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倍音ってなに?

Written By: sax on 8月 22, 2018 No Comment

*最近、楽器のサウンドの音質を表現する際に、「豊かな倍音を含んだリッチなサウンド」などと、「倍音」という単語が頻繁に登場するようになって来ました。うーん、倍音って何でしょう?
 サックスの場合、「倍音」という単語は二系統の意味があります。ひとつは楽器のコントロールの訓練である、オーバートーン・トレーニングで言うところの倍音です。オーバートーンを日本語訳すると「倍音」となります。最低音のシ♭の運指でオクターブ上のシ♭、ファ、シ♭、レ、ファ、ラ♭、シ♭の音を喉のコントロールで出します。最初の音が基音、オクターブ上のシ♭が第二倍音。それに続いて第三倍音から第八倍音です。これらの倍音を喉のコントロールで意図的に鳴らすオーバートーンのトレーニングをすることは、幅広い音色を自分でコントロールすることへ繋がる重要な練習です。もう一つの倍音は、音の音質を作り出す「高調波」です。音は正弦波(サインカーブ)で解析できますが、基音だけの単純な音は音叉の音です。音叉の音にはほとんど倍音が含まれていません。これに対し、すべての楽器はそれぞれの個性ある倍音を含んだ複雑な波形の音を持っており、その楽器の音色、サウンドを生み出しています。オーバートーンでは第二倍音、第三倍音と整数の倍音しか扱いませんでしたが、楽器の構造によっては1.5倍音等、整数倍で無い倍音も混ざっています。

 音叉は「倍音を徹底的に抑制した楽器」です。通常は、どんな音も倍音を含む、というのが物理の法則です。さきほどのオーバートーンの話しに戻ると、「楽器が本来持っている基音と倍音を意図的に引っ張り出す」というのが練習の実際です。音響心理学的な研究では、偶数倍音は「精神的安らぎや安定」の効果があり、奇数倍音は「明瞭度の向上」の特性を持っていると言われています。クラリネットは円筒形の閉管構造であるため、主に奇数倍の倍音を多く含むため、シンプルで明瞭度の高い音色を持っています。サックスは管が円錐形であるため、偶数倍の倍音が豊富です。このため、サックスはフルートやクラリネットより倍音成分が複雑で、音色も複雑になっています。そう、倍音の種類や配分量でその楽器のサウンドが決まる訳です。
 整数倍の倍音は、音階の範囲内に入っていますので、基音に対してハーモニー(和音)の効果を発揮します。従って、整数倍の倍音が多い楽器のサウンドはとても音楽的です。逆に非整数倍の倍音は、いわゆるノイズになります。スネアドラムやシンバルなどの打楽器は非整数倍音が優位なため、基音の音程感が希薄です。同じ打楽器でもティンパニーは整数倍音が多いため、しっかりとした音程感を持っています。倍音は、料理で例えるならば、調味料やスパイスかもしれません。その量やバランスで、様々な味の料理、サウンドが作り出されます。そう、倍音を制する者がサウンドを制するのです。

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