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5月 2017

Written By: sax on 5月 31, 2017 No Comment

サックス奏者にとって、マウスピースはサウンドの根源となる重要な部品です。サックスを長く吹いていると、自分のサウンドや吹き易さを求めて、いくつものマウスピースをとっかえひっかえ使うのは珍しい事ではありません。マウスピースに「憑りつかれた」マニア達には、マウスピースの種類やその特徴、基本的な理論について、後ずさりするくらい詳しいひとたちが少なくありません。そんなマニアックな知識はともかく、「知っても得はしないが損もしないマウスピースの基礎知識(?)」をお話ししましょう。
 ラバーマウスピースは柔らかい音、メタルは硬い音。マウスピースの特性の常識のようこ言われていますが、実はこれは間違いです。キンキンと尖ったサウンドのラバーマウスピース、ダークでソフトなサウンドのメタルマウスピースも沢山有りますし、むしろ全体的にこちらの傾向のほうが強いと思います。しいて特徴として挙げるなら、ラバーマウスピースはサウンドのエッジがシャープな傾向があり、メタルはその逆、サウンドの輪郭が柔らかいものが多いようです。混同してはいけないのが、サウンドの輪郭と倍音成分です。サウンドの輪郭がソフトでも、高音域の倍音成分が多ければ、いわゆるモダンで鋭いサウンドになり、サウンドの輪郭がシャープでも倍音が平均的に豊かであれば、クラッシック系のサックスのような柔らかく豊かなサウンドになります。
 倍音の成分構成はバッフルの高さでおおよそ決定されます。マウスピースのリードの上にある「天井」がバッフルで、リードに近いものをハイバッフル、遠いものをローバッフルと言います(上下逆のような気がしますね)。マウスピースを輪切りにした断面で息の通り道を考えると、ハイバッフルは、「狭い・空気少ない」、ローバッフルは、「広い・空気沢山」となります。狭いところを通過する空気はスピードが速くなります。逆に太い空気はスピードが遅くなります。その原理でハイバッフルのマウスピースのサウンドは明るくシャープで、少ない息でも十分な音量が出せ、ローバッフルは太くソフトなサウンドで、より多くの息を必要とします。
 もうひとつの見て分かるマウスピースのサウンド傾向は、「皮下脂肪」です。ま、普通に言えば「肉厚」ですが…。細身のマウスピースは高音域が強い明るいサウンド、太めのマウスピースは低音部が豊かな温かいサウンドと、マウスピース全体の太り具合(太さ)もサウンドに関係しますが、加えてマウスピース内部の空洞を包む、「壁の厚さ」も大きくサウンドに影響します。厳密に言うと、肉厚とその材質がマウスピース全体のサウンドの個性を作ります。マウスピースが出す音の振動を封じ込めるような「柔らかく厚い壁」を持つマウスピースは、ダークで抑制のきいたサウンド特性を持ち、指で弾けば「キンキン」響くような、音を外に発散するような「硬く薄く響く壁」のマウスピースは、明るく、大音量のサウンドを放ちます。どうですか?マウスピースを見ただけで、なんとなくサウンドギャラが想像できるようになりました?

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Written By: sax on 5月 24, 2017 No Comment

サックス奏者から受ける相談の中に、「サックスを長時間吹いていると、右手親指が痛くてしようがない」という悩みが少なくありません。サムフックに掛けた右手親指にサックス重量が集中し、親指が悲鳴を上げる、というよくある現象です。この記事をお読みのサックス奏者の皆さんにも、多かれ少なかれ経験があるかもしれません。今日は「親指が痛くならないサックスの構え方」をお話しします。
 身も蓋もない結論から言ってしまいますが、「親指が痛くなるサックスの構え方」は、そもそもその構え方が間違っています。サックスの構え方において一番よくある誤解が、「サムフックはフックなのだから、親指を引っ掛ける場所でしょ?」というものです。サムフックの部分で、親指にサックスを「引っ掛け」たりしたら、そりやあ親指は悲鳴を上げます。ストラップとその重量を分かち合ったとしても、「引っ掛ける」なんて行為は、親指の疲労骨折を起こしかねません。サムフックは何故フックの形をしているか?それは親指を使って前にも、上にも、手前にも動かせるようにするためです。フックになっていないと、前にはサックスを押せますが、上や手前に導くことが出来ません。いや、し難いです。サックスを動かすために、親指でガイドできるようにするのがサムフックの役割で、サックスを親指で支えるためのものではありません。
 サックスの種類によっても、サムフックの効果に違いがあります。ストレートソプラノサックスの場合は、「回転しないように支える」という役割が大きいです。テナーやアルトでは全体の安定のために、サムレストの上に置いた左手親指と一緒に、サックスを支える役割です。しかしアルトサックスでは、「サムフックは不要だね」という奏者も少なくありません。サックスの形状、重さ、大きさ等のバランスから、サムフックが無くても十分演奏姿勢を良好に保てるということです。バリトンサックスに至っては、親指でサックスを支えるというより、右手の残り4本の指の動き全体の「支点」となるためにサムフックを使う感じです。
 サックスの構えの原点を振り返ってみましょう。サックス本体の重量は、ストラップで支えます。ストラップリングに接続したスリングを通して、首や肩でサックス全体の重量を支えます。ストラップリングからブラブラぶら下がっているサックスの姿勢を保つのが、サムレストの上の左手親指と、サムフック上の右手親指です。二つの親指は互いに押し合って、サックスのストラップリングの部分を支点として、サックスをシーソーのように動かします。傾きをうまく調整すれば、簡単にネック部が口元に接近し、無理なくマウスピースを咥えることが出来ます。正しいアンブシヤ(マウスピースの咥え方)が出来、左右の親指には無理な力が掛からず、呼吸も自然におこなえ、すべての指の動きがスムースにいく。それが正しいサックスの構え方です。

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Written By: sax on 5月 17, 2017 No Comment

サックス奏者にとって、リードのコストは頭の痛い出費です。消耗品であるリードは、サックスの音の鳴る原点でもあるため、そう簡単にコストダウンすることは出来ません。じやあ消耗し難いもので、ということで出現した「人工リード」ですが、出始めのころはなんとも言えない品質のものでした。しかし昨今、人工リードの性能の向上は目覚ましいものがあります。吹奏感も音質も、そして耐久性も申し分のないものが、非常にリーズナブルな値段で入手できるようになりました。今日は「人工リード」のお話をば。
 天然の植物、ケーンを乾燥し加工したリードは、自然の物ゆえの寿命があります。リードの振動に必要な硬さと反発力は、使用していくにつれ劣化し、サックスの良好なサウンドを出すための振動が出来なくなります。また、湿度にも敏感で、乾燥保管しておいたリードは、ある程度ウォームアップして、唾液による湿り気を与えないと、本来の振動をする状態に至りません。安くても一枚500円前後のリードの価格も、「リードをなるべく持たせたい!」という気持ちに拍車を掛けます。そんなサックス奏者(リード楽器奏者)の要望に応えて出現したのが人工リードです。合成樹脂で作られた人工リードは、ケーン製のリードをはるかに凌ぐ耐久性・安定性を持ち、湿度に対してのケアの不要な「ウォームアップ要らず」のリードですが、最初のころは、「吹奏感に違和感がある」、「強いブローに反応できない」、また「音のダイナミックス(強弱の表現)が狭い」等の不満も大きく、なかなか一般的になりませんでした。しかし21世紀を迎えて十数年が経った今、人工リードは目覚ましい進化をしています。プラスチック製リードの定番、BARI(バリ)、また人工繊維を利用したFIBRACELL(ファイブラセル)。また新しいところでは、Legere(レジェール)、Hahn(ハーン)、Forestone(フォレストーン)、Bravo(ブラボー)等といったブランドも支持を受けているようです。各種の人工リードはそれぞれの独自の工夫がなされ、良質な天然ケーンに近い性能を再現しています。合成樹脂を使用するだけでなく、各種の「繊維成分との合成」をおこなっているので、近年では「人工リード」に対し、「シンセ・リード(合成リード)」という呼び名のほう市民権を得ているようです。1枚の人工リードはそれなりの価格ですが、長寿命、安定性、当たり外れの無さ、等の高いメリットを考慮すると、天然リードにコスト的に勝ると言えるでしょう。
人工リードは決して永久的に使えるわけではありませんが、天然リードの10倍近くは持つでしょう。また、純粋に工業的に製造されるので、品質のばらつきは皆無です。当たり外れはありません。またマウスピースにセットすれば、即、性能全開で鳴ってくれます。音色や吹奏感の面で天然リードは根強い人気をもっていますが、深く静かに「人工リード派」も増えているようです。あなたも食わず嫌いせずに、試してみたらいかがでしょう。

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Written By: sax on 5月 10, 2017 No Comment

最近の100均は奥が深い。かつては、「これが100円?凄い!」が基本的な100均の感想でしたが、今では、「こんな物まで100均で売ってるの?」、という感想のほうが多い気がします。とにかく100円ショップでの買い物は発見が多くてめちゃ楽しいですよね。そんな100円ショップで、サックス演奏に関わる多くの便利グッズを仕入れてますので、そのいくつかをご紹介します。
 「椅子の靴下」というものを100均で見かけたことはありませんか?椅子の四つの足に履かせるニットや布のカバーで、椅子の足を覆って床に傷がつかないようにするものですが、見た目はまるで赤ちゃん用の小さな靴下みたいなものです。これがマウスピースのケースにドンぴしゃなんです。サイズがテナーやアルトのマウスピースにぴったりで、尚かつクッション性があってマウスピースへのダメージも防げます。必ずしも椅子の靴下にこだわらなくても100均には膨大な種類の小物入れが「生息」していますので、気長に探せばあなたのニーズに合致した「入れ物」が見つかると思います。特にウェットスーツのようなウレタン生地でできた「クッションバッグ」は大きさのバリエーションが豊富なので、メトロノームやチューナー、コンタクトマイク、譜面ライト、ケーブル類等のケースにピッタリなものが探せます。入れる物主体で入れ物を探すのが普通ですが、品目の種類が多い100均では、入れ物を見ながら、「それに入れる物」を考える、というのもお勧めです。「あ、このポーチ。スワブを入れるのにちょうど良いじゃん!」、なんて探し方も良いと思います。
 100均で是非揃えたい(?)のが、「譜面整理系文房具」です。透明のシート状のフォルダで文書をまとめる「クリアファイル」は、譜面の整理にピッタリです。色々な色がありますので、曲のジャンルや使うバンドによって色分けするのも良いでしょう。譜面の入ったクリアファイルを入れるための「書類ケース」も100均で揃えてしまいましょう。A4やB4など、大きさも豊富ですので、中に詰め込む譜面の量によって選びましょう。屋外の演奏で必須な、クリアブックも100均で売っているようです。譜面を入れて、ページを開いて洗濯ばさみで譜面台に留めれば、屋外の多少の風でも譜面が飛ばされることがありません。譜面用には、開いた状態がなるべく平坦になるような綴じ代のブックが良いと思います。100均のクリアブックは総じて収納ページが少ないのが難点ですが、文房具店のクリアブックは軽く千円を超える物ばかりですので、工夫して100均クリアブックが使えるなら、それに越したことは無いでしょう。
 その他にも、シールやゴムバンド、ペン立や名札など、みなさんの楽器ライフに役立ちそうなものが、沢山100均の棚に並んでいます。音楽家の為の道具があるのは、楽器屋さんだけじゃありませんよ。

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Written By: sax on 5月 3, 2017 No Comment

PA(ピーエー)アンプとは、Public Address Amplifier(パブリック・アドレス・アンプリファイアー)のことで、校内、工場内、店舗内、駅構内などで、沢山のひとにアナウンスを伝えたり、BGMを流したりする拡声システムの総称です。音楽関係に限れば、ステージの音をマイクで拾い、会場内の聴衆にバランス良く音を伝えるためのミキサー兼拡声装置です。リハーサルスタジオや音楽練習室には必ずと言って良いほど備えてありますし、ライブ会場などで、「機材はあるけど、ミキサー(音を調整する技術者)はいません。演奏者が操作してね。」という会場もあります。通常は技術者が操作しますので、面倒くさい操作を覚える必要は無いのですが、自分でPAアンプを操作する必要がある場合の、「困らないための超基本PA操作」をお教えしましょう。
 「PA」とざっくり称するものの対象は、マイク、ミキサー(ミキシング・コンソール:マイクからの音量や音質を整える機械)、増幅アンプ(スピーカーを鳴らすための増幅器)、スピーカー、の四種の器材から成り立つシステムです。操作らしい操作が必要なのはミキサーだけですので、今日の話しはほとんどミキサーの基本操作です。他の器材については、全部の機械をオンにしたのに、全く音が出てこない、なんて場合の対応に、音の入口のマイクから、出口のスピーカーまで、線がつながっているかどうかを確認するくらい良いでしょう。ミキサー(技術者ではなく機械です)はほとんどの場合つなげられるマイクの本数分のスライドボリューム(フェーダー)が付いています。フェーダーでは「入力のレベル」を操作します。一番上のポジションでは「マイクから音を沢山もらう」、一番下では「音をもらわない」となります。「GAIN」と書かれたボリュームも重要です。このボリュームはフェーダーで操作する前の入力の信号を、どの程度増幅するかのボリュームです。ミキサーにマイクではなく携帯ミュージックプレーヤーやスマホ等をつなげるときは、この「GAIN」で入力信号の加減をします。やたらノイズが入ってしまう場合は、このGAINを下げていくと止まる場合が多いです。
「PAN」と書かれたツマミは、ステレオスピーカーの左右(R&L)のバランス調整です。真ん中にすれば左右同じ音量、左右に振ると音がそっちに勣きます。 LOW、MID、HIGHのツマミは低音域、中音域、高音域の音成分の調整です。必ずミキサーの右にある赤い(ほとんどの場合)フェーダーは、マスターボリュームとしてスピーカーを鳴らす音量全体をひとまとめにコントロールするものです。
 なんとPAについて知っておくべきことはこの程度で十分です。マイクフェーダーとGAINは入れる量を、マスターボリュームは出す量をコントロールするのだという事を理解しておきましょう。入力機器を接続・脱着するときにはマスターボリュームを絞って、不用意な爆音がスピーカーから出ないようにし、音質がおかしいときはGAINやマイクフェーダーを調整すれば解決できる、と知っておけば十分です。これ以上の操作が必要になっても、この基本さえ押さえておけば、何とかなると思います。

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