管体全体に、美しく輝くスワロフスキー・クリスタルがぎっしりと散りばめられた、豪華絢爛なアルトサックスをご存じでしょうか。ポーランドの管楽器専門店Slavik Musicが手がけるブランド、「DRACO」が発表した、豪華絢爛なアルトサックス「DRACO Crystal Sax」です。このドラコ・クリスタルを深掘りし、サックスの装飾の最前線に迫ってみましょう。
ネック、2番管、U字管、そしてベルにまで、すべての管体の表面が、オーストリアのスワロフスキー社 が製造する本物のスワロフスキー・クリスタルで覆いつくされ、キー、カップ、シャフト、サムレスト&サムフックには銀メッキが施されており、指貝は天然の真珠貝を使う、というなんとも想像を絶する豪華さのアルトサックスが、ポーランドの管楽器ブランド、「DORACO(ドラコ)」が発売している、ドラコ・クリスタル・サックスです。付属の真っ白なレザー製パックケースには、フルート収納サイズのポケットや、譜面用の大型サイドバッグも着いています。販売元のSLAVIK MUSICは、主にサックスを中心とした、管楽器に関するあらゆるものを専門に扱うユニークな店舗で、ポーランド国内で最大級のサックスやその他の管楽器、アクセサリーの品揃えを誇っています。見た目のきらびやかさに反し、ドラコ・クリスタルのサウンドは、芯の太いまろやかな、温かみを持った音質です。管体表面のクリスタルが、不必要な倍音を抑制している感じでしょうか。同社サイトでの価格は4,130.43ドル、そんなに高価な部類のサックスではないようです。
サックス等の管楽器、いや楽器全体は、音楽を演奏する「道具」であると同時に、工芸品としての側面を持っています。管楽器の表面の彫刻や、ギターのボディの縁取りであるバインディング、指板のポジションマークのインレイ等、サウンドよりも美しさに主に貢献している部分が、楽器には多く見られます。人間の感性に訴えかける「音楽」を生み出すための道具である楽器には、相応の優雅さや美しさが求められ、音楽の感動要素の一部分にもなるということでしょう。それゆえに、今も昔も楽器には「美しさ」が求められているわけです。
サックスの装飾手法は、その誕生以来多くの工夫が採用されています。サックス装飾の原点とも言える彫刻は、メーカーやモデル、時代等で数々の名作が生まれています。セルマーマークVIの花のつぼみ模様、ヴィンテージ・コーンのネイキッド・レディ、近年の復刻モデルや高級モデルのアールデコ調デザインも秀逸です。サックスの彫刻は通常はベル(朝顔)の周りのみですが、俗に「バリ刻」と呼ばれる、ベルの内側外周、キーカップ、2番管、U字管、ネックなどにも彫刻を施したモデルもあります。指貝の色や種類も装飾です。通常はアワビ系の貝殻素材ですが、キャノンボール・ストーンシリーズでは、色や模様の美しい準宝石(セミ・プレシャス・ストーン)を指貝、ネック前部、キーガード等に使用しています。同社いわく、この素材は音響的効果も考えられているそうです。かなり前ですが、若い女性サックス奏者の間で、キーガードの調整ネジの部分に、きらきら光る小さなラインストーンを貼るのが流行ったことがあります。そういえば、いまやストラップの色や柄は、サックス奏者の「おしゃれアイテム」のひとつですね。美しい音楽は、美しい楽器から、でしょうか。
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