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サックス 練習・レッスン

Written By: sax on 4月 18, 2018 No Comment

サックスのサウンドは色々な要素で変化します。変化するし、してしまいます。奏者が望む方向にサウンドが変われば、それは進歩であり上達でしょう。逆ならば改悪、もしくは退化、スランプかもしれません。マウスピースやリードを変えるなどのセッティングの変化だけでなく、アンブシャの形、マウスピースを咥える深さ、息の吐き方など等、サックス奏者は「理想のサウンド」に向けてあらゆる努力をしています。しかし、それはあるときはただの徒労であり、無用な出費、無駄骨であり、あるときは目からうろこの大発見だったりします。いずれにしろ、サックス奏者のサウンド改善に対する苦労は、決して生やさしいものではありません。そんな「真面目な」サックス奏者に贈りたい言葉、それが「記録の重要性」です。

 サックス歴が10年程度あれば、かなりの種類のマウスピースを買ったり、試したりしていると思います。リードもしかりです。アンブシャも色々と試行錯誤してきたと思います。それが20年、30年となれば思い出せないくらいの努力が費やされたはずです。そう、「思い出せない」のです。「ああしたら、こうなった」、「アンブシャをこう直したら、こういうサウンドになった」、「xxのリードをリンクのx番で使っていた」、など等、覚えていられるのは数年が限度です。ですから私は、「記録」を推奨しています。

 自分のサックスのサウンドのチェックには、録音して聞いてみるのが一番効果的だと私は思っています。ですので、セッティングや奏法を変える場合には、是非、「録音して記録する」ことをお勧めします。今はデジタルレコーダーが安価ですし、操作も簡単です。「メイヤー6Mにリコジャズセレクトのミディアム、リガは付属品。ぶりぶり~(サックスの音)。」、というように練習のサックスサウンドの前に、そのときのセッティングを声で録音しておき、その一連の録音をファイルでPCやスマホに保存しておくのです。その録音は、当初はサウンドの比較の為の物でしかありませんが、保存を繰り返すことで溜まってきた音声ファイルは、あなたのサウンドの変遷の歴史的記録になり、セッティング改造の効果のサンプルにもなるのです。この音声ファイルが数年分溜まれば、あなたが今のサウンドや奏法に何かしらの疑問を持った時、その問題を瞬時に解決してくれる資料になるかもしれません。「あ、2年前のあのセッティングのほうが、今の音より良いかも」、なんて事に気づくかもしれません。サウンドファイルの保存が面倒臭い、という方はノートにメモするだけでも良いでしょう。サウンドの振り返りは難しいですが、吹奏感や楽器コントロールの難易度などは、紙へのメモでも十分役に立つでしょう。

 楽器を演奏する、音楽をやる側に立つ、ということは多くの場合、「長い旅」になります。旅の記録は単なる回顧の為だけでなく、次の旅の道筋を示す「道しるべ」にもなると思います。

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Written By: sax on 3月 28, 2018 No Comment

楽器奏者に必須な作業がチューニング。演奏をするスタジオやらステージ等、演奏場所のピアノに合わせて、基準音にチューニングしてバンドのピッチを合わせます。ポーン、ポーンとピアノを弾いて、その音にバンドの各楽器が合わせるのがかつては普通でした。しかし最近ではまずピアノの音をチューニングマシンで確認し、「はい、今日はA=441Hzね!」などというコンマスの指示で各自が自分のチューナーを校正し、自分の楽器の音をチューナーのクリップマイクで拾ってチューニング、なんて感じが当たり前ではないでしょうか。今日はもう離れられない秘密兵器、チューナーについてお話しします。

 最近では「機器」としてのチューナーを使わず、スマホのアプリで済ましている楽器奏者も少なくありません。かなり高機能なチューナーアプリでも無料の物が沢山あります。アプリにしろ独立した機器にしろ、チューナーには「管楽器用」と「弦楽器用」かあるのをご存知でしょうか?それはチューニングする音の特性による違いです。管楽器の音は口の加減で音のピッチが揺れます。それに対し弦楽器は「ポーン」と引いた音は一定のピッチを維持します。管楽器用のチューナーは、ピッチの揺れの平均部分を取り出してメーターが反応するようになっています。これに対し弦楽器用チューナーは、ブレがないので反応が早く、「低い」、「高い」の結論をすぐに出すようになっています。弦楽器用のチューナーでサックスをチューニングしようとすると、表示がバタバタ変化し過ぎて対応できません。その他の機能もチューニングする楽器の特性で細かく違うので、くれぐれも弦楽器用チューナーでサックスをチューニングしようなどという、無謀なことはしないようお願いします。

 チューナーは、基準音への楽器のピッチ調整だけが目的の機器(またはアプリ)ではありません。特に管楽器奏者にはとても便利な練習道具でもあります。アンブシャの状態によるピッチのブレを確認でき、どの音域でどのくらい口で調整出来るかを知ることが出来ます。サックスでどこかの音を出し、アンブシャを締めたり緩めたりして、ピッチのブレの幅を確認します。これは、「この誤差以内であれば演奏しながらピッチを修正できる」ことを意味します。低音域の音、高音域の音のいくつかでこの確認をすれば、自分がその楽器の演奏中に、どの音はどの程度「口で修正できるか」を知ることが出来、チューニングの精度も楽になってきます。この逆は、「演奏中にどれだけ狂うか」でもあります。演奏中に油断すると、自分のピッチがどこまでずれてしまうかも把握できます。この確認を頻繁におこない、日頃の練習のルーティーンにしておきましょう。チューナーのメーターを見ないで吹き始め、「どうかな?」と目を開けてメーターを見る練習もお勧めです。どうしてもメーターを見ながらチューニングすると、口が自然にピッチを修正してしまいがちです。自分の標準アンブシャを決めておき、その状態のマウスピースの抜き差しでチューニングするのも重要です。チューナーの機能を上手く練習に取り入れてください。

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Written By: sax on 3月 21, 2018 No Comment

サックスのサウンドはタンギングで大きく変わります。サウンドの質がタンギングに決められてしまう、と言っても良いでしょう。それ故にサック奏者はタンギングに関する悩みが多いようです。「ハーフタンギングがどうしてもできない」やら「低い音域でタンギングが強過ぎてしまう」、「サブトーンのタンギングが上手くいかない」など等、多くのサックス奏者の方々から質問を受けます。確かにタンギングは重要課題です。しかしその正しい方法を教えるのも難しいのです。何故なら、「タンギングの方法は人によって違う」からです。

 教則本やレッスンの先生達は、「ルルルルと舌を動かす」とか、「トゥリトゥリと発音しながら息を出す」等、「技術」や「方法」を説明して、生徒にタンギングを教えようとします。しかしこれも、「そんな感じ」以上の何物でもありません。「ル」という舌の形が、それに期待するサウンドで音を出せるかと言ったら、必ずしもそうではないのです。あえて言うなら、それらの方法論は、「近道」を示している事に他なりません。ルの形からアプローチを始めれば、切れ味の良い、強過ぎないタンギングで音を出すことにたどり着き易い、ということです。サックス奏者が注力すべきは、「ルルルルと舌を動かすこと」ではなく、耳当たりが心地よい音の始まり」なのです。

 タンギングの練習は先生や教則本の指示する通りにやりましょう。そして空いた時間に夕ンギングで遊んでみたらどうでしょう。舌をリードに付けずに音を切ったり(エアータンギングと言います)、舌の真ん中でリードをペタペタ叩いたり(スラップタンギングの原型です)、口腔内を膨らませたり萎ませたり、舌の先でリードをツンツン触ったり、舌を付けたまま息を出し続けたり、思いの外、サックス演奏の為に「口の中でできる事」は多様です。そしてそんな遊びによってどんな音が出るか、出せるかを楽しみましょう。そのうちに「こうするとこうなる」の経験が色々と溜まってきます。「タンギング遊び」が「サウンド開発研究」に変わって来ます。まあ、お散歩しながら、道端の綺麗な花を見つけたり、運が良ければ100円玉を拾ったり、みたいな感じですかね。サックスと一緒になって音を作る、音を出すことを楽しむことで、新しい何か、自分が出したいサウンドのポイントを見つけようというやり方です。ハーフタンギングの按配の習得などは、この方法が一番だと私は思っています。

 楽器を使った音楽は、楽器の奏法の方法論だけで作り出せるものではありません。常に持つべきは好奇心であり、自分の夢や目標です。そういうやりかたで身に付いた自分のサウンドは、人には説明し難いですが、自分で演奏するのは無理無く出来ます。自分で考え出して身に付けたものは、とっても素直に自分に馴染むはずです。

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Written By: sax on 2月 21, 2018 No Comment

シンリップ、ファットリップ、ダブルリップ等、サックスのアンブシャ(マウスピースの咥え方)は色々です。そしてそれらのアンブシャタイプも奏者によって微妙に変化します。またアンブシャを変化させると音質や音の安定性が激変します。サックス奏者にとってアンブシャは、目標のサウンドを実現するための「試練」であったり、時折自分を襲う「不安」だったり、答えの出ない「研究対象」だったりもします。どんなアンブシャが良い、とかいう長くなりそうな話は置いておき、サックス演奏のアンブシャの原点を考えてみます。

 サックスのアンブシャは「パラドックス」そのものだ、という人がいます。パラドックスとは矛盾やジレンマ、逆説などと訳されますが、「一見間違っていそうだが正しい説」、もしくは「一見正しく見えるが正しいと認められない説」等を指して用いられます。アンブシャのどこがパラドックスなのでしょう。それはサウンドを作り出すリードの自由度と、そのサウンドのコントロール性の関係がパラドックスを生んでいるということのようです。やや哲学的な解釈はここまでにして、具体的な矛盾の例を説明しましょう。ファットリップは上下の唇の力のみでマウスピースを咥え、息を吹き込んでリードを振動させるアンブシャです。リードを締め付ける力が少なく、リードは最大限に振動することが出来ます。しかし音のコントロールは大変難しく、安定した音を出すためには相当な訓練が必要です。シンリップは逆に、マウスピースをかなりの力で締め付けるアンブシャです。音のコントロールは非常にやり易いアンブシャですが、リードを鳴らし、太く大きな音を出すことと両立するためには、こちらも高い技術が必要です。

 サックスを楽器として機能させるためには、音のコントロールが必須です。正しい音程で、求められたタイミングで音を出し、意図した音の大きさで、意図した長さの音を出すことが 「コントロール」です。そしてサックスの誕生と同時に生まれたのがシンリップです。長きに渡り、クラシックサックスの世界では「王道」のアンブシャです。しかしサックスが色々なジャンルの音楽で活躍するようになってくると、「これがサックスの限界なの?」、「もっと面白いサウンド出せそう」、とかの欲が出てきました。そしてサックスの音の源泉であるリードの振動を、より自由にしてあげようというアンブシャが考えられ出しました。しかしリードに自由度を与えると、コントロールが難しくなりました。豊かな太いジャジーなサウンドでも、音程が悪すぎれば音楽になりません。吠えるような轟音でも、音のタイミングは重要です。サックスのアンブシャは、何かを得るためには何かを捨てなければいけないのかもしれません。そして捨てる物と得る物の価値は、プレーヤーひとりひとり、それぞれによって違います。アンブシャの基本形はあっても、それが自分の欲しいサウンドを作り出してくれる保証はありません。

 シンリップは正しくもあり間違っている。ジャズで標準的なファットリップも、正しくもあり間違ってもいる。確かにパラドックスです。重要なのは捨てる物と得る物に対する、「あなたにとっての価値」を自覚することではないでしょうか?

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Written By: sax on 2月 7, 2018 No Comment

ビッグバンドや吹奏楽等、日ごろの演奏を「譜面」でおこなっているサックス奏者は、いわゆる「白丸」と呼ばれる、全音符や二分音符を見ると安心します。馬鹿っ速い超絶フレーズの多いバンドのメンバーほど、その安心感は大きいでしょう。だって吹きながら休める(?)んですもの…。本当にそうなのでしょうか?

 実は「白丸」との付き合い方で、音楽の質は大きく変わります。シンプルなところから攻めるなら、その長さです。記譜のルールから言えば4/4拍子の小節頭から始まった全音符の 「止める場所」は次の小節の一拍目が始まる直前です。一拍目に音があれば、その音との間隔はほぼ無いはずです。しかしこの記譜でそんな演奏をすることは非常に稀です。一拍頭の少し前で止めたり、小節内4拍目の頭で止めたりする場合がほとんどでしょう。曲を高い質で演奏するためには、アンサンブルをするメンバー内で、音を止める場所をきっちりと決めておく必要があります。そうしないと音の止め場所がメンバーによってバラバラになり、「だらしない決め」の演奏になってしまいます。合奏でロングトーン練習をするときは、止めの場所を決め、その止め方を合わせることも重要な練習の課題です。止めも大事なら「入り」も重要です。音を長く延ばす「白丸」はその音符の始まりもとても目立ちます。

アタックせずに「スーっと」始めるのか、「タンン~」と軽いアタックで始めるか、「トン、ワア~」とフォルテ・ピアノで始めるか等、音の始まりには千差万別のバリエーションがあります。この「音の始め方」は通常、譜面上にアーティキュレーション記号(演奏記号)を使ってその吹き方が指示されていますが、演奏の表現を統一するため、バンド内でしっかりと取り決めておくべき部分でしょう。伸ばし方も重要です。その曲に最適の音質、音量、ビブラート、表情、ピッチ等、演奏で留意しなければならないことが沢山詰まっています。例を挙げれば、一流のスイングジャズバンドは、ビブラートのタイミングをぴったりと揃え、繊細な曲の表情を作り上げています。

 このように白丸は、「始まり」と「伸ばし」、そして「止め」というサックスの演奏技術が 「もろに出る」恐ろしいものなのです。一流のプロミュージシャンは、ロングトーンだけで音楽を表現できる、と言われます。高い演奏技術と濃厚な音楽演奏の体験により、どう音を出せば音楽になるか、が体に染み着いているが故の結果です。

アマチュアサックス奏者の皆さんでも、「ロングトーンを音楽にする」ように練習する事も大切ではないでしょうか。ロングトーンは「腕立て伏せ」のような筋トレ練習ではありません。あくまでも、良い演奏を出来るようになるための基礎練習です。色々な始まり方、色々な伸ばし方、色々な止め方でロングトーンの練習をしてみてください。そして「白丸」の吹き方を考え尽くしてみてください。演奏する音楽の質が、格段にステップアップすると思います。

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Written By: sax on 1月 24, 2018 No Comment

楽器の演奏は、ほとんどの場合が「合奏」です。もちろんソロ演奏も無い訳ではありませんが、多くのアマチュアサックス奏者は、何らかの異種・同種の楽器との合奏による演奏が主体だと思います。「練習」というとまずは個人練習ですが、アンサンブル練習、グループ練習もとても重要な練習です。

 ビッグバンドやブラスバンドのパート練習、サックスアンサンブルのグループ練習では、メンバーが車座になって音を出す風景を良く目にします。しかしこの「車座」、練習目的に応じて違う並びで練習することも必要です。お互いの音を平等に聴き合い、自分と他人の音やタイミングの違いを見つけ出し、互いに指摘し合うためには、車座の練習はとても効果があります。しかし本番のステージで車座になって演奏する事はあり得ません。ある時点で「本番の並び方」で練習をしなければ、本当の意味でのグループ練習にはなりません。「並ぶ」と隣の人の音ばかりが聞こえます。その向こうの人の音は小さく、そのまた向こうの人の音はほとんど聞こえないかもしれません。その状態で快適に演奏出来て、初めて本番のための練習になります。本番の並び方の練習では、聴衆役の聞き手が必要です。しっかりとアンサンブルの出来・不出来、改善すべき点を指摘してくれるひとがいれば最高です。そんなひとがいなければ録音です。

 スピーカー付きの録音機で、演奏&録音→プレイバック→改善点の議論→練習→演奏&録音、というサイクルを繰り返します。またサックスはベルの向きで音の方向が大きく変わるので、本番の並びでメンバー全員が快適に音を聴き合えるような、ペルの構え方を研究するのも良いと思います。パート練習の必殺技に「トップ&サイド練習」があります。リード奏者(ビッグバンドならリードアルト、その他の編成ならトップパート)と各サイド奏者が1対1で練習演奏するのです。アーティキュレーションがトップと合っているか、どう違うか、どこが着いてこられないか、止めや延ばしがあっているか、など等をグループのリード奏者と誤魔化しの出来ない状況で合わせるのです。きついです。でも、もの凄く進歩が期待できる練習です。

 正直なところ、理想論だけでは音楽は出来ません。パート練習、アンサンブル練習では誤魔化し方を考えることも重要です。曲やフレーズには「合わせどころ」が必ず有ります。「3小節目の2拍目の頭と7小節目の4拍目の裏」等、ここさえ合わせれば何とかなる、失速してもここだけは絶対に合わせる、というポイントを「談合」して決めるのです。場合によっては、「おまえ、ここ吹くな!」なんて「議決」もあるかもしれません。

 音楽は瞬間の芸術です。どんな手を使っても、観客が感動する瞬間を届けられれば、それが正解です。あ、誤解しないでください。もちろんグループ練習は、皆で向上するのが目的です。しかしかばい合ったり、全体での解決策を議論したりするのもグループ練習です。ここが絶対に個人練習では出来ない事なんです。グループ練習を楽しんでください。

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Written By: sax on 1月 3, 2018 No Comment

楽器を演奏して音楽を作り出すという事は、もちろん自分一人で楽しむことも出来ますが、多くの場合は人前でおこなう行為です。それ故に、「あがる」、「恥ずかしい」、「頭が真っ白」等という、決して嬉しくない精神状態といつも付き合っていかねばなりません。「どうやったらステージであがらずに演奏できるか」は楽器演奏者のほとんどが、一度は考えたことがあるでしょう。今日は「気持ちのコントロール」の方法を考えてみましよう。

 気持ちはしばしば身体に影響を与えます。強張った気持ちは身体をも強張らせ、緊張した筋肉は身体の痛みや不調を生み出します。肩がこる、首筋が痛い、指が突っ張る、そんな身体の不調は往々にして、気持ちのバランスの不調が生み出す結果の場合が多いようです。そんなときに我々は心の中で「落ち着け、落ち着け」と唱えるのが常ですが、100回言ってもほとんどの場合落ち着くことはありません。今、そのとき、心は平静を失っているのですから、そんな「言葉」で落ち着きを取り戻すのはほぼ不可能です。しかし音楽は太古の昔から、長い長い歴史の中で進歩や変化を続ける文化です。こういった状況に陥るのを防ぐための数々のノウハウを、多くの先達たちが編み出してくれています。

 演奏時の緊張を防ぐため、「気持ちを遠くに置く」という言葉があります。これだけでは意味が分からないですね。分かり易い説明は、「気持ちが近いとは?」から始まります。あなたがサックスで曲を演奏するとき、フレーズの音符をなぞる為に、指の動きに気持ちを集中させているとしましょう。「プレスの深さと、呼気のスピードを意識する」、「唇の調節で音程を維持する」、「タンギングを意識して音の切れを良くする」など等。これらはみんな、「気持ちが近い演奏」です。演奏中の意識の多くを、身体の各部分、もしくはそれらをコントロールすることに注いでいます。ほとんどが脳みそから1メートル以内の「近い部分」に意識が集中しています。もちろん身体の各部を動かさなければ、あなたのサックスから音は出てきませんが、これらの動きは「手段」であり、目的ではありません。サックスから生み出される美しいフレーズ、観客に届く豊かなサウンド、会場全体に満たされる音楽の幸福感。そんな「遠いもの」に意識を集中すると、身体がそれなりに自然に動いてくれるはずです。というか、そのために練習を積んでいるのです。

 ライブや演奏会での「自分の目標」は、指を間違えずに動かすことや、音の頭を正しく切ることではありません、「良い音楽を演奏する」事です。意識を近くに置けば置くほど、身体は緊張して動きを鈍くします。意識を遠くに置けば、ゆったりとした気持ちで音楽の演奏そのものを楽しむことが出来るでしょう。そのためには、練習においては徹底的に気持ちを近くに置き、身体のコントロールを緻密に鍛錬する必要があります。練習では徹底的に細かいことを攻め、本番では「成るようにしか成らん!」と大きな目標に向けて演奏する。これが練習と本番の気持ちの使い分けです。また練習中に気持ちの位置を変える事も良い方法です。細かいフレーズの指の練習をしながら、フレーズの全体に目線を変えて同じ練習をするのも効果的です。

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Written By: sax on 10月 25, 2017 No Comment

サックス奏者ばかりでなく、管楽器奏者にとって「呼吸法」は非常に基本的な課題です。基本的であるにもかかわらずその奥は深く、プレーヤー人生において常に向き合っていなければならない「永遠の課題」でもあります。普段我々の誰しもが、「人間として生きるためにしている呼吸」をしている訳ですが、楽器を吹くための呼吸はそれとは全く違い、「管楽器を鳴らすための呼吸」をしなくてはなりません。今日は管楽器奏者の呼吸の話しです。
 普段私たちがしている呼吸は、息を吸うときも吐くときも、特別な意識はしていません。しかしサックス演奏のための呼吸は、最短時間で最大の空気を吸い込み、かつ完全なコントロールをしたうえでそれを吐き出す、という「サックスを鳴らすための息の出し入れ」になります。そう、「呼吸」ではなく、「空気の出し入れ」です。このとき奏者の身体の呼吸器系は楽器に対して、「能率の良いポンプ」でなければなりません。この「ポンプ」と楽器の相性によって、楽器の鳴り得る最大限の良い音が出る場合もあれば、楽器の性能を生かし切れない、残念なサウンドにもなってしまう訳です。息の吸い方、吐き方の詳細に関しては多くの「セオリー」が書籍や先生から伝えられていると思いますので、ここでは特に触れません。注目していただきたいポイントは、「息の見つけ方」です。
 「自分はポンプ」と考えても、身体の機能は奏者の体格や性別、身体能力によって千差万別です。目的とする「息の吸い方と吐き方」が同じだとしても、その「方法」は人それぞれのはずです。これゆえに、「息を見つける」という練習が必要になります。最短時間で大量の空気を体内に取り込むためには、自分はどこに力を入れ、どこを緩める必要があるか、またその方法に無理はないか…。息のエネルギーすべてをサックスのサウンドに変換するために、自分の喉はどんな角度で、どんな太さで息を出せば良いのか。またその息のスピードと当てる場所、舌や口腔内での空気の流れのコントロールはどのようにすれば良いか…。これらの要素の「出すべき結果」はある程度見えています。しかし、「方法」は自分で探るしかありません。あなたのサックスレッスンの先生も、出てくるサウンドは聞いて判断できますが、あなたの口の中の舌の形を見ることは出来ませんし、そのときのあなたの身体全体の筋肉の緊張度を見極めることは不可能です。ですので、自分で「見つける」しか無いのです。
 息を見つける方法は奏者によって色々ですが、重要な基本は「注意深く自分とサックスと出てくる音を観察する」ことです。左右の背筋、おへその下、肩甲骨等、色々なところに神経を集中して息を吸ってみて、どの方法が一番自然に大量の空気を吸えるかを「探って」みましょう。お腹や喉のどこに力を入れ、どんな舌の形で、どんな角度で息を吹けば、リードが「自然に鳴ってくれる」のかを観察しましょう。色々なことを試し、色々なことを確認し、色々な結果を導き出して、「自分の息を見つける」努力を継続しましょう。その努力によって、あなたとあなたのサックスとの良い関係が築かれ、最高のサウンドで音楽を演奏出来る状態に近づくと思います。
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Written By: sax on 10月 4, 2017 No Comment

今日のテーマは、改めて口にするのもばかばかしい位の常套句、「どうしたらサックスが上手になるか」です。しかしサックス初心者からプロ奏者まで、「どうしたら上手くなるか」は絶えず悩んでいることです。ぽんと、どうしたら少しでも近道が出来るんでしょう。一緒に考えてみましょう。
 サックスを上手くなりたい自分としては、他の楽器から何かを「パクれないか」をしばしば考えます。同じ木管楽器の「フルート」や金管楽器の花形「トランペット」はどうなんでしょう。何か上手くなる特効薬がないのか聞いてみました。答えは皆同じ。「練習だよ!」でした。ですよね…。あ、でもフルートやトランペットの練習を見ていたら、何かが違います。同じ指使いで違う音が出ています。サックスは音に対して指使いが決まっています。サックスの「運指表」では基本的に全部の音に指使いが決まっており、ある運指をすれば、基本的に該当する音が出てくれます。オクターブ上はオクターブキーを押し、その上の音はサイドキーの操作で出てくれます。これって、他の楽器では信じられない「楽なこと」なんです。金管楽器は倍音の積み重ねと、それに対する管長の操作で音を出しています。トランペットでは第1バルブを押すと1音下がり、第2バルブを押すと半音下がり、第3バルブを押すと1音半下がる仕組みになっているので、唇で倍音の基音を出し、バルブ操作でそれを下げて音を出します。フルートもオクターブキーが無いので、唇から出す息のスピードや太さを変えて倍音を出します。
 サックスは科学技術の力によって、特定の音を究極に出し易くした楽器です。奏者がさほど苦労しなくとも、指定された指使いさえすれば、決められた音が出てくれます。実はサックス奏者にとって、ここが大きな問題なのです。サックスはオクターブキーを押して、左手人差し指と中指を閉じれば「ラ」の音が出ます。しかしフルートは同じ指使いでもオクターブ下の音が出たり、他の倍音が出ます。トランペットも同様です。唇や口の中の容積、息のコントロールで、「ラを出そう」としなければ、「ラ」は出ないのです。サックス奏者のかなりの人たちが、「出ちやった音」でサックスを演奏しています。それを「出した音」にすればサウンドの質も向上し、コントロールの方法も明確になります。サックス奏者が出す音を意識して初めて、サックスと一体化した最高の音が出せるのです。
 面倒臭い理屈を言いましたが、実践は簡単です。頭の中で出したい音の高さと音質を「歌う」のです。楽器なしで歌うときの喉、呼吸、身体全体の状態を意識して、その体勢で息を入れてサックスを吹くのです。これによってびっくりするほどサウンドが改善しますが、決して簡単なことではありません。歌いながらスケールを吹いてみましょう。歌いながらフレーズを吹いてみましょう。サックスそのものと奏者が一体になって音を出す。これが、サックスが上手くなる練習の原点です。
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Written By: sax on 9月 13, 2017 No Comment

音楽をやっていると、なにかとスポーツと比較されることが多いような気がします。学生であれば、軽音楽部や吹奏楽部の部員達は、野球部やサッカー部等の「体育会系」と比べられ、「軟弱だ!」と言われることが少なくありません。しかし楽器を演奏するという事は体を動かすことです。特に管楽器はスポーツに匹敵するほど体力を使う事もあります。そう、我々サックス奏者も体育会系のみんなのように、練習や試合(本番のステージ)での「体力配分」や「疲れのコントロール」を考えることはとても重要です。
 スポーツの練習で重要なことは基礎体力と技術の向上です。サッカーなら45分ずつの前半後半を乗り切れる体力を養い、相手に負けない技を鍛えます。サックスならどうでしょう。何曲吹いても疲れて緩まない唇の筋肉、楽器を支える首の力、素早いタンギングをするための舌の動き、超絶フレーズを吹くための指の操作等を鍛えるのでしょうか?ロングトーンや基礎練習は、そんな目的のためにやってるんですよね…。って、違いますよぉ~!。スポーツの練習では確かに体力増強を目指しますが、それが最終目的ではありません。長い試合時間を、能力を衰えさせることなく乗り切ることが本当の目的で、体力増強はそのひとつの手段です。例え体力が向上しなくても、45分間フルスピードでプレイできる「疲れない走り方」が出来たなら、それでも良いのです。サックスも同じです。練習で「鍛える」ことを目的にするのはあまり感心しません。とかく練習というと苦しいことを繰り返し、その苦しさに打ち勝つことが練習の成果と考えてしまうことが多いようです。スポーツなら、ひょっとしたらそれはあっているのかもしれませんが、サックスなどの楽器に関しては、「違う」と断言できます。サックス等管楽器の練習の重要な目的のひとつは、「疲れない吹き方を身に着ける」という事だからです。練習の本質を深く考えれば、スポーツも楽器も同じです。いつでも、どんな状況でも、自分の能力を最大限に引き出せるようにするのが「基礎体力」です。ロングトーンの練習をするときは、いかに楽に、無理をせずに、美しく均一な音を長い間出すことの出来る「楽な吹き方」を探す練習をお勧めします。これが「疲れのコントロール」です。こう吹くと疲れない、また、疲れてきたらこう吹けば音がぶれない。そんなことを意識しながらの練習が効果的です。
 また多くの音楽指導者の方々が、「欠点直しの練習に終始するのは感心しない」と言っています。吹けないフレーズをゆっくりと何百回も繰り返せば、だんだん吹けるようになって来ます。しかしそんな練習は疲れるだけです。マイナス面を消すだけの練習では、何も新しいものは生まれません。3時間の練習が疲れるだけで楽しいですか?そこにも疲れのコントロールが必要です。得意な部分をより強調するための練習や、好きなフレーズをより滑らかに吹く練習など、「練習での心の疲れ」に配慮した練習を心掛けてみたらいかがでしょう。
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