Theo Wanne(セオ・ワニ)は、高度なリフェイス技術を持つ、アメリカのトップクラスのサックスマウスピース設計者であり、マウスピースブランドの創始者です。近年は年に数回来日し、マウスピースのリフェイス会やクリニックを開催しています。セオ・ワニのリフェイステクニックに迫ってみましょう。
サックスのマウスピースのリフェイスとは、マウスピースを削って、リードが当たる面や先端の開き(オープニング)等の細部を整えて、吹き心地や音質をカスタマイズする作業のことです。摩耗の修復や、演奏者の好みに合わせたバランスの調整もおこないます。セオ・ワニ氏は、そのキャリアをヴィンテージマウスピースのリフェイスから始め、膨大な数のマウスピースのリフェイスの経験から、自己の設計のマウスピースの販売を始め、現在に至ります。近年は自己のブランドのマウスピースの販売促進と、リフェイスサービスのため、年に数回来日し全国を回っています。リフェイス作業の動画も数多くネットで公開されており、彼の実際のリフェイス作業を見ることも出来ます。
リフェイス作業には、完全平面を実現した、ガラス製の「ワークプレート」が必須です。そこに紙ヤスリを敷き、その上にマウスピースのテーブルを置き、滑らして削ることでテーブルの平面性を作ります。削り過ぎると、フェイシングカーブの立ち上がりが先端部に移ってしまうので、削り過ぎは厳禁です。メーカーや製造年代によっては、テーブルの中心を少し窪ませているマウスピースもあります。テーブルの平面性が完成したら、フェイシングカーブの調整です。目盛りの付いたガラス板、「フェイシングゲージ」をテーブルに密着させ、ゲージのメモリをマウスピースに直角になるようにセットします。厚さの違う「シックネスゲージ」をマウスピースのレールとフェイシングゲージの間に差し込み、目盛りとシックネスゲージが平行になれば、その部分のフェイシングカーブは左右対称になっています。斜めになった場合は、ワークプレート上の紙ヤスリの上を滑らせて、削って調整します。段々厚いシックネスゲージに変えていきながら同様の作業を繰り返し、フェイシングカーブの「点」から「線」を整えます。フェイシングカーブはマウスピースの鳴りの根本部分なので、そのマウスピースに合わないフェイシングカーブにしてしまうと、マウスピースは全く鳴らなくなってしまうので要注意です。最後に調整するのは、オープニングを含めたティップ周りです。ティップ先端が欠けたり荒れている場合は、削って滑らかにします。またティップの厚さも調整します。このときは、棒ヤスリや治具に着けた紙ヤスリなどを使います。ティップの厚さや滑らかさ、開き具合は、「デジタルオープニングゲージ」を使って、精密に測定しながら削ります。このときにセオ・ワニは、サイドレールの厚さや立ち上がりの角(かど)等も一緒に調整するようです。バッフルやボアの調整もリフェイスの一環ですが、マウスピースの設計の肝であり、サウンドや吹奏感の特徴の原点ですので、簡易的なリフェイスでは、セオ・ワニ氏はあまりいじらないようです。
セオ・ワニ氏が自身で監修した、「Theo Wanne Refacing Kit リフェイシングキット」には、デジタルオープニングゲージ、フェイシングゲージ、シックネスゲージ、六角レンチに加え、セオ・ワニ氏によるリフェイスの詳細な解説や、フェイシングカーブのデータ集等が記されている小冊子、リフェイスバイブル(英語表記)も付属しています。このキットの日本での価格は42,900円ほどです。アメリカの管楽器リペア器材ショップ、「MusicMedic」ではUS$301.81です。ここではワークプレート(US$38.64)、リフェイス用の棒ヤスリと紙ヤスリ、治具等がそろったSanding Tools(US$72.39)も購入できます。
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