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12月 2017

Written By: sax on 12月 13, 2017 No Comment

 「音楽は瞬間の芸術だ!」、とよく言われます。私たちが奏でる音楽は、音になった瞬間から消え失せ、新しい音へ役割を渡していきます。何かあっても常に進み続ける、非情な「時間軸」が音楽の性であり、それ故に失敗が誤魔化せたりします(えへ)。音楽は時間にどの程度縛られているのでしょうか。

 音楽作成ソフトは通常1ms(ミリ秒=1/1000秒)でのタイミングの制御が可能です。音のタイミングや延ばしの長さ、アタックカーブの立ち上がりの勾配等を、この1ミリ秒の精度で指定します。ということは、「人間は音楽の中で1/1000秒を感じることが出来る」ということです。もちろん出音のタイミングが1ミリ秒変わっても、ほとんどの人は差を感じないでしょう。ただこの一桁上、10ミリ秒はほとんどのひとが差を認識します。1/100秒あなたのサックスの音が皆より遅れたら、誰にでも分かる「遅れ」として聞こえます。例えば1分間に120の4分音符が入る(120BPM)アレグロのテンポでは、1拍は0.5秒。そこに入る16分音符の長さは0.125秒です。32分音符なら0.0625秒という「瞬間」です。陸上のトラック競技を見ていれば、この1/10秒がどんなに短い差であるかは感じられますよね。そんな、「シビアなタイミング」のなかで、我々は音楽をしているのです。

 1/100秒のシビアなタイミングを感じることは出来ても、自分で意のままに操作できる事とは違います。我々、楽器奏者の時間のコントロールは基本的に「分数」です。先ほどのアレグロのテンポでは1拍の1/4の16分音符が0.125秒です。「クタクタ、クタクタ」で0.125秒をコントロールしています。ジャズのアップテンポなナンバーだったら200BPMは珍しくありません。そんな曲では0.15秒の8分音符を我々は吹いている訳です。また遅い曲、べったべたのバラードでもタイミングの取り方は同じです。60BPMなら1拍は1秒、8分音符は0.5秒となりますが、この遅い時間世界にも難しさがあるのが音楽の厳しさです。 1/100秒の揺れがあればそれがバレてしまうのですから、スローな曲ほどタイミングがシビアになります。バラードソロを採譜した楽譜には、32分音符やら7連譜などの見たこともない音符表現が出てきます。これはオリジナルのプレーヤーが、「そう吹こうと思って吹いた」のではなく、「プレーヤーのニュアンスを採譜したらそうなった」ということです。その楽譜通りに吹いても、オリジナルの演奏の雰囲気は多分でないでしょう。

 ジャズのフレーズのタイミングには特徴的なお約束があります。スイングです。楽譜に8分音符で、「タ、タ、タ、タ」と書いてあってもそう吹いてはいけません。「たつた、たった」という感じの、「8分音符+8分音符=付点8分音符+16分音符」に近い雰囲気のタイミングで演奏します。しかしこれは「近い」だけであって、そのものではありません。ジャズのスイングのタイミングは多くのプレーヤーが解説していますが、最後は「ジャズらしくスイングしたフレーズ」というあいまいな言葉で終わってしまいます。しかしそこには1/1000秒のコントロールが存在します。微妙なタイミングのスイングも、フレーズごとにぶれてしまえば音楽になりません。いやあ、音楽って難しいですね。

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Written By: sax on 12月 6, 2017 No Comment

楽器を演奏する人間にとって、楽譜は切っても切れない必須の「道具」でしょう。モダンジャズのプレーヤーの中には、「楽譜も読めないし、コードの知識もない!」と言い張って、素晴らしい演奏をしてしまう「希少生物」もたまにいるようですが、やはり凡人プレーヤーには楽譜は重要な相棒です。そんな重要な「楽譜」ですが、その秘めたる能力が意外と見過ごされています。

 楽譜は「良い楽譜」と「悪い楽譜」に分けられると思います(独断です!)。良い楽譜は読み易く、演奏し易く、導く音楽に生き生きとした力を与えます。悪い楽譜は読み難く、楽器の指が動き難く、なんか気持ち悪い楽譜です。細かく指摘しましょう。1小節の中に、「8分音符、4分音符、4分音符、4分音符、8分音符」(略して、8+4+4+4+8と書きましょう)があります。「タタ、ンタ、ンタ、ンタ」というジャズ特有の裏打ちフレーズです。この譜割は、「8+8+8休符+8+8休符+8+8休符+8」と記譜することも出来ます。この記譜のほうが、「表を休んで裏打ちを繰り返す」というフレーズの特徴がより分かり易くなります。そう、「より分かり易い」のです。プレーヤーによって、楽譜の記載への「分かり易さ」は異なります。主にジャズを演奏するか、吹奏楽を演奏するかでも違うでしょう。ビッグバンドかブラスバンドか…。トロンボーン奏者かサックス奏者か…。プレーヤーの演奏する音楽やスタイル、楽器によって慣れ親しんだフレーズも違うのですから、書いてある楽譜の「特徴」や「読み易さ」も異なります。ですから、楽譜は自分で書き換えましょう。手書きでもコンピュータの記譜ソフトでも良いので、自分に合わせて楽譜を書き換えることをお勧めします。手元の楽譜に何の問題もない場合は書き換えの必要はありませんが、少しでも「吹き辛い」と感じたら、楽譜を自分なりに書き直してみてはいかがでしょうか。

 書き直しにはいくつかのコツがあります。付点4分音符と8分音符が並んでいたら、付点4分の領域の余白を、8分音符のそれの3倍取りましょう。1小節の中の音符の場所で、音符の長さやタイミングをイメージできるようにしておくと、とても演奏し易いです。逆に付点4分音符、8分音符、2分音符等の異なる長さの音符のスペースが同じにしてある譜面だったら、読んでいて凄く気持ち悪い楽譜になると思います。B(♯が5個)やD♭(♭が5個)なんて楽譜は、楽譜中の音符に臨時記号として♯や♭を書いてしまうのも良いでしょう。忘れないようにメモする感覚です。ジャズやポップスの楽譜なら、1行は4小節(か、その倍数)で記譜するのが妥当です。コード進行やフレーズの区切りが4小節や8小節になっているので、楽譜を追うのが超楽です。1行に5小節や7小節かおる譜面は、とても読み難いです。

 優れた写譜職人が書いた楽譜はとても読み易く、楽譜から美しい音楽が聞こえてくるような感じすらします。大昔の写譜ペンによる手書きの譜面と違い、現在はほとんどがコンピュータソフトによる楽譜ですが、それでも写譜職人のセンスによって楽譜の良し悪しが存在します。難しい楽譜が配られたら、まず自分で書き直してみませんか。どんなハードな練習よりも、効果的な上達の早道になるかもしれません。

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