サックス 本体

サックスの迷信

*サックスに限らず、管楽器奏者には多くの都市伝説や迷信とも言うべき「言い伝え」が存在します。それだけサウンド作りが微妙であり、かつ奏者たちの注意、愛情が多く注がれている事の結果だと思います。それらのいくつかの迷信を考えてみましょう。
 最近よく耳にするサックスの表面処理についての解説で、「ノーラッカーのサックスは渋い音がする」という意見があります。本当でしょうか?渋い音ってなんでしょう?サックスの場合、スモーキーで枯れた音というのが、ヴィンテージサックスの音に似ているとして高い評価を得る場合があります。音質を倍音成分について考えると、枯れた音は広範囲に倍音成分が分布しているもので、倍音が少なく、楽器のセンタートーンに音の成分が集中しているのが、いわゆる「ストレートな音」です。ノーラッカーのサックスの場合、ラッカーによる表面塗装によって失われる振動成分が生きている、つまり倍音成分がラッカー塗装の場合に比べて多い、そしてそれが広く分布していると言って良いでしょう。ですので、多くの意見で、「ノーラッカーは良く鳴る、渋い音がする」と言われるのだと思います。ただし、「渋い」に関しては、ノーラッカー故の表面の腐食系変化が視覚的に影響していると思います。そしてサックスの表面のラッカーは決して倍音を殺す悪役ではなく、サックス表面を腐食変化から守る、という役割もありますので、ノーラッカーのサックスは、「どうサウンドが育つか分からない」という部分もあります。
 リードは硬いほうが良い、というサックス奏者少なからずいます。リードは「Hardを使ってます」、「4番です」なんてサックス奏者を、「凄いなあ!」なんて感心する風潮もあります。これ、完全に無意味です。リードの一枚一枚の振動性能(鳴り)とマウスピースとの相性、そして奏者の吹き方でサックスのサウンドが決まります。固いリードが柔らかいリードより良い音が出るという根拠はありません。ただし柔らかいリードより硬いリードの方が鳴らせ難いという傾向はあながち間違いではありません。そして奏法として、柔らかいリードの「暴れる振動を抑え込んで吹く」のと、硬いリードの「振動し難いものを息でどう振動させるか」という相異する奏法のどちらが効果的でやり易いかは奏者によって異なるようです。
 ストラップによってサックスの音色が変わる、というのはサックス奏者の知識として常識になりつつあります。本当でしょうか?ストラップ側のフックとサックス側のストラップリングとの接点はせいぜい2、3平方mmです。プラ製フックは弾力が有るので接触面積が大きいです。金属製フックは硬いので、ストラップリングとの接触面積は少なくなります。この面積でサックスの響きにどれだけの影響が出せるのでしょうか。ストラップがサックスのサウンドに影響が無いとは言いませんが、フックやスリングの材質をあれこれ考えるより、楽な演奏姿勢を考えたほうが、効果的に良い音が出せるのではないかと考えるのは、私だけでしょうか?
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