サックスは、比較的音を出し易い管楽器と言われています。つまり音が出せるようになるのが早い、ということですが、それゆえに楽器操作の上達と、音楽表現、つまり演奏の音楽性の進歩が、アンマッチになりがちです。所謂、「棒吹き(抑揚のないストレートだけの音)」で曲を吹いているケースが、最も多い楽器がサックスのような気がします。サックスの「音」を、「音楽の音」にする方法について考えてみましょう。
サックスには多くの演奏テクニックが存在します。標準音域以上の高い音を出す、フラジオレット奏法。音の出だしを滑らかにする、ハーフタンギング。パーカッシブな音を出すための、スラップタンギング。細かいトリルフレーズを生成する、フラッタータンギング。唸るように声を出しながら吹き、声とサックス音を混ぜた音を出す、ロック系のサックスで良く使われる、グロウル奏法。顎の動きや、息のコントロールで音の揺れを作り、音に表情をつけるビブラート奏法。息を吐きながら「吸う」という無限呼吸で、超ロングフレーズを連続させる、循環呼吸奏法、等々。沢山の大技・小技を、サックス奏者の皆さんは練習している事でしょう。もちろんこれらの「技」は、サックスの音に抑揚を付け加え、音楽の表現力を高めるための重要な技術です。しかし「音」が「音楽」に姿を変えるには、これらの表現のような大袈裟な「演出」の前に、ささやかで、人間臭い、「表情」が最低限必須なのではないかと思います。ドラマや映画で俳優が演じている、「演技」をやろうとする前に、自分が日頃生活で見せている、何気ない表情をサックスで表現することが、「音を音楽に変える」基本だと思います。表情を持った「音」が「音楽」になり、それに大技の演出が加わることで「パフォーマンス」になります。「音楽をする」、ということは、そんなに難しいことではないはずです。
奏者がサックスを通して、聴いて欲しい「歌」を歌いあげることが音楽でしょう。そこの原点は、人間とサックスの「繋がり」にあります。サックスで長い音を吹こうとすると、音程が定まりません。どうしてもピッチ(正しくはイントネーション)が上ずったり、下がったりしてしまいます。音量もそうです。完璧に均一な音量は、そう続けられません。音の後半は、息が切れて小さな音になってしまいます。こういうことが、「人間らしい」ことであり、このようなピッチと音量で、意図的に音に表情を付けることが、人間臭い音楽の原点です。歌手の歌でも、楽器の演奏でも、素晴らしい音楽にじっくり耳を傾けてみてください、美しいトーン、ピッチコントロール、そして音量の操作を基本として、自分の音楽を表現し、歌い上げています。譜面を優先とする楽器奏者が見逃しがちなのが、この「歌う」ということです。自分の作りたい音楽を、しっかりと頭の中に作り、まずはピッチと音量での音楽表現を模索してみてください。きっとあなたの前の聴衆は、その音を音楽と認めて耳を傾けてくれると思います。
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