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7月 2017

Written By: sax on 7月 26, 2017 No Comment

サックスを演奏する皆さんですので、サックスは「移調楽器」ということはご存じだと思います。バリトンサックス、アルトサックス、ソプラニーノはE♭の楽器で、テナーサックス、ソプラノサックスはB♭です。前者は「ド」を吹くとミ♭の音が鳴り、後者はシ♭の音が出ます。しかしこの「サックス奏者の常識」はあくまで相対音階の話しであり、サックスの「低いほうのド」も「真ん中のド」も「高いド」も、みんな同じ「ド」として考えています。でもこの三つの音の間には「オクターブ」という差があります。今日はちょっと「実音」の話しをしてみましょう。
 いきなり感はありますが、ギターの話しから始めさせてください。ギターは実は移調楽器です。「移高楽器」だという議論もあるのですが、ギター用の譜面で「下第一線(五線譜のすぐ下に追加する線)」の上の音符、ドをギターで弾くと、実はそのオクターブ下に記載すべき音の高さでドが出ています。ややこしい言い方になりますが、ギターはキーがCの移調楽器なのです。移調楽器の逆、実音楽器の代表はピアノです。ピアノで弾いた音が実音です。実音音名はアメリカではC4、C5とかの数字でオクターブの高さを表したりC´、C”などダッシュの数で表したりします。日本式ではハ、ニ、ホ(C、D、E)の文字の上下に点を付けたりします。中学校の音楽の授業で習った記憶がありませんか?各種のサックスでの実音の話をすると、非常にややこしくなるのでここでは止めておきますが、同じ実音Cでも色々な高さがあることを再認識してください。ちなみにアルトサックスで低いソを出すと、テナーサックスの真ん中のドと同じ高さの実音B♭が出ます。
 何故こんなにややこしい実音の話しをするかというと、サックス奏者にはアンサンブルでの演奏において、ハーモニーの意識が不可欠だからです。「ド・ミ・ソ・シ♭」の和音はコード表記でC7です。しかし「ミ・ソ・シ♭・ド」もC7の展開形です。(機能コードの考え方からは別のコード名にもなりますが、ここは無視してください。)そして自分のパートがコードのどこの音を吹いており、実音のどの音を出しているかを意識することが、美しいハーモニーを生み出すためには不可欠なのです。実はここでまた追加のややこしい話が出てきます。平均律と純正律の話しです。平均律はオクターブを機械的に12等分した音階です。ハーモニーとは構成する各音の周波数比が整数比のときに美しく調和のとれた和音となりますが、平均律では各音はちょっとずつそれからずれてしまいます。純正律のドレミミファは、各音の周波数が整数倍になるように分割された音階です。ピアノで出すことは出来ませんが、音程の微調整が可能な管楽器では「まかせとけ!」な訳です。
 終始難解なややこしい話ばかりでしたが、自分が吹いている音の場所と役割を意識すれば、そうでない場合より数段美しいハーモニーが作り出せる、ということが結論です。今日の話しの90パーセントは忘れて結構です。「ちょっとがんばれば、ハーモニーはもっと美しくできる!」ってことだけを覚えておいてください。
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Written By: sax on 7月 19, 2017 No Comment

サックスという楽器も機械の一種です。例えば自動車のタイヤやブレーキパッド、エンジンオイルなどのように、消耗し、交換や手当が必要な部分が沢山あります。それらの消耗部品への注意を怠ると、「演奏中に音が出なくなった」、とか、「音程が修正できないほど狂ってきた」等の予想外のトラブルに通じることがあります。今日はサックスの消耗部品の話しです。
 サックスの一番の消耗部品は「リード」です。こればっかりは避けられない「使用による劣化」です。それにコストも安いものではありません。樹脂リードを使って寿命を延ばすという手もありますが、天然リードの「延命法」はいくつかあります。近代では常識になりつつある、リードの湿度管理もその一つです。保湿機能を持ったリードケースを使ったり、使用したリードをビンの中で水中に沈めて乾かないようにしたり、等の対策でリードの乾燥を防ぐことで寿命は延びるようです。何ら科学的根拠のない医療迷信のような方法ですが、 「渋いお茶にリードを浸しておくと、コシが生き返る!」というひともいます。ま、捨てる前に試すのも一考かと。
 リードに続くサックスの消耗部品となると、皆甲乙付け難い「消耗度」です。まず気になるのはネックコルクでしょうか。使っているうちに硬くなり、また擦り減って、マウスピースとの間で空気が漏れるようになる場合があります。カッチカチのネックコルクのサックスを平気で吹いている方をたまに見かけますが、「なんか硬そう」と感じたら交換しましょう。トーンホールを塞ぐパッド(タンポ)も影響が大きい消耗部品ですね。はっきり言って、そのサックスのオーナーが、「パッドが硬いな」と感じたらほぼ手遅れです。定期的にリペアマンに見てもらい、劣化したパッドを交換するようにしましょう。フェルトも地味ですが重要な消耗部品です。金属部品の間に入って「衝撃を防ぐ」のが主な役割ですが、もうひとつ 「パッドの開き具合を微調整する」という役割もあります。取れてしまったり、潰れてしまったフェルトによって、トーンホールカップの位置に不具合が生じる場合があります。たまに自分の楽器の「フェルト」をじっくり観察してあげましょう。
 多くのサックス奏者が、意外と無頓着なのがサックスの管体表面の消耗です。ソプラノを除くサックスの管体左側は、演奏中に奏者の太ももに擦られるので、塗装やメッキ、また地金も擦れて摩耗します。長きに渡って摩耗しますので、その影響に気が付き難いのですが、表面が変わればサウンドも変わります。クロス等で磨きすぎるのも考え物ですが、全く表面を掃除しないでサビが出るのも良くないかもしれません。またサックス表面のサビを研磨剤で磨く方をたまに見かけますが、研磨剤はお勧めしません。手の油を拭き取る程度で充分です。またサビは金属表面に酸化膜を作るので、それ以上の劣化を防ぐ「防御層」となる場合もあります。管体の大幅なクリーニングは、是非リペアマンに相談してからおこなってください。
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Written By: sax on 7月 12, 2017 No Comment

サックスを演奏される皆さんですので、そのほとんどの方は、ステージ等での人前での演奏を経験していることと思います。「人前での演奏」の一番の難関は、自分の演奏技術でも楽器の良し悪しでも、ましてや自分の音楽性でもありません。最も重要で難しいのが、「緊張しない」ということです。いつもの練習の時のような平常心で居られてこそ、自分の力を最大限に生かした演奏が出来る訳で、緊張で体がこわばっていては、良い演奏が出来る訳がありません。ステージ上でリラックスするにはどうしたら良いのでしょう。
 ストレス管理法を説いた書籍やウェブサイトで必ず解説しているのが、「精神のリラックスと身体のリラックスの相関関係」です。緊張とは筋肉の硬直であり、精神の不安定さでもあります。そしてその両者は互いに影響し合い、フィジカル(身体的)な緊張はメンタル(精神的)な緊張を生み、逆にメンタルな緊張はフィジカルな緊張を誘発します。フィジカルとメンタルの両面から緊張をほぐすのが一番ですが、精神的なアプローチでの緊張緩和は簡単なようで結構難しく、「あがっていない、あがっていない」と心の中で唱えるとか、「手のひらに人と書いてそれを飲み込む」なんていう、伝統的な手法しか思いつきません。また人によっては精神的な緊張をまったく意識しておらず、「俺は心臓に毛が生えてるから」なんて言いながら、身体がガチガチになっていたりするので始末に負えません。ですので、ステージでの「緊張緩和」には、フィジカル(身体的)なアプローチをお勧めします。筋肉をリラックスさせれば、精神も連動してリラックスして来ます。
 サックス演奏時のリラックス方法ですから、まずは指から攻めましょう。とはいえ本当に指から力を抜いてしまったら、サックスの操作が出来ません。柔らかくするポイントと硬くするポイントの区別が重要です。サックスを吹くときの両手は、「卵を包み込むような形」が基本です。指の筋肉を緩める必要はありません。指一本一本は硬くて良く、それがキーを押す力となります。力を抜くのは手のひらです。それによって運指が滑らかになります。ただし手のひらの緊張を緩めるには、肘や肩の筋肉のリラックスも必要です。サックスの運指をスピーディーにこなす為に、どこの関節を一番スムースにすることが必要かを考えて力を配分してください。
 次に大事な筋肉は喉の筋肉です。ここのリラックスは意外に簡単です。何も考えずにステージに上がれば、必ずと言って良いほど喉の周りの筋肉はガチガチです。普段の生活では喉の筋肉など意識しないので、無意識な部分ほど無意識に緊張してしまうのです。「喉を開けよう」と首の周りを意識し、大きな欠伸をすれば、もう喉はリラックス状態です。一曲目の第一音から素晴らしいサウンドが出る事でしょう。「意外と簡単でしょ」、と考えることが一番大切です。リラックス、リラックス!

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Written By: sax on 7月 5, 2017 No Comment

サックスはそのサウンドの作り方がとても微妙な楽器です。言い方を変えれば、それだけサウンドの表情の幅が豊かな楽器とも言えます。張りつめた細い糸のように緊張感を持った繊細な音。森の静寂の中の小鳥の歌のような優しい音。F1カーの咆嘩のような激しい音。みんなみんなサックスで表現することが出来ます。そんなサックスのサウンド作りに関して、近年のサックス指導者の方々の中に、「サックスのサウンド作りは引き算である」、という方々がいます。今日はその辺の中身を覗いてみましょう。
 トランペット等の金管楽器は「リップリード」と言って、奏者の唇が「音の源」です。サックス等のシングルリード楽器は、実際に振動する薄い板が音源となっており、その音源からあらゆる音が生成されます。トランペットは自分の唇で音を生成しますが、サックスは振動するリードを適切に制御して、出したい音を出していくのです。ここが「トランペットのサウンドは足し算、サックスのサウンドは引き算」というところの所以です。マウスピースにリードをセットし、サックスに差し込み、深く軽くマウスピースを唾えて思い切り息を吹き込めば、多くの場合サックスは「ぶぎやあ~!」というような、なんとも言えないとてつもない音が出ます。これがサックスの音の「原資」です。この「ぶぎゃあな音」を唇の締め方や、喉のコントロール、楽器の操作等で美しい音に整えていくのです。音の不要な成分を無くして、必要な要素だけを残していく。これが引き算のサウンドです。
 サウンドの引き算というのは、イメージだけの「表現」ではありません。低い「レ」の運指で、マウスピースを深く唾え、なるべく大きな音で沢山リードが振動するように吹いてみてください。「ぶぎやあ!」な音が出ます。そこから徐々にマウスピースの咥えを浅くしたり、上下の唇の締める力を強めたり弱めたり、息の量を調整したりしてください。このような練習で、「どこをどうすれば、どんな引き算が出来る」、つまり「どこをコントロールすれば、どの不要な音が減らせるか」が分かってきます。とはいえ、積極的に無くしたい音だけが都合良く無くなる訳ではありません。やり方が適切でなければ、無くしたくない倍音や音の太さも失われることもあります。しかし引き算の方法であれば、何故無くしてしまったかが明確に分かります。お手本通りのアンブシャでサックスを吹いて、頼りない細い音から始まったサウンドを、呼吸や唇の締め方、口の中の形、息の方向を変えたりと、「積み重ねの練習」でサウンドを改善しても、何故そこにたどり着いたかが分かり難いのです。積み重ねの練習を決して否定するわけではありませんが、たまに「引き算のやりかた」で自分の技術やサウンドを確認するのは悪いことではないと思います。ただの経験値による余談ですが、「ぶぎゃあ!」の音を出した時、良いサックスは楽器全体が、手が痺れるほどブルブルと共振します。そうでもない楽器はあまり振動しないようです。

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