サックス 本体

サックスの常識:ソプラノ


同じサックス吹きでも、アルト奏者はバリトンサックスやテナーサックスの多くは知りません。自分の吹いているサックス以外のことは意外と知らないものです。何かの際の役に立つかも、程度のノリで、各種サックスのそれぞれの常識や「あるあるネタ」を紹介しましょう。今回はソプラノ編です。
 ソプラノサックスはアルト奏者やテナー奏者の持ち替え演奏の場合が多いので、そのサックスの「理解者」は少なくないと思います。しかし、それゆえに、「テナーなら、こう出来るのに」や「アルトなら、ここはやり易いのだが」という文句が数多く寄せられる楽器です。はい、ソプラノはかなり可哀そうなサックスだと思います。可哀そうな筆頭は、「棒」であること。カーブドソプラノも近年多く普及していますが、古くは「ソプラノサックス=ストレート」です。今でも8:2程度の比率でストレートソプラノがマジョリティ(多数派)でしょう。あの、「棒」はどう構えれば良いのでしょう。いちおストラップリングは着いています。ストラップに引っかけて、ほかのサックスと同じように吹こうとしたら、当然真下を向いて吹くことになります。あまり格好良くないですよね。で、前を向けばかなりの重量が右手親指に掛かります。重いです。かなり親指が痛くなります。多くの「棒」ソプラノサックス奏者は、この重量配分の按配を自分で考慮して、上向きになったり下向きになったり、親指を鍛えたりと、日々努力しています。ちなみにヴィンテージの名器、セルマーMark VIのソプラノは非常に軽く作られており、思いの外親指に負担がかかりません。必要が無いので標準ではストラップリングが着いていません。
次のソプラノサックスの特徴は、「音程キープの難しさ」です。正しい表現では、「イントネーション・コントロールの難しさ」ということですが、チューニングをしっかりとした後でも、各音の音程を正しく出すのに高い技術が必要なのです。サックスは管体の穴の間隔を、音の高さの「波長」に一致させて、音の高さをコントロールする楽器です。ソプラノサックスの上のほうのトーンホールは、満員電車のように「穴が混んで近づいて」います。ソプラノサックスの高音域では、半音の違いの波長の差が非常に小さくなります。要は、どんな状態でも簡単に一音くらいはずれてしまうのです。ずれてしまうので直すのは奏者です。また、楽器自身もそこまで正確に作ることが出来ません。ソプラノサックスは本当に、「耳で吹く」サックスなのです。
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