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7月 2018

Written By: sax on 7月 25, 2018 No Comment

先日は、「新品のサックスは美しい」というところから、サックスのビジュアルの経年変化についてお話ししましたが、今回は同じ経年変化でも、「成長」や「熟成」等のポジティブな面について考えてみたいと思います。
 ピッカピカの新品のサックス。見た目の美しさも素晴らしいですが、楽器としても、工業製品としても、生まれたての赤ちゃんに他なりません。新品のサックスを購入したあなたは、この子の将来を見据え、適切に育て、長い年月を付き合っていかねばなりません。楽器屋さんから新品のサックスを自宅に持ち帰ったとき、一番に気を付けてあげたいのが環境の変化です。そのサックスが製造された工場とあなたの自宅、また練習するスタジオでは、湿度や空気の環境条件がまるで違います。金属製品を扱う工場では、適温、適湿、清浄な空気で金属材料の劣化を防いでいます。それに比べ、日本の住環境は、過剰な湿度、局所的な高温、排気ガスの混じった空気など、赤ちゃんサックスには大変過酷な環境です。未来永劫とは言いません、せめて「楽器の慣らし期間」の数か月の間だけでも、高温や湿気を避け、排気ガスや硫黄系のガスが空気に混じっていそうな場所に、楽器を長時間さらさないようにしてください。この気遣いによって、サックスの金属表面に正しい「酸化被膜」が形成され、その後の腐食への耐性が作られます。具体的な方策としては、雨の日はなるべく持ち歩かない、とか、高温になる車のトランク内に長時間放置しない、とか、練習の後の水分は管体内部もパッド面もしっかり拭き取る、等々です。

 新品サックスには「慣らし」が必要です。メカニズムの稼働部品の動きをスムースに馴染ませるため、最低音から最高音までの半音階をゆっくりと、力を入れずに繰り返しましょう。音の大きさはメゾフォルテです。管体全体が響くような、艶のある音が出るように吹くのが良いでしょう。新品の楽器は「動く事」、「音が出る事」に慣れていませんので、ゆっくりとこれらを覚え込ませる感覚です。同時にあなたもその楽器の癖や、苦手部分、良い部分などの「楽器の個性」を理解していきましょう。長い付き合いを維持するには、このスタートの時期は大切だと思います。
 慣らし期間は基礎練習だけ、という訳ではありません。楽器が良いほうに成長するための練習を積極的に取り入れましょう、という程度です。慣らし期間は3か月から半年程度で充分です。慣らし期間に避けたいことは、「指に必要以上の力を入れてキーを押さえる」、「ネックや管体内部、パッド上の水分を放置する」、「細かいホコリが飛んでいるような、風のある日の野外練習」、「特定の音域だけを大きな音量で繰り返し演奏する」など等です。そして慣らしが終わったと思ったら、一回リペアマンにバランス調整を頼みましょう。これで新品の赤ちゃんサックスは、あなたの相棒としての「少年」程度に成長しています。もちろん、相棒としての「あなた」も成長しているはずです。

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Written By: sax on 7月 18, 2018 No Comment

サックスはとても「見た目」が良い楽器だと思います。サックス吹きが自ら言うのもなんですが、数ある美しい楽器の中でも、断トツに美しいと思います。「メカメカ」しくて、「ピカピカ」してて、眺めてるだけでうっとりしてしまいますよね。そんな「美しい」サックスだからこそ、容姿の劣化はとても心が痛みます。 しかし金属加工+表面処理の工業製品ですので、経年劣化は必ず現れます。
 一番早くに現れる容姿の劣化は、「光沢面のクモリ」でしょうか。買ったばかりの頃は鏡のように周りを映し込むほどピカピカだったのに、しばらくして気が付くと映り込みが、もやもやと曇っています。これはほとんどの場合、磨き過ぎが原因です。大事にするがあまり、必要以上に表面をクロスやガーゼで擦り過ぎると、表面が早く「曇り」ます。「磨く」は「擦る」と同じです。知らず知らずのうちにサックスの表面を擦ってしまっていませんか?また表面のラッカー自身も徐々に劣化します。傷がラッカーを剥がして、内部の金属を空気に触れさせたり、ラッカー塗布前に洗浄しきれなかった汚れ等から、内部の金属が酸化します。酸化は錆となり、周りに広がっていきます。ラッカーの下の錆は、ラッカーを浮かしたり、変色させ、黒ずんだシミとなります。ラッカーの塗布が均一でない場合も、このようなシミを発生させます。ラッカーは外側からの紫外線や、空気中の硫黄成分や水分などにさらされることでも劣化が進みます。外からの刺激の場合は、比較的広い範囲でのシミになるようです。ラッカー関連の劣化を防ぐには、金メッキや銀メッキの「プレート仕上げ」のサックスを買うしかありません。ゴールドプレートの楽器の表面は、何もしなくてもほとんど劣化しません。

 長い期間使用しているラッカー塗装のサックスは、「焼け」というものが避けられません。局所的なシミではなく、ラッカーそのものの経年変化で色や光沢が変化して来ます。この「ラッカー焼け」は広い範囲で起こるので、「容姿の劣化」とは見なさず、「味が出てきた」と肯定的にとらえるサックス奏者も多いようです。しかしこれはあくまでもジャズ・ポップス系のサック奏者の意見であり、クラシック系のサックス奏者は、「ラッカーの変質でサウンドが変わる」と言って、サックスを買い替えることも多いようです。確かにクラッシックのサックスアンサンブルで、サビだらけの焼けたサックスを吹いている奏者はあまり見ない気がします。ハードラバー(エボナイト)製のマウスピースも、経年変化で白濁するものがあります。このような経年変化もどうしようもないようです。
 サックスは演奏の為にべたべた触りまくりますので、管体表面への手脂の付着はしようがありません。演奏が終わったら、なるべく擦り過ぎず、油分だけを優しく拭き取り、擦らず、ぶっけず、ケースに仕舞いましょう。なんて、私はあまり気にしていません。成るがままにするのも愛ではないだろうか、と言い訳してます。(汗

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Written By: sax on 7月 11, 2018 No Comment

知ってる人は知っている。サックスのパッドにくっ付いているレゾネーター。トーンホールを塞ぐカップを覗くと、革製のパッドの真ん中に「どん」と鎮座している円盤。それがレゾネーターです。先祖楽器のクラリネットのパッドにはレゾネーターは有りませんので、「パッドの革をケチるためかい!」と突っ込まれそうですが、レゾネーターはサックスにとって重要な機能を持った部品です。
 レゾネーター(Resonator)を訳すと「共振器」となります。しかし多くの資料では、このレゾネーターを「反射板」と記しています。実はこれには深い訳があります。かつてのヴィンテージサックスの時代、パッドとカップの間の接着剤、シェラックの量は最小限にし、「カップとパッドの間に隙間を作ること」が常識でした。その構造によって、レゾネーターを含むパッド全体がカップから浮いた状態になり、サックスの音(管体内の空気の振動)に共振・共鳴することができました。そしてそれが、サックスの音に厚みや深みといった様々な色彩を付加していました。しかしこの調整は非常に難しく、「パッドでトーンホールを塞ぐ」というパッドの第一の目的を主体に考えれば、パッドとトーンホールの水平度をぴったりと合わせ易く、それが狂い難い、「パッドの裏の接着剤を増やしてべったり固める」、という調整法が主流になって来ました。本来、レゾネーターは「振動の共振」と「音の反射」の二つの機能を持っていたのですが、トーンホールから出る音のエネルギーを反射することで、サックス全体の音色と音量を整える、「音の反射」の機能のほうがサウンドへの貢献度が優先されたようです。それ故に、近代の一般的なパッドの固定法では、レゾネーターは「音の反射」の役割しか担っていないので、「反射板」と呼ばれるのです。

 このレゾネーターの「音の反射」の機能を突き詰めるため、最近のレゾネーターには多くの工夫がなされています。基本的なところでは、プラスチックレゾネーターとメタルレゾネーターの使い分けです。プラスチックは柔らかい音、メタルはシャープな音の輪郭を生み出す、等々と言われる2種の材質違いのレゾネーターを使い分けるということです。上位機種のモデルのサックスでは、一本のサックスにメタルとプラスチックの2種のレゾネーターを、場所によって使い分けている機種もあります。メタルレゾネーターは、今では失われた「共振機能」が再現するとも言われており、硬い金属の材質がパッド全体の共振に貢献するようです。近年のレゾネーターは形状も多様です。かつては平坦な円盤状のみがレゾネーターの形状でしたが、中心に向かって膨らんだドーム状、議員バッジのような菊花模様を波型に刻印したもの、銅製、アルミ製、光沢ステンレス製と、多種多様です。少数のサックスプレーヤーのようですが、いわゆる「レソネーターレス」、レゾネーターを外したサウンドを好むプレーヤーもいるようです。

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Written By: sax on 7月 4, 2018 No Comment

ご承知のように、サックスという楽器は、他の管楽器に比べて歴史の浅い楽器です。発明されてから、まだ約170年。600年以上の歴史を持つと言われるトロンボーン等の金管楽器に比べたら、まだひよっこの若造です。しかし、若いが故の利点もあります。新しい工夫がふんだんに次々と取り入れられ、まだまだ「進化中」の楽器がサックスでしょう。サックスの進化を助けている、新しい科学のディープな部分を見てみましょう。
 最近注目されている技術のひとつが、「マウスピースの振動をネックにダイレクトに伝える」技術です。マウスピースとサックスネックの間にはネックコルクが介在し、マウスピースからの振動を吸収してしまっています。この「吸収された振動」をしっかりとサックスの本体側に渡してあげれば、サックスの鳴りが大きく向上する、という理屈です。ネックとマウスピースの間に金属の部品を渡し、ゴムでそれを固定することで、演奏中のマウスピースの振動を、サックス本体側に効率良く伝える、という管楽器用のアクセサリーがあります。このアクセサリーはサックスだけでなく、トランペット等の金管楽器やフルートのヘッドとジョイントの間にも使えるそうです。望むサウンドに合わせて、色々な金属素材が選べるようになっています。マウスピースに取り付けられたリガチャーから針金が伸び、その針金がサックスのネックに「触れる」という製品もあります。同じメーカーの製品で、リガチャーから幅の狭い金属バネが伸びており、それがネックにピッタリと接触する、というリガチャーもあります。「ネックコルクで失った振動を生かす!」とは、新しいサックスの科学ですね。

 友人のミュージシャンがある実験をしました。ライブハウスのステージに立ち、スニーカー、革靴等、底の硬さの違う靴を数種類履き替えながら演奏し、それらのサックスのサウンドを客席から聴き比べるという実験です。結果は、「明らかに分かるほどの違いが出る」ということです。サウンドの良し悪しは聞き手の好みが決める物なので、硬い底と柔らかい底のどちらが良いとは言えませんが、そのうち「サックス演奏用シューズ」が発売されるかもしれません。
 サックスストラップの「科学」も多数あるようです。フックは金属、スリングは紐、というのを「信仰」しているサックス奏者は少なくありません。「ストラップがサックスの振動を吸収するのを防ぐ」、というのが理由とのことです。実際に、ストラップのフックがプラフックの場合と金属フックの場合とで、サックスの音が違ってくるような気もしますが、サックスには奏者の手も触れていますし、右足の腿も触れています。ストラップの素材の影響度は如何ほどのものなのかは疑問です。

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