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サックス マウスピース

Written By: sax on 5月 31, 2017 No Comment

サックス奏者にとって、マウスピースはサウンドの根源となる重要な部品です。サックスを長く吹いていると、自分のサウンドや吹き易さを求めて、いくつものマウスピースをとっかえひっかえ使うのは珍しい事ではありません。マウスピースに「憑りつかれた」マニア達には、マウスピースの種類やその特徴、基本的な理論について、後ずさりするくらい詳しいひとたちが少なくありません。そんなマニアックな知識はともかく、「知っても得はしないが損もしないマウスピースの基礎知識(?)」をお話ししましょう。
 ラバーマウスピースは柔らかい音、メタルは硬い音。マウスピースの特性の常識のようこ言われていますが、実はこれは間違いです。キンキンと尖ったサウンドのラバーマウスピース、ダークでソフトなサウンドのメタルマウスピースも沢山有りますし、むしろ全体的にこちらの傾向のほうが強いと思います。しいて特徴として挙げるなら、ラバーマウスピースはサウンドのエッジがシャープな傾向があり、メタルはその逆、サウンドの輪郭が柔らかいものが多いようです。混同してはいけないのが、サウンドの輪郭と倍音成分です。サウンドの輪郭がソフトでも、高音域の倍音成分が多ければ、いわゆるモダンで鋭いサウンドになり、サウンドの輪郭がシャープでも倍音が平均的に豊かであれば、クラッシック系のサックスのような柔らかく豊かなサウンドになります。
 倍音の成分構成はバッフルの高さでおおよそ決定されます。マウスピースのリードの上にある「天井」がバッフルで、リードに近いものをハイバッフル、遠いものをローバッフルと言います(上下逆のような気がしますね)。マウスピースを輪切りにした断面で息の通り道を考えると、ハイバッフルは、「狭い・空気少ない」、ローバッフルは、「広い・空気沢山」となります。狭いところを通過する空気はスピードが速くなります。逆に太い空気はスピードが遅くなります。その原理でハイバッフルのマウスピースのサウンドは明るくシャープで、少ない息でも十分な音量が出せ、ローバッフルは太くソフトなサウンドで、より多くの息を必要とします。
 もうひとつの見て分かるマウスピースのサウンド傾向は、「皮下脂肪」です。ま、普通に言えば「肉厚」ですが…。細身のマウスピースは高音域が強い明るいサウンド、太めのマウスピースは低音部が豊かな温かいサウンドと、マウスピース全体の太り具合(太さ)もサウンドに関係しますが、加えてマウスピース内部の空洞を包む、「壁の厚さ」も大きくサウンドに影響します。厳密に言うと、肉厚とその材質がマウスピース全体のサウンドの個性を作ります。マウスピースが出す音の振動を封じ込めるような「柔らかく厚い壁」を持つマウスピースは、ダークで抑制のきいたサウンド特性を持ち、指で弾けば「キンキン」響くような、音を外に発散するような「硬く薄く響く壁」のマウスピースは、明るく、大音量のサウンドを放ちます。どうですか?マウスピースを見ただけで、なんとなくサウンドギャラが想像できるようになりました?

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Written By: sax on 5月 10, 2017 No Comment

最近の100均は奥が深い。かつては、「これが100円?凄い!」が基本的な100均の感想でしたが、今では、「こんな物まで100均で売ってるの?」、という感想のほうが多い気がします。とにかく100円ショップでの買い物は発見が多くてめちゃ楽しいですよね。そんな100円ショップで、サックス演奏に関わる多くの便利グッズを仕入れてますので、そのいくつかをご紹介します。
 「椅子の靴下」というものを100均で見かけたことはありませんか?椅子の四つの足に履かせるニットや布のカバーで、椅子の足を覆って床に傷がつかないようにするものですが、見た目はまるで赤ちゃん用の小さな靴下みたいなものです。これがマウスピースのケースにドンぴしゃなんです。サイズがテナーやアルトのマウスピースにぴったりで、尚かつクッション性があってマウスピースへのダメージも防げます。必ずしも椅子の靴下にこだわらなくても100均には膨大な種類の小物入れが「生息」していますので、気長に探せばあなたのニーズに合致した「入れ物」が見つかると思います。特にウェットスーツのようなウレタン生地でできた「クッションバッグ」は大きさのバリエーションが豊富なので、メトロノームやチューナー、コンタクトマイク、譜面ライト、ケーブル類等のケースにピッタリなものが探せます。入れる物主体で入れ物を探すのが普通ですが、品目の種類が多い100均では、入れ物を見ながら、「それに入れる物」を考える、というのもお勧めです。「あ、このポーチ。スワブを入れるのにちょうど良いじゃん!」、なんて探し方も良いと思います。
 100均で是非揃えたい(?)のが、「譜面整理系文房具」です。透明のシート状のフォルダで文書をまとめる「クリアファイル」は、譜面の整理にピッタリです。色々な色がありますので、曲のジャンルや使うバンドによって色分けするのも良いでしょう。譜面の入ったクリアファイルを入れるための「書類ケース」も100均で揃えてしまいましょう。A4やB4など、大きさも豊富ですので、中に詰め込む譜面の量によって選びましょう。屋外の演奏で必須な、クリアブックも100均で売っているようです。譜面を入れて、ページを開いて洗濯ばさみで譜面台に留めれば、屋外の多少の風でも譜面が飛ばされることがありません。譜面用には、開いた状態がなるべく平坦になるような綴じ代のブックが良いと思います。100均のクリアブックは総じて収納ページが少ないのが難点ですが、文房具店のクリアブックは軽く千円を超える物ばかりですので、工夫して100均クリアブックが使えるなら、それに越したことは無いでしょう。
 その他にも、シールやゴムバンド、ペン立や名札など、みなさんの楽器ライフに役立ちそうなものが、沢山100均の棚に並んでいます。音楽家の為の道具があるのは、楽器屋さんだけじゃありませんよ。

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Written By: sax on 2月 15, 2017 No Comment

サックスのマウスピースの材質は多種多様です。昔ながらのハードラバー(エボナイト)製。メタル素材では一般的な真鍮ばかりでなく、ステンレススチールやアルミニウムが使われているものもあります。新しい合成樹脂素材ではABS樹脂やアクリル、ポリカーボネート等も使われています。サックス奏者にとって音の根源であるマウスピースは、自分のサウンド作りに欠かせない大切な部品です。価格も超高価なヴィンテージの逸品や、職人のハンドメイドもの、精密加工機で製作される現代的な名品と、マウスピースを選ぶのは本当に大変です。この大事なマウスピースの「寿命」って考えたことがありますか?
 結論から先に言えば、「マウスピースには寿命があります」。サックスの演奏中、マウスピースはリードの振動とともに「震えて」います。しかもマウスピース全体に均一な振動をしているのではなく、先端、リガチャー接触部、シャンク(ネック接合部)では異なる振動をしています。この部分的に異なる振動はねじれを生み、マウスピースの各部に「ストレス」を与えます。ストレスはマウスピースの材質の強度に細かな変化を与え続け、最終的には「振動する構造としての機能不全」を起こします。簡単に言えば、「マウスピースは長年吹き続けることによる振動の蓄積で、いつか鳴らなくなってしまう」、ということです。 しかし、その寿命は素材の初期状況や演奏の際のストレスの大小、演奏の頻度等、多くの要素が絡み合うので、何時間、何年間でマウスピースが寿命を迎えるのかはまったく予測することは出来ません。また寿命があると考えると、寿命に向かって徐々に変化をして行くわけで、その変化を「熟成」や「成長」と捉えることもできます。新品のマウスピースがある状態に変化し、そのサウンドが変わって来た時、あるプレーヤーは、「このマウスピースは死んだな」と言い、別のプレーヤーは、「やっと枯れて来た」と言うかもしれません。

 50年以上前に製造されたヴィンテージマウスピースが、市場で高価で取引されています。 「腕の良い職人によって作られた名作は、50年以上経ってもその時代の音で鳴ってくれる」、というのは間違いです。マウスピースの材質は、どんなものでも「経年変化」します。完全に昔と同じ音では無いはずです。それでも「良い音」なのは、良質なマウスピースは良質な変化をする、ということです。奏者が受け入れられる上質な変化は、決して「死への過程」ではなく、むしろそのマウスピースの「味」や「性格」でしょう。
 このように、何もしなくてもマウスピースは歳を取ります。ましてや傷や欠け、ショックによる内部刺激は、その機能にダメージを与え、本来のサウンドが出せなくなってしまいます。マウスピースを大切に扱い、その変化に寄り添い、長く付き合ってください。

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Written By: sax on 2月 8, 2017 No Comment

サックスプレーヤーの皆さん、サックスのサウンドや吹奏感は、口に近い部品ほどその影響が大きいと言われています。マウスピースやリガチャー、リード、高価なところではネック等のパーツには、多くのサックス奏者の皆さんがこだわって、かつお金を掛けていることでしょう。しかし、何か忘れていませんか。あれです、マウスピースのキャップです。「だって、吹くときには外しちゃうから、サウンドに関係ないじゃん。」、とお思いでしょう。確かにキャップは演奏時には外してポケットに入れたり、その辺に置いておいたりします。あまり目立たない存在です。でも、もしあなたのマウスピースキャップがこんなだとしたら、ちょっと放っておけないと思います。
 「マウスピースに被せると、キャップがリードに触る」。致命傷です。キャップが必要以上に深く被さるようになっていると、当然ながらキャップの天井がリードやマウスピースの先端にあたっている場合があります。 リードが損傷し、マウスピースの先端が傷付きます。天井に穴が開いているキャップなら目視で注意できますが、塞がっているタイプなら、マウスピースに被せてみて底の位置をチェック、キャップを被せずに横に並べてその位置に合わせましょう。キャップの天井からマウスピースの先端が、数ミリ以上離れていればOKです。「リガチャーやマウスピースを擦ってしまうキャップ」。意外と恐ろしい結果が待っています。マウスピースの直径や形状に対し、口径が狭く、かつ金属製のキャップでは、キャップをマウスピースに被せる度に、マウスピースの外周をキャップの端で擦って傷つけてしまう場合があります。価格の安い金属キャップは、開口部の内側が尖っている(やすりで丸く加工されていない)場合が少なくおりません。大事なマウスピースやリガチャーが傷だらけ、という事になりかねません。「リードの面に触るキャップ」。無さそうでたまにあるキャップの不具合です。マウスピースのテーパー(次第に細くなる形状)の角度、使用しているリガチャーの厚さ等が悪さをし、キャップを被せると、マウスピースに対し曲がった角度で入っていき、キャップの内部がリードに、特にリードの先端平面部に擦れてしまう場合があります。このような場合には横から見るとキャップが異常に上を向いているので、ちょっと注意深く観察すれば気が付くでしょう。

 慎重派のサックス奏者は、マウスピースを仕舞う際、マウスピースにガーゼ等を数せてからキャップをし、全体をクロスで包みます。マウスピースの先端を守るためです。同様に、ダメになったリードをリガチャーに装着し、その先端をマウスピースの先端より外に出るようにしてキャップをするのも良いでしょう。キャップでリードの乾燥を防ぐプレーヤーも沢山います。穴の開いたキャップの穴をテープ等で塞いでしまえば、リードが空気に触れて乾燥するのを防ぐことができます。またキャップ内に湿った紙や布を張り付けているプレーヤーもいるようです。キャップって、大事でしょ?

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Written By: sax on 2月 2, 2017 No Comment

サックス細かすぎるポイント第?段!誰も教えてくれないのに、サックス奏者は皆しなければならない事。でもそんなに頻繁には必要ない。何でしょう?ネックコルクのグリシングです。つまりコルクグリスの塗り方です。ええっ?そんなとこまで気を使うの!ってレベルでコルクグリスについてお話しします。
 最近のコルクグリスは、くり出し型のリップスティックタイプになっており、クリクリと筒から少し出して、そのままネックコルクに塗れるようになっています。しかしそのやり方は「×(バツ)」です。グリスがコルクの上に「置かれている状態」にしかならないので、マウスピースを挿せば、グリスは剥がれてしまいます。コルクにグリスを塗った後、親指と人差し指でゴシゴシと、グリスをコルクに「擦り込んで」ください。コルクにグリスを浸み込ませることで、コルク表面の滑りを長期間キープすることができます。この「擦り込み」の際は、コルクグリスの粘度が低いほうが良いでしょう。温度が低くてグリスに「粘り」が多いと、コルクへの浸み込み具合が低くなります。息で温めるだけでもグリスはかなり溶けますのでお試しを。
 グリスはコルクの全体に塗る必要はありません。マウスピースをネックに挿す際に、マウスピースのシャンクがスムースにネックのコルク部で滑ってくれるようにするのがコルクグリスの役割です。ネックコルクの先端1/4ほどはグリスを塗る必要はありません。逆に先端までグリスを塗り過ぎると、ネックの先端からグリスがネック内部に入り込み、埃を吸着して汚れの原因となりますので注意してください。ネックコルクにグリスを塗り、ネックをマウスピースに差しこむと、余分なグリスがマウスピースの後端に溜まります。この余分なグリスは乾いた布やティッシュで必ずきれいに拭き取りましょう。
 グリスはサックスにとって、実は好ましいものではありません。粘着性のあるオイルですので、ほんの少しでもそれがサックスのどこかに付着すれば、埃がそこに吸着し、汚れとなります。可動部であれば、グリスに付いた埃は「やすり」のように部品を摩耗させ、故障の原因となります。クロスで拭き取っても、グリスは薄く広がるだけで、溶剤を使わなければ完全に拭き取ることは出来ません。コルクグリスを扱うときは、ネックコルク以外のいかなる部分にも絶対に付着しないよう、細心の注意を払ってください。また「滑らす」という効果はグリスだけでは完全に発揮できません。グリスを塗ったコルクの上に水分があると、マウスピースが良い具合に滑ってくれます。マウスピースをネックに挿すときに、コルク表面にハアーっと息を吹きかけたり、ぺろっと舐めたりして湿らせると、スルッと気持ち良く差し込めます。是非お試しを。

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Written By: sax on 12月 27, 2016 No Comment

こういうブログを書いていると、多くのサックス奏者の方々からいろいろな質問をいただきます。それらのなかには、非常に答え難い質問も少なくありません。しかもそれは定型化しています。ある意味、「サックスに関する答え難い質問あるある!」です。
 「XX社のテナーを吹いています。このサックスと相性の良いマウスピースを教えてください」。回答に困る質問のナンバーワンです。「相性」は非常に曖昧な言葉です。この質問で言っている「相性」が、吹き易さなのか、コントロールのし易さなのか、はたまた、質問者が求めているサウンドを生み出すための相性なのかが分かりません。この質問の意図が伝わる言葉に直して、「XX社のテナーを吹き始めた初心者です。付属のマウスピースにRICOの2番のリードで練習していますが、細い音しか出せません。マウスピースを替えたいと思いますが、どんな候補かあるでしょう。」、ならなんとか答えられます。もしくは、「XX社のテナー、モデル999を吹いています。付属のマウスピースのサウンドが、私のやりたいジャズの音に遠い気がしています。このサックスに合う、ジャズらしい音が出せるマウスピースを教えてください。」、などという、現状と目的、どういう風に答えて欲しいかがある程度はっきりしていれば、答えに窮することもありません。いずれにしろ、この手の質問に対して「正解」はあり得ませんので、具体的に質問していただければ、自分の経験からくるアドバイスを、より適切に返せると思います。

 「ロングトーンが長く続きません。正しい腹式呼吸の方法を教えてください」。練習方法に関する質問も、答え難い場合が少なくおりません。100人のうち100人に適合する「完全に正解な奏法」はそんなに多くはありません。人間と楽器の関係ですから、状況や奏者の個性、楽器の性能に応じて奏法や練習法はそれぞれ微調整が必要です。勘違いのアドバイスをして、その奏者が体を壊してしまう場合も考えられます。「ロングトーンが続きません。ロングトーン練習時の適切な音量と音域を教えてください。」や、「ロングトーンが続きません。先輩は同じ音で同じ音量で、私の3倍の時間を延ばせます。チェックすべきポイントを教えてください。」、「ロングトーンが続きません。何故こんな練習が必要かも分かりません。ロングトーンは何故必要なのですか?」、のような質問なら答えようがありそうです。
 決して、「こんな質問は嫌だ!」、なんて話をしているわけではありません。サックスや楽器、奏法に関するアドバイスを的確に受けるためには、質問する側もちょっと考えて、質問の内容を分析したうえで質問すれば、すぐに自分の役に立つ、より適切な回答を得られ易い、ということを覚えておいていただきたいと思います。このブログヘの質問だけでなく、友人や先輩、指導の先生への質問も、「自分なりに分析して」投げかければ、最高のアドバイスをゲットする確率も上がると思います。
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Written By: sax on 12月 20, 2016 No Comment

サックスの消耗品といえばリードですね。サックス奏者は一生のうち、かなりの金額をリードの購入に費やします。そして第二の消耗品といえば「パッド」です。多分単価はリードよりも高価です。管体の下半分のパッドはそんなに頻繁に交換の必要ありませんが、管体上半分の、ネックに近い部分ほどパッドの痛みは激しくなります。「濡れる」、「乾く」が繰り返されることで、パッドの弾力性が失われ、徐々に硬くなっていき、最後には卜-ンホールヘの密着度が損なわれ、エアー漏れを起こすようになります。一番上の3、4個のパッドは、出来れば1年に一回は交換が必要でしょう。サックスを酷使するプロの奏者であれば、もっと高い頻度でパッド交換します。今回は、パッド周りのこだわりメンテナンス。上手くパッドと付き合うヒントを二・三、お話しします。

 パッドの延命に高い効果があるのは、演奏中、練習中ともに、こまめにパッドの水分を拭き取ることです。吸水ペーパーを常にスタンバイしておき、ちょっとの休憩の際に「ソ」より上のパッドの水分を拭き取りましょう。吸水ペーパーをパッドとトーンホールの間に挟んで押さえつけ、「グイッ」と引き抜く方がいらっしゃいますが、この方法はお勧めできません。ペーパーの繊維がトーンホールのエッジに残ってしまいます。トーンホールとパッドの間にペーパーを挿入し、軽くパッドを閉めるだけで十分です。吸水ペーパーの替わりに1ドル札を使うのが、昔から「粋な方法」として伝承されていますが、新品のお札は水分をあまり吸ってくれません。またティッシュでの代用は、水分は吸いますが、繊維が残るので「×」です。
 パッドを長持ちさせ、トーンホールの気密性を維持するための、隠れたポイントがあります。それは卜-ンホールのエッジ内側です。繊維カスが残るので、パッドの水分拭き取り時には要注意とお話ししましたが、このポイントを疎かにすると、かなり怖い結果になります。サックスの掃除で管体内にはスワブを通しますが、スワブは立ち上がったトーンホールの内側は掃除出来ません。しかしここにも水分は着きます。水分にホコリが付着すると汚れが定着します。トーンホールのエッジ内側は、放っておいたホコリが「固着」してしまっているケースが非常に多いのです。いくら吸水ペーパーでパッドの水分を拭き取っても、この汚れに水分が吸収され、パッドを濡らし続けます。またエッジ内側のホコリが積もり積もって、トーンホールとパッドの間に隙間を作ってしまう場合もあります。エッジ内側の掃除は、専用の「モール」で出来ます。針金の周りにブラシが付いたあれです。先端を曲げてトーンホールの内側、エッジ際を優しく擦りましょう。細かい作業が得意な方なら、綿棒の先をタイツと曲げ、エッジの内側を掃除することも出来ると思います。トーンホールのエッジの内側の掃除をお忘れなく。

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Written By: sax on 10月 11, 2016 No Comment


リードのマウスピースへの装着は、サックスを吹く上で必須の項目です。なにしろリードが着いていなければサックスは鳴ってくれません。教則本等の色々なところでリードの装着方法が説明されていますが、いまひとつおおまかな感じがします。馬鹿みたいに細かい、おせっかいなくらいにしつこい「リードの取り付け方法」の説明に挑戦します。
 リガチャー(リード留め具)はマウスピースに着けたままネジを緩め、そこにリードを差し込みます。リードを先にマウスピースに取り付けないのは、後からリガチャーを被せると、リードの先端をリガチャーで痛める恐れがあるからです。最初にマウスピースの先端とリードの先端を揃えます。リードの向こう側にマウスピースの先端が、「髪の毛一本ほど見える」のが良いという説もありますが、リードの先端を指で押し、マウスピースの先端にリード先端をぴったり付けたうえで、隙間の無いように揃えるのが基本型です。リードをそれより出すか、引っ込めるかは奏者の好みです。先端をそろえたらシードの後端をそろえます。右手の親指と人差し指でリードの左右を挟み、マウスピースのテーブルの中心にリードが乗るように調整します。リードの先端と後端の位置が決まるまで、この動作を繰り返します。
 リードの位置が決まったら左手の親指でリードを押さえて、マウスピースとリードの位置がずれないようにしっかりと固定したうえで、リガチャーの位置を調整します。リガチャーの位置はなるべくマウスピースの後ろ(ネックへ差す側)に寄せたほうが、リードの振動に良いようです。リガチャー装着位置の端から数ミリ残すのが定石です。これをやっている間にリードかすれた場合は、リードの位置決めからやり直しです。リガチャーはリードを左右均等の力で締め付けるよう注意してください。基本的には、リードの長さ方向の中心線にリガチャーの真ん中が来るようにします。ネジを締めているうちにリードやリガチャーがずれてくる場合がありますので、その場合は「振り出しに戻る」です。

 一般的な、「順締め2本ねじのリガチャー」では上下のネジを交代に少しずつ締めていきます。「ネジはきつ過ぎずゆる過ぎず」が基本ですが、締め付けがゆるいとリードの振動が吸収されます。しっかりと締めたほうがリードの鳴りは良いようです。リード先端側のネジだけを緩めると音が太くなる場合もあります。試してみてください。リードの装着後は実際に吹いて確認します。普通に吹いて音はどうか、吹き易いか、は勿論ですが、サックスを極端に左右に振って、下唇をリードの片側だけに着けた状態で吹いてみます。左右で同じ音ならOK。そうでない場合はリードがマウスピースの中心からずれているか、もしくはリードそのものの調整が必要です。
 10分も吹いてリードが湿ってくると、リガチャーが緩くなってきます。またチューニングでマウスピースをネックから抜き差ししても、リガチャーがずれる場合があります。このような場合は、ネックを本体から外して、リードやリガチャーの位置を調整します。こうするとチューニングをやり直す必要もありませんし、作業が格段とやり易いです。

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Written By: sax on 9月 13, 2016 No Comment


コルクはサックスのあちこちで色々な役割をしています。クッションとしての役割や、弾力を持った連携メカニズム等がありますが、ネックのネックコルクの役割はちょっと特殊です。サックスの音の根源であるマウスピースと、サックス本体を繋ぐという大事な役割をしています。近年、この「ネックコルク」の役割が見直されてきており、様々なあたらしい工夫が考えられています。
 ネックコルクはサックスのネックにマウスピースを差し込む場所の「クッション」です。希望の位置にマウスピースが止まり、ぐらぐらしたり、息漏れしなければ良し、とされてきました。しかし良く考えると、ネックコルクはその弾力のクッション特性で、マウスピースとネックおよびサックス本体を「分離」してしまっています。マウスピースとリードによる振動は、空気を介してサックスに入っていく、という「サックスの音エネルギーの空気伝達」だけを考えるならこれで良いのですが、「せっかくのマウスピース自身の振動を、サックスに伝えないのは如何なものか」という考え方が最近議論されるようになってきました。

 コルクの機能的要素は木材繊維と繊維の中の空気です。押しても潰れたままにならず弾力で戻ります。また遮音材や防振材としても使われる「振動吸収性能」を持っています。ネックコルクにはこういう機能が邪魔ではないのか、このコルクによる振動の吸収さえなければ、マウスピースで作られた振動は、もっと効率良くサックス全体に伝わるのではないか、というのが新しい考え方です。コルクの代わりにネック先端に硬い樹脂を取り付け、マウスピースに差し込むというカスタム仕様のネック加工法があります。樹脂の弾力はありますが、コルクの振動吸収性を改善したもので、「吹奏感が変わる!」、「抜けが良い」、と言う方もいるようです。樹脂以外にも、黒檀などの硬い木材をネックとマウスピースの間に差し込む工夫もあるようです。また、ネックとマウスピースの間に金属の板を渡して、その金属を介して振動を伝達させようという工夫もあります。金属はある程度厚くそれなりの重量で、サックスのネックとマウスピースに効率良く接触する形状に加工されており、それをシリコンゴムのベルトで固定します。サウンドのパワーが増し、細かい強弱が表現できるようになり、何より楽器が抜群に鳴るようになる、と評判です。なんとこの工夫はトランペット等の金管楽器用にも製品が開発されており、吹奏感が向上し、パワーも増すと、かなり人気が出ているようです。

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Written By: sax on 7月 26, 2016 No Comment


サックスに限らず、楽器奏者の最終目的は、立派なステージで大勢の観衆の前で演奏することでしょう。とはいえ、いつもそんな「ハレ」の舞台ばかりではないと思います。忘年会・結婚式の余興や、内輪のパーティーでの演奏、ひどい場合は飲み会の席で突然の指名、なんてことも無い訳ではありません。学校や職場のまわりのひとが、あなたがサックスをやっていると知っていると、こんな厄介なケースが多々起きるものです。ライブやコンサートなどのちゃんとした演奏ではない、「サックス宴会芸」のテクニックについてお話しましょう。
 宴会芸としてのサックス奏者の最重要ポイントは、「素早い立ち上がり」です。お座敷やパーティーではリハーサルもないし、楽器のウォーミングアップの時間もありません。下手をすれば、楽器を組み立てている時間さえ、周りに「ブーブー」言われてしまいます。サックスのクイックセッティングには人工リードが最適です。天然リードと違い、リードを湿らせるというウォーミングアップをまったく必要とせず、マウスピースにセットした瞬間に100%の実力を発揮してくれる、宴会サックスには最高の武器です。マウスピースを仕舞う際に人工リードをセットしておけば、「吹いてよ!」のリクエストに対し、リードセットの時間すらも省けます。宴会サックスではサックスのチューニングも速攻でおこなう必要があります。いつもの適正なチューニングをした際のマウスピースの位置を、ネックのコルクにサインペンで線を引いてメモしておきましょう。マウスピースをその位置に「ズボッ」と差せば、ほぼ完ぺきなチューニング、という位置です。コンサートやライブではありませんから、微妙なピッチの違いはたぶん気付かれません(汗)。そうそう、マウスピースやストラップ、リード等の小物はケースの中か、ケースのポケットに収納しておきましょう。別のかばんの中に仕舞ってあると、これも時間のロスになります。

 宴会サックスのクイックセッティングの次は、宴会サックス奏法です。何も考えずにいつものように演奏するだけでは、宴会でヒンシュクを買うサックスの吹き方があります。それは「でかい音」です。サックスという楽器は、奏者が考えている以上に大きな音がします。ライブ会場やコンサートホールでは、音が散ってさほど気になりませんが、宴会やパーティーの会場のような小さな部屋では、サックスの音は「轟音」です。天井の高い吹き抜けのホールのような場所でもない限り、音量はp(ピアノ)かmp(メソピアノ)で十分です。演奏曲目?それはあなたの腕と趣味にお任せします。楽しい宴会を!

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