サックス 演奏

サックス偉人伝:レスター・ヤング

*ジャズの歴史の中で、「スイングジャズの異端児」そして「モダンジャズの開祖」と称されるジャズテナーの巨人、レスター・「プレス」・ヤングは1909年、ミシシッピ州ウッドヴィルという町で生まれました。ファミリーバンドでの演奏から始まり、24歳の頃にはプロのジャズプレーヤーとなり、27歳で名門カウントベイシー楽団に加入しました。そこで一躍国民的人気のジャズテナーマンとして認められます。数々の名演奏を残し、彼の作り出したスタイルはモダンジャズの原型として、多くのミュージシャン達に受け継がれましたが、第二次世界大戦が始まり、35歳で入隊、軍隊で経験した暴力行為から麻薬に手を出し、軍法会議で投獄されました。1年で除隊しますが、酒と薬物により肉体と精神は蝕まれ、廃人のような生活を続けるようになりました。49歳のときにパリのコンサートに招聴されるというビッグチャンスを掴みましたが、パリに向かったレスターは既に演奏できる状況になく、契約は破棄。失意の中で帰国する飛行機の機内で病状が悪化し、そのまま帰らぬひととなりました。

 レスター・ヤングの活躍は、絶頂期として10年に満たないい一瞬の輝きでしたが、後世に多くの影響を残しました。当時人気絶頂のジャズテナー、コールマン・ホーキンスのブリブリと吹きまくるホンカーテナーに対し、繊細で美しいメロディラインを即興で作り出すレスターのアドリブは、まさにジャズの新時代でした。少年時代のチャーリー・パーカーはレスターの演奏に魅入られ、後にバップ時代の基礎を築きました。レスターは当時主流だった 4小節や8小節単位の型にはまったフレーズ造りを嫌い、まさに奔放にアイデアを駆使してアドリブソロを紡ぎました。モダンジャズのアドリブソロの可能性は、レスター・ヤングが生み出したと言っても過言ではないでしょう。事実、彼の残した録音は音質こそ「当時の録音」ですが、フレーズの展開や個性の表現は、現代にも通じる「新しい」ものになっています。
 レスター・ヤングはテナーサックスを斜めに、また興が乗れば横水平にまでして吹きまくる、という奇異な演奏スタイルに注目されがちですが、ソロの組み立て方やサウンド、メロディに対するアドリブの考え方などに、当時の先進性が溢れています。そのルーツには彼がキャリアの形成期にあこがれていた、シカゴスタイルのデキシーランドジャズ奏者、フランキー・トラムバウアーがいます。フランキーはCメロサックスを吹いており、アルトとテナ ーの中間のようなソフトなCメロの彼のサウンドがレスターの心を掴み、彼の特徴あるサウンドを作り出したのではと言われています。またリズム面ではカウントベイシー楽団の秘密兵器、「オール・アメリカン・リズム・セクション」と呼ばれた、強力なリズム隊に鍛えられました。リズムギターの名手、フレディ・グリーン率いる、強烈にスイングし、かつ安定したリズムセクションは、レスター・ヤングのフレーズに大きな自由度を与えてくれました。 戦争さえ無ければ、レスター・ヤングはもっとたくさんの音楽の宝物を遺してくれたはずです。

——————————————————————————————–

『イー楽器のお得情報』

返品保証30日+豪華3大特典付き
⇒『AIZENより 音楽の秋キャンペーン 返品保証30日+豪華3大特典付き』

レビューを書いてAIZENゲットのチャンス!
⇒『AIZENお客様の声キャンペーン!』

関連記事

  1. サックス アクセサリ

    サックス宴会芸

    サックスに限らず、楽器奏者の最終目的は、立派なステージで大勢の観衆…

  2. サックス 演奏

    サックス偉人伝:ソニー・スティット

    鬼才チャーリー・パーカーの陰で、どうにも割の合わない評価が付きまとっ…

  3. サックス 本体

    サックス入門定番ストーリー

    サックスは、「音楽を始める」のに非常に人気のある楽器ですが、最近は4…

  4. サックス 演奏

    ステージ上に持っていくもの

    サックス演奏の上級者にしろ初心者にしろ、サックスを人前で演奏するのが…

  5. サックス 演奏

    基準音のはなし

    皆さんはチューニングのピッチは何ヘルツに合わせていますか?「え、どう…

  6. サックス 演奏

    ビッグバンドのとほほな持ち替え

    ビッグバンドのサックス奏者には、「持ち替え」という宿命が課せられて…

previous arrow
next arrow
Slider

最近の記事

アーカイブ

2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
PAGE TOP