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9月 2017

Written By: sax on 9月 27, 2017 No Comment

サックスのような操作方法でシンセサイザーの電子音を出す楽器、いわゆる電子サックスには、サックス奏者である皆さんは、一度は興味を持ったことがあると思います。て言うか、かなりの方がもうすでに所有されているかもしれません。出る音が電子音ですので、深夜でもイヤホンで聞けば、誰に遠慮する事無く演奏する事が出来ますし、音程も取り易い、キーの変更(移調)もボタン一つです。今日はこんな夢の楽器、電子サックスの歴史をお話しします。
 最近では電子サックスなどという泥臭い名前ではなく、ウインドシンセサイザーという呼び名が一般的になっていますが、その「始祖」は1974年にコンピュトーン社が発売した「リリコン(Lyricon)」です。ストレートソプラノサックスのようなりードのついた機械、「スティック」でシンセサイザーをコントロールするシステムです。マウスピース部分にはリードを咥える力を感知するセンサーや、吹き込んだ息の量やスピードを検知するセンサーが付いており、キーボードよりも細かいニュアンスでのシンセサイザーのコントロールが可能でした。キーがメカニカルタイプだったのでサックス奏者に親和性が高く、トム・スコット、デビッド・サンボーン、伊藤たけし等、多くのサックス奏者がステージで使用しました。同じころ、トランペット奏者のナイル・スタイナーがトランペット型のウインドシンセサイザー、「EVI」を世に出します。そしてそれは改良され、サックス型の「EWI」となり、両者は「スタイナーホーン」と呼ばれました。ほぼ手作りだったリリコンもスタイナーホーンも、革命的な電子楽器でしたがビジネスとしては成功とは言えませんでした。 リリコンの特許はYAMAHAに譲渡され、ヤマハWX-7を生み出し、またスタイナーホーンはAKAIがライセンスを買い取り、EWI1000として製品化します。 AKAIのEWIシリーズはステージ楽器としても成功し、マイケル・ブレッカー、伊藤たけし等、多くのミュージシャンがステージや録音でこのシリーズを使用しています。リリコン系のYAMAHA WXシリーズがメカキーであるのに対し、スタイナー系のAKAI EWIは静電式タッチキーを採用しており、サックスのように「押さないときもキーの上に指を置いておく」ことが出来ませんが、それによって特殊な奏法が可能にもなっています。
 ヤマハは管楽器の発音特性をシミュレーションした物理モデル音源VL-70mとスティックコントローラーWX- 11 やWX-5を組み合わせてシステムを展開していましたが、今では生産を終了しています。 AKAI のEWIは、赤井電機(2000年経営破たん)からAKAI ProfessionalMI(2005年倒産)、そして現在はアメリカのDJ機器メーカーinMusic Brand社と製造元は移り変わりましたが、EWI4000S音源内蔵タイプ、EWI5000ワイヤレストランスミッター内臓と進化しており、現在でも多くのミュージシャンに支持されています。
 これらの「2強」に埋もれている感はありますが、カシオ計算機が1988年~90年代初期に製造・販売した、音源、スピーカー内蔵のウインドシンセサイザー、デジタルホーン(Digital Horn)」もありました。またローランドが2016年に発売した、「AE-10エアロフォン」はサックスの小指キーやサイドキーまでも備えたコントローラーで、今までのどのサックスシンセサイザーよりも「サックスらしい」とプレーヤー達に注目されています。
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Written By: sax on 9月 20, 2017 No Comment

サックスを長年吹いていると、先輩や先生に何百回となく言われるお決まりフレーズが、いくつか体に染み着いています。そのひとつに、「音を遠くに飛ばせ!」があります。もちろん音は目に見えませんし、羽が着いていて飛ぶ訳でもありません。遠くにいるひとにも音が届くように、遠くにいても聴こえるように吹きなさい、という意味です。そして多くのサックス奏者が、これを「大きい音を出せ」と勘違いしています。今日はその勘違いの謎を解明します。
 確かに大音量の音は遠く離れていても聞こえます。しかし「大音量」を近くで聴くのは危険です。うるさいし、下手をすれば耳が物理的に故障します。昔、ロックコンサートでスピーカーの前の席に座ってしまい、一週間耳鳴りが治りませんでした。サックスでこんな大音量は出せませんが、「うるさい音」はサックスにとって良い音なのでしょうか?別にロックに恨みがある訳ではありませんが、ロックバンドの電気楽器プレーヤー達は、ボリュームを回せば簡単に大きな音を出すことが出来ます。残念ながらサックスにボリュームノブは有りませんし、ほとんどの場合サックスの生音は、コンサートホールサイズの中での聴衆に届けばOKです。必要ならマイクを通して音量を追加出来ます。なので、サックスの「遠くへ飛ぶ音」は大音量の音とは違うのです。
 「遠くのひとに届く音」をもう一度考えてみましょう。大きな河の対岸で誰かがサックスを吹いています。人のサイズは豆粒ほどですが、きれいなサックスの戦慄が私のところまで聴こえてきます。何故私に聴こえるのでしょう。すぐ後ろにある県道には沢山の自動車が走っています。河のこちら側の目の前のグランドでは野球をやっています。笛に合わせてランニングをする一団も通り過ぎています。私の周りがノイズだらけなのにもかかわらず、対岸からのサックスの音が私に届く。そう、サックスの音がノイズに負けずに、ノイズの隙間を通り抜けて私に聴こえてくるのです。自然にはあり得ない安定した音程、音の輪郭、楽器の美しい音であるがゆえに、ノイズに負けずに、というより、ノイズに紛れずに私の耳に届いてくるのです。サウンドに芯があり、しっかりとした輪郭を持ち、雑然とした生活空間の中のサウンドノイズにかき消されない、音楽としての個性を持った音。それが「遠くへ飛ぶ音」です。逆を言えば、日常生活の騒音の中にはほとんど存在しない、音楽性に溢れたサウンドが、生活空間のノイズに打ち勝って、騒音に押し潰されることなく遠くの聴衆に届くのです。
 人間の聴覚には、マスキング効果と言う「聞きたいものを選り分けて聞く能力」があります。つまり聴衆が、「美しい」、「魅力的だ」と感じる音は、聴き手が本能的に選んで「すくい上げて」聴いてくれるのです。遠くへ飛ぶ音のイメージ、なんとなく分かってもらえましたか?
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Written By: sax on 9月 13, 2017 No Comment

音楽をやっていると、なにかとスポーツと比較されることが多いような気がします。学生であれば、軽音楽部や吹奏楽部の部員達は、野球部やサッカー部等の「体育会系」と比べられ、「軟弱だ!」と言われることが少なくありません。しかし楽器を演奏するという事は体を動かすことです。特に管楽器はスポーツに匹敵するほど体力を使う事もあります。そう、我々サックス奏者も体育会系のみんなのように、練習や試合(本番のステージ)での「体力配分」や「疲れのコントロール」を考えることはとても重要です。
 スポーツの練習で重要なことは基礎体力と技術の向上です。サッカーなら45分ずつの前半後半を乗り切れる体力を養い、相手に負けない技を鍛えます。サックスならどうでしょう。何曲吹いても疲れて緩まない唇の筋肉、楽器を支える首の力、素早いタンギングをするための舌の動き、超絶フレーズを吹くための指の操作等を鍛えるのでしょうか?ロングトーンや基礎練習は、そんな目的のためにやってるんですよね…。って、違いますよぉ~!。スポーツの練習では確かに体力増強を目指しますが、それが最終目的ではありません。長い試合時間を、能力を衰えさせることなく乗り切ることが本当の目的で、体力増強はそのひとつの手段です。例え体力が向上しなくても、45分間フルスピードでプレイできる「疲れない走り方」が出来たなら、それでも良いのです。サックスも同じです。練習で「鍛える」ことを目的にするのはあまり感心しません。とかく練習というと苦しいことを繰り返し、その苦しさに打ち勝つことが練習の成果と考えてしまうことが多いようです。スポーツなら、ひょっとしたらそれはあっているのかもしれませんが、サックスなどの楽器に関しては、「違う」と断言できます。サックス等管楽器の練習の重要な目的のひとつは、「疲れない吹き方を身に着ける」という事だからです。練習の本質を深く考えれば、スポーツも楽器も同じです。いつでも、どんな状況でも、自分の能力を最大限に引き出せるようにするのが「基礎体力」です。ロングトーンの練習をするときは、いかに楽に、無理をせずに、美しく均一な音を長い間出すことの出来る「楽な吹き方」を探す練習をお勧めします。これが「疲れのコントロール」です。こう吹くと疲れない、また、疲れてきたらこう吹けば音がぶれない。そんなことを意識しながらの練習が効果的です。
 また多くの音楽指導者の方々が、「欠点直しの練習に終始するのは感心しない」と言っています。吹けないフレーズをゆっくりと何百回も繰り返せば、だんだん吹けるようになって来ます。しかしそんな練習は疲れるだけです。マイナス面を消すだけの練習では、何も新しいものは生まれません。3時間の練習が疲れるだけで楽しいですか?そこにも疲れのコントロールが必要です。得意な部分をより強調するための練習や、好きなフレーズをより滑らかに吹く練習など、「練習での心の疲れ」に配慮した練習を心掛けてみたらいかがでしょう。
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Written By: sax on 9月 6, 2017 No Comment

もう百回ぐらい言っているかもしれませんが、サックス吹きにとってリードは永遠の悩みの種です。リード選びを原点に帰って、もういちど基本から考えてみましょう。
 リードは振動して音を出します。この音がサックスのサウンドの源流です。リードの良し悪しを言う前に、「振動する環境」を整えましょう。マウスピースには正しくリードをセットすることが必須です。正しいセットとは、左右にずれが無く、先端もマウスピースの先端に揃えましょう。先端の合わせ方は、「髪の毛一本分手前」、「ぴったり」、「リードをマウスピース先端に押し付けてピッタリ」と3種類ありますが、好みと鳴りで選んでください。リガチャーの位置はマウスピースのリガチャーマークに合わせるとか、なるべく下側とか、二本ネジの先端側は少し緩める」とかの諸説ありますが、リードがずれないようにしっかりと留めることが重要です。好みの調整の前に、「しっかりと」だけはちゃんとお願いします。リードが接触する大事なポイントはマウスピースのテーブルだけではありません、その反対側、奏者の下唇も重要な接触ポイントです。下唇を巻き込んで唇越しに下の歯でリードを押さえるシンリップ、下唇を巻き込まないファットリップ、上の前歯もマウスピースに触らないダブルリップ、とアンブシャには色々ありますが、どう下唇がリードに接触するかが大事なポイントです。下唇のリードへの接触によって、リードの振動を妨げないことが重要です。一般的な接触のベストポイントは、唇の柔らかい皮膚とその下側の顔の皮膚との境目です。ここでは「振動を妨げない硬い線」があり、そこでリードを押さえればもっとも振動を吸収しにくい状態となります。唇の厚さの個人差によって、このポイントでリードを支えるために、どのくらい下唇を巻き込むかが異なりますので、鏡を見ながら確認してください。
 リードの形も鳴りに大きな影響が有ります。リードの裏側が凹んで円弧を描いているものはリードの平均的な振動を阻害します。紙やすりやリードリサーフェサーなどでフラットに加工するのが良いでしょう。この場合注意すべきなのは、リード裏面が平滑であることが重要なのではなく、マウスピースに対して左右対称に、ぴったりと接触することが目的です。リードの左右のバランスを崩さないよう注意してください。リード先端のカーブとマウスピース先端のティップカーブがぴったり揃っていないと、リードが鳴らないと思っている方が少なくありませんが、曲線の違いが左右対称であればさほど気にする必要はありません。リード先端のカーブを矯正するために、リードカッターを使用するサックス奏者がいらっしゃいますが、これはマウピピースティップのカーブに合わせるためにカットしているのではなく、リードの先端をほんの少しカットすることでリードの振動の仕方を調整しています。
 「リードは天然の植物だから、鳴りのばらつきはどうしようも無い」と諦めているサックス奏者が少なくありませんが、今日挙げたポイントをチェックしたり、修正するだけで、ダメリードが変身する場合が少なくありません。
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