サックス お手入れ

サックスの傷は治りますか?2


「打痕(へこみ)」、「擦傷(すり傷)」、「サビ」、「表面剥離(塗装やメッキの剥げ)」等のサックスの怪我の話の続きです。前回は打痕(ヘコ)と擦り傷のはなしでしたので、今回はサビや表面剥離の話しをしましょう。意外と奥が深いので注意して読んでくださいね。
 サックスの表面処理の劣化による「サビ」や「表面剥離」は、多くの場合「浮き」から始まります。「浮き」とは、滑らかなサックスの金属表面のなかの、ほんの微小な「塗装の膨らみ」や「表面の突起」です。原因には多様なものがあり、製造工程での塗装ムラ、または気泡の混入。新品時には発覚しなかった金属と塗装の間の異物が変化し、表面を盛り上げることもあります。「浮き」が出た部分は、表面の塗料と管体の金属が離れた結果です。底から簡単に塗装が剥がれます。そしてそこから錆びが始まります。また稼動部品の塗装が、サックスメカニズムが動きを繰り返すことによって矧がれ、錆びてくる場合もあります。左右の小指で押すキーやパームキーは、管体の塗装がそのままですので、長期にわたる演奏の結果、指や手によって塗装が剥がれ、さびてしまうことも少なくありません。
浮きと同様に、管楽器の表面処理の劣化にもうひとつ「焼け」という表現があります。ラッカーが部品の熱溶接の影響を受けて、文字通り「焼けた」場合もありますが、ラッカーの経年変化や下地の金属の油分の影響で材質が劣化する場合、またシャフトオイルなどが付着してラッカーの色を変えてしまう場合もあります。「浮き」も「焼け」も管楽器にはつきものの不具合で、新品でも微細な「浮き」や「焼け」がある場合には、「B級品」として特化で販売される場合もあります。いずれにしろ「浮き」や「焼け」は直りません。一旦劣化したラッカーを除去し、部分塗装等を施すか、サビや剥げの次の段階に進むまで「待つ」ことしかありません。ほとんどが楽器を舐め回すように眺めないと見つからない不具合ですが、気にする人は気にします。ただ、ほとんどサウンドには影響しないことは覚えておいてください。
 意外とサックス吹きが気付いていないのが、「磨き過ぎ」です。練習のたびに熱心にポリッシング・クロスで楽器全体を磨き、ピカピカに磨き上げている方を多く見かけますが、磨きすぎは表面に細かい傷を作ってしまいます。ご注意ください。
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