サックス お手入れ

奏者がサックスを破壊する?

*管楽器の中でも、サックスという楽器は壊れ易い部類に入ると思います。機構が単純な(とはいえ精密ですが…)トロンボーンやトランペットなどの金管楽器に比べ、メカニズムが多い分、故障の原因がたくさん存在します。そんな楽器を扱わねばならない不運な(?)サックス奏者ですが、サックスの故障の中には、原因が不可避な外的要因だけともいえない故障があることを知っておく必要があります。特に演奏姿勢が原因のサックスの故障は、サックス奏者として頭に入れておくべきでしょう。さて、どんな演奏姿勢がサックスの故障を生むのでしょうか。
 奏者が原因となるサックスの故障の代表は、「ネックの変形」です。特にテナーサックスの場合、そのネックの長さと太さゆえに、ネックは非常に曲がり易くなっています。奏者が演奏中に楽器を揺らしているだけで、マウスピースの口にあたっている部分が支点となり、テコの原理でサックスの重量が、ネックに対して上下方向に加わります。ある程度の回数、このような力がネックに加われば、ネックはわずかでも変形してしまいます。ネックの変形はネックの角度を変え、音程や音質に大きな変化を与えます。修理も難しく、サックスの機能に対する影響も意外と大きく、かなり怖い故障です。ネックに力が加わらなくても、サックスの「揺らし」は別のトラブルをも発生させます。サックスを体の側面で構え、かつ上下に揺らすと、サックスの左側が擦れ、やがてはメッキや塗装のハガレとなってしまいます。ま、音にはそんなに影響はありませんが、見た目にはうれしくないですよね。

 演奏姿勢による故障のもうひとつの「大物」はパッドカップの変形です。パッドカップとはトーンホール(音孔)を塞ぐパッドが入っているお皿状のカップで、サックスのほとんどの「キー」はこのカップの円周側に着いています。パッドの密閉性を最適にするには、カップの中心を指で押さえるのが最善ですが、サックスのトーンホールはとても大きいので、端にキーを置かねば指が届きません。押さえる指に強くもなく、弱くもなく、ほど良い力でキー操作をすれば問題はありませんが、強すぎる指の力は問題を起こします。パッドカップの縁に大きな力が加われば、片側がヒンジで押さえられているカップは微妙に変形します。変形してカップが歪めば、パッドのトーンホールへの接触も均一でなくなります。それによって最終的には、トーンホールからの息漏れやピッチの狂いが生じます。
 奏者自身がサックスを故障させてしまうのは、この様な「無理な力」をかけた場合が多いといえます。シャフトも上から押さえつければ曲がってしまいます。ねじ類も締めすぎると折れてしまいます。サックスは適度な力で、優しく扱ってあげてください。
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