少難があっても、マイクとエフェクターを通した音で電気楽器に混じって音楽を支えています。ディビッド・サンボーンのように、それまでのアルトサックスのサウンドの常識を外れた音で、聴衆を魅了するアーティストも現れ始めました。
金管楽器と較べると、またクラリネットやフルート等の先輩木管楽器に較べても、サックスはまだ発展の可能性が残されている楽器です。多種多様なサウンド関連アクセサリーや、メーカー独自の新技術が絶えることがありません。
そして、そんな楽器ゆえに、「生産委託」(ステンシル・モデルと呼ばれます)や「設計委託」等も早くからおこなわれていました。もちろんメーカーによる正式発表などありませんが(ある物もあります)、多くの廉価版のサックスは台湾製か中国製です。デーブ・ガーデラ・サックスはB&Sのステンシルですし、B&Sはカワイのサックスを作っていた頃もあります。
H.COUFはカイルベルト製ですし、ポールモーリアとカドソン、キャノンボールは同じラインで製造されているらしいです。ま、最近では台湾や中国のサックスメーカーの製造技術が上がり、ブランドメーカー自身が、「生産はXX」と宣言していることも珍しくありません。
ということで、サックスは今なお進化し、かつ様々な「特色」が存在します。このような複雑な歴史と機能構造ゆえに、価格と性能のバランスの見極めは、プレーヤー本人でしか判断できないのかもしれません。皆さんが「良い相棒」と巡り合えることをお祈りしております。
気になっていたハイトーンも以前より軽くふけるようになり感動です。
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