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12月 2016

Written By: sax on 12月 27, 2016 No Comment

こういうブログを書いていると、多くのサックス奏者の方々からいろいろな質問をいただきます。それらのなかには、非常に答え難い質問も少なくありません。しかもそれは定型化しています。ある意味、「サックスに関する答え難い質問あるある!」です。
 「XX社のテナーを吹いています。このサックスと相性の良いマウスピースを教えてください」。回答に困る質問のナンバーワンです。「相性」は非常に曖昧な言葉です。この質問で言っている「相性」が、吹き易さなのか、コントロールのし易さなのか、はたまた、質問者が求めているサウンドを生み出すための相性なのかが分かりません。この質問の意図が伝わる言葉に直して、「XX社のテナーを吹き始めた初心者です。付属のマウスピースにRICOの2番のリードで練習していますが、細い音しか出せません。マウスピースを替えたいと思いますが、どんな候補かあるでしょう。」、ならなんとか答えられます。もしくは、「XX社のテナー、モデル999を吹いています。付属のマウスピースのサウンドが、私のやりたいジャズの音に遠い気がしています。このサックスに合う、ジャズらしい音が出せるマウスピースを教えてください。」、などという、現状と目的、どういう風に答えて欲しいかがある程度はっきりしていれば、答えに窮することもありません。いずれにしろ、この手の質問に対して「正解」はあり得ませんので、具体的に質問していただければ、自分の経験からくるアドバイスを、より適切に返せると思います。

 「ロングトーンが長く続きません。正しい腹式呼吸の方法を教えてください」。練習方法に関する質問も、答え難い場合が少なくおりません。100人のうち100人に適合する「完全に正解な奏法」はそんなに多くはありません。人間と楽器の関係ですから、状況や奏者の個性、楽器の性能に応じて奏法や練習法はそれぞれ微調整が必要です。勘違いのアドバイスをして、その奏者が体を壊してしまう場合も考えられます。「ロングトーンが続きません。ロングトーン練習時の適切な音量と音域を教えてください。」や、「ロングトーンが続きません。先輩は同じ音で同じ音量で、私の3倍の時間を延ばせます。チェックすべきポイントを教えてください。」、「ロングトーンが続きません。何故こんな練習が必要かも分かりません。ロングトーンは何故必要なのですか?」、のような質問なら答えようがありそうです。
 決して、「こんな質問は嫌だ!」、なんて話をしているわけではありません。サックスや楽器、奏法に関するアドバイスを的確に受けるためには、質問する側もちょっと考えて、質問の内容を分析したうえで質問すれば、すぐに自分の役に立つ、より適切な回答を得られ易い、ということを覚えておいていただきたいと思います。このブログヘの質問だけでなく、友人や先輩、指導の先生への質問も、「自分なりに分析して」投げかければ、最高のアドバイスをゲットする確率も上がると思います。
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Written By: sax on 12月 20, 2016 No Comment

サックスの消耗品といえばリードですね。サックス奏者は一生のうち、かなりの金額をリードの購入に費やします。そして第二の消耗品といえば「パッド」です。多分単価はリードよりも高価です。管体の下半分のパッドはそんなに頻繁に交換の必要ありませんが、管体上半分の、ネックに近い部分ほどパッドの痛みは激しくなります。「濡れる」、「乾く」が繰り返されることで、パッドの弾力性が失われ、徐々に硬くなっていき、最後には卜-ンホールヘの密着度が損なわれ、エアー漏れを起こすようになります。一番上の3、4個のパッドは、出来れば1年に一回は交換が必要でしょう。サックスを酷使するプロの奏者であれば、もっと高い頻度でパッド交換します。今回は、パッド周りのこだわりメンテナンス。上手くパッドと付き合うヒントを二・三、お話しします。

 パッドの延命に高い効果があるのは、演奏中、練習中ともに、こまめにパッドの水分を拭き取ることです。吸水ペーパーを常にスタンバイしておき、ちょっとの休憩の際に「ソ」より上のパッドの水分を拭き取りましょう。吸水ペーパーをパッドとトーンホールの間に挟んで押さえつけ、「グイッ」と引き抜く方がいらっしゃいますが、この方法はお勧めできません。ペーパーの繊維がトーンホールのエッジに残ってしまいます。トーンホールとパッドの間にペーパーを挿入し、軽くパッドを閉めるだけで十分です。吸水ペーパーの替わりに1ドル札を使うのが、昔から「粋な方法」として伝承されていますが、新品のお札は水分をあまり吸ってくれません。またティッシュでの代用は、水分は吸いますが、繊維が残るので「×」です。
 パッドを長持ちさせ、トーンホールの気密性を維持するための、隠れたポイントがあります。それは卜-ンホールのエッジ内側です。繊維カスが残るので、パッドの水分拭き取り時には要注意とお話ししましたが、このポイントを疎かにすると、かなり怖い結果になります。サックスの掃除で管体内にはスワブを通しますが、スワブは立ち上がったトーンホールの内側は掃除出来ません。しかしここにも水分は着きます。水分にホコリが付着すると汚れが定着します。トーンホールのエッジ内側は、放っておいたホコリが「固着」してしまっているケースが非常に多いのです。いくら吸水ペーパーでパッドの水分を拭き取っても、この汚れに水分が吸収され、パッドを濡らし続けます。またエッジ内側のホコリが積もり積もって、トーンホールとパッドの間に隙間を作ってしまう場合もあります。エッジ内側の掃除は、専用の「モール」で出来ます。針金の周りにブラシが付いたあれです。先端を曲げてトーンホールの内側、エッジ際を優しく擦りましょう。細かい作業が得意な方なら、綿棒の先をタイツと曲げ、エッジの内側を掃除することも出来ると思います。トーンホールのエッジの内側の掃除をお忘れなく。

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Written By: sax on 12月 13, 2016 No Comment

サックスを吹いている方々は、楽器の特性上アンサンブルや合奏で吹き機会が多いと思います。サックスソロのみの演奏の機会も無いわけではありませんが、ピアノやバイオリンのそれに比べて頻度は低いでしょう。今回は、ブラスバンドやビッグバンドの、「合奏」や「アンサンブル」の練習についてお話しさせてください。サックス奏者ばかりでなく、ほかの楽器にも共通する、合奏上達のヒントがあるかもしれません。
 多くのコンサートマスターや指導者が、「リード(マウスピースに着けるリードではありません。一番アルトや一番トランペットのことです。)の音を聞きながら、合わせて吹いてください。」、と言います。各パートのリード(トップ)はそのセクションのサウンドの要ですから、その演奏のニュアンスに合わせるのは、サイドとしての義務ですし、パートの一体感には必須の条件です。ビッグバンドではリードトランペットがそのバンドのグループ感を作り、リードアルトがニュアンスを作ると言われています。周りはそれに着いて行くのが鉄則です。でも、よく考えてください。聞きながら、合わせて吹いて、合いますか?リード奏者の音を聞いた時点でそれは「過去」のものです。それにあわせて吹こうとしても、自分の音は未来の音です。既にもう、「ズレてしまっている」んです。効率的な練習をするバンドでは、まず「リードパートだけで演奏する模範演奏」をバンドメンバー全員に聴かせます。もちろん、ここで二ュアンスの調整をすることもありますが、サイドパートのメンバーは、リードの演奏をしっかりと聴き、記憶し、楽譜にメモします。この時点で頭の中でニュアンスをコピーします。そして合奏です。合奏練習中は、サイドパートはリードとの「ズレの調整」のみに集中します。合理的ですよね。

 ジャズの曲を演奏する場合は、指導者は「溜める」とか「スイングして」とか、「八分音符二つは三連符と解釈して…」とか、揃って意味の分からないことを話します(指導者の方々、すみません)。音のタイミングの細かいニュアンスを決める場合は、もっと具体的な指針で統一すべきです。ジャズの「溜め」とか「スイング感」は曲全体では揺れ動くものです。フレーズ単位、小節単位、一拍単位で全員が納得できる「タイミング」を作ることが重要です。また、その曲のオリジナル演奏にどこまで近づこうとするかも重要なポイントです。コンマス(コンサートマスター)はオリジナルの演奏をバンドメンバーに聴かせ、細かい部分をどう再現するかをしっかりと決めましょう。「家で聞いてきてね!」ではあまり役に立ちません。
 一流のプロのバンドは、「あうんの呼吸」でお互いが分かり合います。アマチュアではそんな芸当は無理です。しっかりと話し合う。そして吹いて確認する。あるべき姿を分かり易く提示する。そんな指導が、良いアンサンブルへの最短の道だと思います。

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Written By: sax on 12月 6, 2016 No Comment

多分、このブログをご覧のサックス奏者のほとんどの方が、「楽器は歌って演奏しなくちゃね。」、と心掛けていると思います。もしくは「歌う」という言葉を使った、類似の演奏の心得を聞いたことがあると思います。それどころか、楽器奏者にとっては、「歌う」という言葉は、ある意味、基本中の基本のキーワードでしょう。でも、「歌う」ってなんじやい?と思ったことはありませんか。「歌う演奏」をもう少し具体的に分析してみましょう。
 「歌って演奏をする」、ということをほとんどのプレーヤーは、「頭の中でそのフレーズを歌いながら演奏する」、と考えていると思います。音楽の先生や指導者の方々もそう教えます。しかしこのフレーズは正解でもあり、間違いでもあります。何故ならば、手段を述べていても、その結果や目的を述べていない言葉だからです。頭の中で歌うことは大事です。何故歌うか。それはその歌に合わせて、そのイメージに合わせて楽器をコントロールし、結果的に楽器から音を出す、ということです。人間にとって心の中で歌う行為は、最高の音楽を作り上げることができるひとつの手段です。それは、自分の声の音域や声量、声質などという、物理的な制約を何ひとつ受けないからです。自分にとって頭の中の歌で音楽を完成させ、その歌に合わせて楽器を操作することが、「楽器を奏でる」という行為です。ですから、その「頭の中の歌」が未完成であれば、演奏も未完成になることも忘れないでください。まず、頭の中の「歌い方」を完成させるのが、あなたのサックスの音を「音楽」にするための必須条件です。

 サックスという楽器を演奏する場合、もう一つの「歌い方」に対する配慮が必要です。いつもお話ししているように、サックスという楽器は、楽器と奏者の体が一緒になって、そのサウンドが作り出されます。サックスは奏者の体と「共鳴」しています。サックスから音が出ているとき、喉と口の中の形、そしてリードの振動エネルギーによってサウンドが作られます。サックスで高い音を出すときには、あなたの喉と口の中は、高い音が出る状態であることが必要です。同じように、低い音をサックスで出すときは、「低い声が出る喉の形」が最適なサックスサウンドを出すための要素です。音質が汚い、音程が悪い、リードミスが多い等のトラブルはほとんどの場合、この「喉の形」が影響しています。もちろん声として音を出す場合と、サックスを吹いて音を出す場合とで、完全に同じ喉の形というわけではありませんので、それなりの「調整」は必要です。また半音や一音程度の音の高さの違いを、喉で調整することは至難の業ですし、その必要性もあまり高くはありません。出したい音の高さをまずマウスピースを唾えずに、「アー」と歌ってみましょう。その状態の喉の形を意識しながらサックスで同じ高さの音を出してみてください。とても吹き易く、気持ちの良い、美しい音が出るはずです。是非お試しを。

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