サックス 演奏

サックス偉人伝:チュー・ベリー

サックスの歴史に残る名作、CG CONN(シージー・コーン)社のニューワンダー・タイプIIの呼称として、今なお語り継がれる「チュー・ベリー」。これは早逝した伝説のジャズテナー奏者、レオン・ブラウン・「チュー」・ベリー(Leon Brown “Chu” Berry)の愛称です。彼がマウスピースを強く噛む癖があったことと、映画のフー・マンチュー博士に似た口ひげを生やしたため、仲間たちが彼を「チュー」と呼び始めたそうです。

チューは1908年9月13日、ウェストバージニア州ホイーリングで生まれました。幼い頃から音楽に興味を持ち、地元のバンドでアルトサックスを演奏していましたが、コールマン・ホーキンスの演奏に感動し、テナーサックスに転向しました。
21歳のときからサミー・スチュワート楽団、ベニー・カーター楽団、フレッチャー・ヘンダーソン楽団、キャブ・キャロウェイ楽団等、一流スイングバンドを転々としながら実力を発揮し、20代の終盤には、サックスのパイオニアであるコールマン・ホーキンスやベン・ウェブスター、レスター・ヤングなどと肩を並べる、人気テナーサックス奏者のひとりとなりました。
チューの高度なハーモニーの感覚とアップテンポでスムーズに流れるソロは、ディジー・ガレスピーやチャーリー・パーカーなど、当時の先端の若いミュージシャン達に大きな影響を与えました。しかし人気、実力ともに絶頂だった1941年10月27日、オハイオ州コニオートで自動車事故に遭い、33歳の若さで亡くなりました。
チューの演奏は、有名ビッグバンド在籍中の、バンドメンバーとしての演奏はかなり残されていますが、その他の演奏の録音は極めて少なく、彼の名演奏を聴くにはある程度の努力が必要です。そのため同世代のコールマン・ホーキンスやベン・ウェブスターに比べ、過小評価されている感はありますが、早逝しなければジャズ史に残るテナーマンになったことは確実です。

アメリカンジャズサウンドの象徴として君臨したC.G. CONN社は、1888年、「アドルフ・サックス」モデルをサンプルに初のアメリカ製サックスを製造した、アメリカンサックスの老舗です。ちなみにこの最初のサックスを設計したのが「Buescher」の創始者、「ガス・ブッシャー」だったと言われています。
1914年に「ソルダード・トーンホール」を採用したNew Wonder Series I を発表し、コーンサックスは全盛期を迎えます。ヨーロッパのサックスサウンドとは異なる、柔らかさと抜けの良さが両立した、温かくて太いサウンドがが特徴です。
1924年には全管体のトーンホールが「ロールド・トーンホール」となったNew Wonder Series IIが発売されます。一般的にこのNew Wonder Series IIを”チュー・ベリー”と呼びますが、チュー・ベリー本人が愛用していたのは「Transitional(トランジショナル)」の後期モデル(1934年製)テナーサックスとされています。
しかしチューの演奏中の愛機の写真を見ると、見た目はNew Wonder II的な個体となっており、チュー用の特別モデルではないかとも類推されます。マウスピースはオットーリンクのメタルの他、ハードラバー系のマウスピースも使用していました。
一般的に、1910年から1930年代半ばに製造されたC.G.CONN製ソプラノ、テナー、アルト、バリトン、Cメロディーサックスなどが「チュー・ベリー」と呼ばれますが、C.G.CONN社が公に「チュー・ベリー」という呼び方を使った記録は無く、何故該当のサックスがチュー・ベリーと呼ばれるようになったかは定かではありません。

 

——————————————————————————————–

『イー楽器のお得情報』

 

返品保証30日+豪華3大特典付き
⇒『 AIZENより GWキャンペーン! 返品保証30日+豪華3大特典付き』

 

レビューを書いてAIZENゲットのチャンス!
⇒『AIZENお客様の声キャンペーン!』

関連記事

  1. サックス 演奏

    ステージ上に持っていくもの

    サックス演奏の上級者にしろ初心者にしろ、サックスを人前で演奏するのが…

  2. サックス 演奏

    【銘品探訪】マグニトーン・リガチャー

    1939年ごろに販売が開始された、セルマー・マグニトーン・リガチャー…

  3. サックス 本体

    各サックスの長所

     サックスという楽器の特徴のひとつに、音域によって多種多様な「種類」…

  4. サックス 演奏

    サックス偉人伝:ルー・タバキン

    ジャズピアニストで作曲家の穐吉敏子(秋吉敏子)の夫として、また超絶技…

  5. サックス 演奏

    サックスで体調悪化

    管楽器が呼吸器に悪いと言われたのは大昔。今ではそんな迷信を信じる人は…

  6. サックス 演奏

    サックス吹きの服装

    楽器を演奏するミュージシャンは、自分の演奏する音楽を他人に聞いてもら…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

previous arrow
next arrow
Slider

最近の記事

アーカイブ

2025年10月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
PAGE TOP