最近のサックスケースの進化には目を見張るものがあります。丈夫で軽くて機能的で、昔の「管楽器と言えば木箱ケース」の時代とは隔世の感があります。そして最近のサックスケースの多くが備えている機能が、「バックパック型に背負える」ということです。ケースの裏に下駄の鼻緒のようにベルトが付いており、リュックサックのように背中に背負えるサックスケースです。楽器を持っての移動時でも、両手が開いているのでとても便利、かつ安全です。今日はサックス奏者のケースおよび荷物の持ち方について考えてみましょう。
背負えるサックスケースを使って楽器を運ぶ時、注意すべきなのが「重心」です。軽いサックスならさほど問題にはなりませんが、テナーやバリトンサックスを背中に背負って移動するときは、ケース全体の重心があまり上に来ないように注意してください。何故ならば、「転び易くなる」からです。テナーサックスやバリトンサックスがケースに入っていれば、それ全体はかなりの重量の「荷物」です。重心が高くなれば、少しの弾みでバランスを崩し、悪くすれば転倒することになります。楽器を背負って前に倒れれば、あなたは楽器と道の間に挟まれて、楽器の重量ごと床に叩きつけられます。楽器を後ろに倒れれば、楽器はその重量プラスあなたの体に押しつぶされます。どちらにしろ、あなた自身にも楽器にも相当なダメージは避けられないでしょう。重心さえ低く保っておけば、「バタン」が「コテン」くらいに回避できるかもしれません。また、背中のケースの重心が低いほうが、歩くときに余計な力を入れないで済みます。ただし肩紐を延ばし過ぎてケースを下にし過ぎると、足に当たり、かえって歩き難い場合もあります。
サックスにはダブルケースやトリプルケース等、複数の楽器をひとつのケースで収納できるものもあります。また、周辺小物の収容能力が高く、スタンドや譜面台、相当量の譜面等、かなりの荷物をひとパックに出来るものが少なくありません。しかしひとつの荷物にしても、その荷物の総量が軽くなる訳ではありません。ひとによっては「分散派」として、「背中や両手に荷物を分けたほうが軽く感じるし、移動がし易い!」、という方もいます。とはいえ、両手がふさがっているのは、かなり危ない感じはします。
そういえば、楽器を手に持った状態で万が一転ぶようなことがあったら、まず楽器を手放して、両手で身を守る動作をするよう日頃から意識するのが良いと思います。なにか楽器に愛情が無い、楽器が壊れそう、と思うかもしれませんが、冷静に状況を考えると、転びそうなときに楽器を手放したほうが、結果的に楽器や自分の体へのダメージが少ないはずです。 「結果、転ばなかった。」ならハッピーエンドですが、「楽器を守って頭から転んだ!」となることは、決して少ない確率ではありません。
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