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8月 2016

Written By: sax on 8月 30, 2016 No Comment


突然ですが、ピアノは調律師によって調整されますよね。調律師はピアノの88鍵(または73鍵)の一つ一つの音を確認しながら、一台のピアノの音を作り上げます。それに比べてサックスの「音作り」は雑です。あなたの吹いているサックの音は毎回同じですか?「同じです」と答えられるサックス奏者はほぼ皆無でしょう。サックスの音は吹き方でも、フレーズでも、また吹く環境によっても変化します。その変化や不安定さを、「サックスは人間らしい楽器だよ!」と肯定的にとらえ、不安定な音をサックスらしいと言う人すら少なくありません。それで良いのでしょうか?少なくとも「嫌な音」はしっかりと避けるべきではないでしょうか?今日はサックスの雑音の話しです。
 サックスという楽器の面倒臭いところのひとつに、「出すべき音色」があいまいで、かつ音色の許容度があまりに広いことがあげられます。例えばクラッシックのサックスアンサンブルのテナーサックスの音と、ばりばりの古典派ジャズテナーのサブトーン。多分多くの人がこの二つの音は違う楽器で出されていると考えるはずです。それだけ両者の音質は違います。この違いに私は異存ありません。だって表現するものが違うのですから。しかし両者のサウンドに対する姿勢の差は注目すべきだと思います。サックスアンサンブルのサックス奏者は、メンバー全員の音色をそろえる為に大変な努力をしています。楽器のメーカーや製造ロットをそろえる、なんてことも当たり前です。比べてジャズサックス奏者は…。ま、かなり大まかです。ジャズの場合、音色イコール個性ですから、「その人の音」であれば良いとされています。これも私は否定しません。ジャズらしいと思います。しかし、「音質に対する大きな許容度」に隠れた、「雑音への対処」を忘れてはいないでしょうか?

 リード上の水分で生じる、「チリチリ」というマウスピース内部の音。雑音です。フラジオ運指で出した高域音に混ざる他の周波数の音。雑音です。低い音でサブトーンを出すと出てくる倍音。雑音です。フレーズに馴染まない籠った「レ」の音質。雑音です。サックスが構造上出してしまう雑音はもっとたくさんあります。あなたのサックスが出した、少しでも不本意な音質は、あなたの演奏にとって雑音です。雑音は工夫や努力によって克服することが出来ます。しかし雑音に気が付かなければ対処も出来ません。ピアノの調律師の様に、真剣に自分の音をひとつひとつ確認することもたまには良いのではないでしょうか?雑音を見付けて駆逐してください。そういうジャズサックス奏者が増えれば、「ジャズサックスの音は汚くて嫌い」なんて言われることも無くなるのではないかと思う次第です。

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Written By: sax on 8月 23, 2016 No Comment


サックスに限らず、音楽の演奏というものは、とにかく絶え間ない練習によって支えられていると思います。どんなに才能のある音楽家でも、技術の練習無くしては表現力の向上や維持は難しいはずです。我々のような「ど・アマチュア」は、もちろん練習有っての音楽です。出来ている事より、出来ていない事の方が多いのですから、練習でその課題を一つ一つ克服しなければなりません。より効率的で、より良いサックスの練習の方法を尋ねられることがあります。その答えになるかどうかはわかりませんが、サックスの教え方、教わり方について考えてみたいと思います。
 職業でサックスを教えているレッスンコーチの先生方に物申すことはありません。「サックスの教え方」を真摯に研究し、生徒の皆さんを正しく導いているはずです。ただ、「ブラスバンドの後輩を指導する先輩部員」や「ブラスバンド経験しかない新入生にアドバイスする、ビッグバンドの上級生」、また、そんな先輩達に指導を乞う方々には、聞いてほしい基本的なアドバイスが有ります。練習の「手段」と「目的」をしっかりと明確にしたうえで、教え、教えられて欲しいのです。これが、「効率の良い練習」の大きなポイントです。

 そもそも、楽器の練習は「良い音楽の演奏」という目的に対しての手段である、「楽器のコントロールの技術」を磨くことです。「腹式呼吸のマスター」は管楽器演奏に必要な、「適切な息の供給方法」という目的のための手段です。スケール練習は拍の中に適切に音を発生させるという目的ためのひとつの手段です。どんな練習や技術にも、その目的が必ずあります。それを考え、意識しながらの練習は、何も考えない場合の数百倍の効果があるはずです。一種類の練習の目的は必ずしも一つではありません。しかし、「今日はこれを目標にこの練習をしよう。」と考えるのが大切です。メトロノームを鳴らしながらスケールの練習をするとき、その練習の目的を決めることが必要です。「音と指の関係を感じる練習」なのか「8分音符の長さをバランス良く拍に埋める練習」なのか、はたまた「フレーズの中で音に強弱をつける、ダイナミックスのコントロールの練習」なのか、とかです。もちろん自分の練習の目的は自分で設定するのが一番です。しかし初心者や技術の向上途中の中級者には、他人からの目的の提示がとても役に立ちます。「これをすると、何が出来るようになるか」が提示されれば、自ずと練習も正しい方法でおこなわれます。
 後輩を指導する先輩は、練習の到着点、目的をしっかりと説明してあげてください。また、部活の先輩に教わる後輩は、「何のためにそうするのか」をしっかりと理解してください。絶対上達が早くなるはずです。

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Written By: sax on 8月 16, 2016 No Comment


サックスを構成する数多くの部品の中でも、重要度が相当高い部品がパッド(またの名を夕ンポ)でしょう。なにせこの部品がサックスの「穴」を塞いでくれないと、サックスは楽器としての音が出せません。そればかりか、トーンホールの淵とパッドの間に髪の毛一本ほどの隙間が有っても、サックスはまともに音を出してくれません。なんてシビアな部品なのでしょう。…ということで、今日はパッドの話しです。
 ご存じのように、パッドはサックスのトーンホールカップの内部に接着されている、柔らかくて丸い円盤です。材質は動物のなめし革が多く、山羊、鹿、豚、カンガルー等の革が用いられます。最近では良質の合成皮革も出回るようになり、密閉性に加え、高い耐久性が付加された合成皮革が使われている場合もあるようですが、パッドは定期的な調整や交換が必要なこともあり、高級機種のサックスには未だに自然の動物皮革のパッドが使用されているようです。単純に空気のパッキン(漏れ止め)としての機能ばかりでなく、いかに素早くトーンホールを密閉するか、また開いている状態での表面の空気の流れ、押さえられ縮んだ状態からの形状復帰の能力等、パッドに求められる性能は複雑です。サックスのパッドは、熱で溶けるシェラックという接着剤でカップに取り付けます。これはパッドのカップ装着後に、カップに熱を加えながら、トーンホールの淵にパッドを馴染ませる作業をするためです。このためパッドには耐熱性も必要です。

 パッドの仕事は実は「穴を塞ぐ」だけではありません。トーンホールから出てくる空気の流れを整える機能と、トーンホールから出てくる「音」を反射する機能があります。前者はトーンホールが開いた状態のときの「トーンホールの屋根」としての役割です。この屋根が一定の位置より低いとき、サックスの音程は低めになります。言い換えれば、パッドの開きの程度で音程が変わるということです。同様に音質にも影響を与えます。パッドの開き具合は、サックスの調整でリペアマンが苦労する非常に重要な部分です。音の反射には、パッドの中心に着けられた「反射板:レゾネーター(ブースターとも呼ばれます)」が活躍します。レソネーターには、材質が金属のもの、プラスチックのもの、また平坦なもの、湾曲したもの、溝が刻まれたもの等、多種多様なものがあります。サックスの音は、先端のベルからばかりでなく、開いているトーンホールからも「発射」されます。そのトーンホールからの音を反射してコントロールするのがレゾネーターです。音質ばかりでなく吹奏感にも影響します。一般的には、プラスチックレゾネーターは柔らかいヴィンテージ感のある音質、金属レゾネーターはエッジのあるシャープな音質を作り出すといわれています。いやあ、パッドって面倒臭い、いや、奥が深いですね。

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Written By: sax on 8月 9, 2016 No Comment


どんな楽器でもそうですが、サックスという楽器も基本的な構え方は決まったものがあります。ストラップを楽器のリングに引っ掛けて楽器全体を首からぶら下げ、左手親指をサムレストに置き、右手親指をサムフックの下に入れて、両手の親指で楽器全体の位置をコントロールします。サックス奏者にとっては非常に当たり前のことなのですが、実はこの構え方に異を唱える方々も少なくありません。「サムフックなんていらないじゃん!」派です。
 サムフックは文字通り、親指を引っ掛ける部品です。ストラップで吊り下げられたサックス本体を、ストラップリングの位置を支点として、このサムフックに置いた親指で、強制的に回転させることができます。従ってサックスの姿勢や位置は、親指をサムフックに掛けた右手の操作によってかなり変化させられます。テナーサックスの巨人、レスター・ヤングで有名な「サックスの横吹き」(笛のようにサックスを横に寝かせて吹く姿勢)もサムフックが有っての構えです。両足を屈めて、その間にサックスを入れて前後に振るという、ロックンロール・R&B系の吹き方も、サムフックという部品がないと難しいでしょう。でも、普通の吹き方では…。あれ?サムフックってそんなに大事ですか?

 サムフックはサックスの姿勢を強制的に変えるためには大変重要です。しかし一般的な立奏(立っての演奏)と座奏(座っての演奏)では、あまり重要な役割を担っていないのではないでしょうか。アルトサックスとテナーサックスだけについて考えれば、サックスの姿勢コントロールの「点」として、ストラップリングとサムレスト、サムフックの3点に加えて 「太もも」という点も制御点として考えることができます。余分な力を抜いて自然体でサックスを構えたとき、サムフックに右手親指を引っ掛けなくても、充分に吹き易い位置にサックスを構えることができるのではないでしょうか?ね、出来てしまいます。それどころか、右手親指の位置が固定されないと、右手の各指でのキー操作がスムースかつスピーディ一におこなうことが出来る気もします。
 観点は変わりますが、長時間の演奏でサムフックに引っ掛けた親指が痛くなる、というサック奏者の声をよく聞きます。これは完全に間違った構えによるものです。右手親指が痛くなるほど、親指でサックスを支える必要は皆無です。ですので、サムフックがフックであるのは、「引っ掛けられれば便利じゃない?」程度のものと考えても良いのではないでしょうか。実際にサムフックの「フック」部を伸ばしたり、切断してしまった「右手サムレスト」を使っているサックス奏者もいらっしゃるようです。フックの取り外しはしないにしても、右手親指の力と位置が、あるべき自然な姿になっているかどうか、自分の演奏姿勢をチェックしてみるのも良いのではないでしょうか?

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Written By: sax on 8月 2, 2016 No Comment


サックス奏者に限らず、音楽をするプレーヤーにとって、人前での演奏は避けて通ることができない大きなのイベントでしょう。そしてそこには「最大級の緊張」が待ち受けています。「ちゃんと演奏できるか」、「聴衆に笑われるようなことをしてしまわないか」、「好きなあの娘の前でブザマな姿をみせないだろうか」等々、演奏での心配の種は尽きません。本番前、心臓が口から飛び出るほど緊張し、もうステージでは失神しそうなくらいです。人生の色々な場面で遭遇せざるを得ないこの「緊張」というやつは、何とかならないものなのでしょうか?
「緊張」は決してやっかいなだけの「悪モノ」ではありません。走り出す前の「用意!」の掛け声のときや、サックスで演奏を開始する直前のリズムへの集中等、これらもまぎれもない「緊張」の一種です。次に来るタイミングを逃さないために、そのタイミングに神経を集中し、張り詰める行為は「必要な緊張」です。体の力を抜いた、完全にリラックスした状況からでは、人間は瞬時の行動を起こすことができません。あるレベルの緊張状態が、次の動作への円滑な連結を生み出します。そう、適度な緊張は必要だし、役に立つのです。それどころか、色々な状況においてある程度の緊張は必須です。サックスの演奏で例を探すなら、「演奏中のリズムとテンポへの集中」、「譜面を記載通りに読み上げ、数小節先読みしようとする目線」、「アドリブソロの掛け合いで、相手の演奏に耳を傾ける瞬間」などは必要な緊張が生む必要な集中です。では不要な緊張とは…。簡単ですね、不安で体が動かなくなり、頭まで真っ白になる、自分にとってマイナスな事しかない「過剰な緊張」です。多くの場合、緊張が不安や恐怖を生み出し、生み出された不安や恐怖が緊張を増大させます。そして無限のループを作り出し、大きくなり過ぎた緊張が、身体の不調や、思い通りに動かない指や不本意な演奏となります。

 緊張のコントロールの基本は、先に述べたように「良い緊張は必要」と理解することです。本番のステージに立つ前に、楽器を構えたまま全身の力を抜いてリラックスしてみましょう。リラックスのし過ぎは反応を鈍くしてしまいますので、次にサックスを吹き出す寸前の指、腕、口、胸、等、全身の緊張をシミュレーションしてみます。それが「必要な緊張」です。この緊張をイメージの中に記憶し、ステージ上で出せるようにしておきましょう。「このレベル以上の緊張はしない!」と自分に言い聞かせれば、意外と緊張しないものです。緊張する自分に不安を覚え、その不安が緊張ループを作り出し、本来の力が出せないという状況は、 「緊張はするものだ!」と開き直ることで案外軽減できるものです。

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